肝硬変と診断されたら

肝硬変は残念ながら完治できる病ではありません。

肝硬変になると肝臓の細胞が線維化することにより固くなってしまい、その部分の肝臓の機能が働かなくなります。

一度、線維化してしまうとその部分は元には戻りません。

健康な身体であれば肝臓自体は、その機能の半分を失っても特に影響はありません。

肝硬変と診断された場合は少し違ってきます。

肝硬変になると肝細胞の数の減少とともに、ひとつひとつの肝細胞の機能も弱くなっていますから機能の半分が失われても大丈夫という訳ではありません。

今ある肝臓の機能を上手く使いながら肝臓に負担をかけないような生活をしていかなければなりません。

肝硬変の治療の基本は自分の肝臓の残った機能を維持することです。

アルコールは禁止になりますし、食事についても注意しなければなりません。

肝硬変には高蛋白・高カロリーの食事を摂らなければならないというふうに言われていましたが、これはあくまでも食料事情が悪かった時代の話であって現代の食事であれば一般的な食事をしていれば問題はありません。

カロリー等を気にするよりバランスの良い食生活をすることが大切です。


肝硬変の食事内容

1.線維質の多いものを欠かさない。(海草類、きのこ類。こんにゃくなど。)

2.蛋白質は、軽症~中等度の肝硬変は普通に摂って良い。浮腫・腹水・肝性脳症がある場合は控えめにすること。

3.食欲がないときや、蛋白制限をしているときは糖分の多いものをとる。(果物、甘い菓子など。)

4.浮腫・腹水がある場合は塩分を控える。

5.肝硬変では、胃炎を伴っていることが多いので、刺激物は出来るだけ避ける。


運動に関しても個人の判断でジョギングやウォーキングを始めるのはよくありません。

必ず医師と相談してから肝臓に負担にならないような運動をしなければなりません。

運動をまったくしないほうが良いのかというと、そうではありません。

相反することでとても難しいのですが運動をしないことで筋肉が落ちると肝性脳症の発症や肝不全の発症につながってしまいますので注意が必要です。

肝硬変は生活管理をきちんとすれば日常生活ではそれほど影響が出ることはありませんが、仕事に関してはある程度の制約があります。

過労を伴う肉体労働は原則禁止となりますし、夜勤に関しても同様にしない方が良いとされています。

肝硬変を患っている方には糖尿病も併発されている方が多いと言われています。

肝硬変の治療と糖尿病の治療は相反するものがあり、なかなか難しいものがあります。

糖尿病の場合は出来るだけカロリーを抑えて運動をするように医師から指導されるはずですが、肝硬変の場合はカロリーは摂り、運動は避けると、まったく逆の指導です。

糖尿病と肝硬変を併発している場合は肝硬変の治療が優先されるはずですが、糖尿病の治療を止めるわけではありません。

肝硬変と糖尿病を併発している場合の治療はインスリン治療が中心になります。

インスリンを使うことで膵臓への負担が減りますから血糖値の安定につながりますので肝臓での栄養状態も改善されてきます。

個人判断だと症状の改善どころか悪化につながりますので注意が必要です。

このように肝硬変と診断された場合は医師の指示のもと、生活環境の改善と投薬治療をおこなうことになります。

肝硬変は治ることはありませんが現状を維持することで普通の生活ができます。




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