肝硬変の治療

肝硬変になった肝臓を元に戻すことは、現在の医療技術では不可能です。

問題は残っている肝臓の活動を助けることと、肝硬変の原因となっている肝臓の病気の治療の二つに重点を置きます。

肝臓の活動を助けることは、生活習慣の改善が良き治療法となります。

アルコールを制限し、タンパク質や塩分などの栄養素のコントロールも必要になってきます。

栄養バランスの取れた食事を心がけながら、また適度な運動を取り入れることによって代謝機能の回復も取り組みます。要するに肝臓に負担をかけないことが望まれるのです。

肝臓の病気の治療は、肝硬変の原因である根治治療を目的とします。

肝炎が原因の場合はその種類によっての治療を行います。B型肝炎やC型肝炎などが有名で、インターフェロン療法が効果があると言われています。

黄疸や腹水、食道静脈瘤などの合併症の症状が見られる場合は、それらの治療も随時行っていきます。肝硬変の症状が進まないよう、可能な限りこまめに体調の変化に注意したいところです。

肝硬変は治らない病気ですが、肝硬変が理由で死ぬというものでもありません。

合併症の治療、生活習慣の改善など、病気に対する姿勢を正せば、問題なく日常生活を送ることができるのです。




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肝硬変と診断されたら

肝硬変は残念ながら完治できる病ではありません。

肝硬変になると肝臓の細胞が線維化することにより固くなってしまい、その部分の肝臓の機能が働かなくなります。

一度、線維化してしまうとその部分は元には戻りません。

健康な身体であれば肝臓自体は、その機能の半分を失っても特に影響はありません。

肝硬変と診断された場合は少し違ってきます。

肝硬変になると肝細胞の数の減少とともに、ひとつひとつの肝細胞の機能も弱くなっていますから機能の半分が失われても大丈夫という訳ではありません。

今ある肝臓の機能を上手く使いながら肝臓に負担をかけないような生活をしていかなければなりません。

肝硬変の治療の基本は自分の肝臓の残った機能を維持することです。

アルコールは禁止になりますし、食事についても注意しなければなりません。

肝硬変には高蛋白・高カロリーの食事を摂らなければならないというふうに言われていましたが、これはあくまでも食料事情が悪かった時代の話であって現代の食事であれば一般的な食事をしていれば問題はありません。

カロリー等を気にするよりバランスの良い食生活をすることが大切です。


肝硬変の食事内容

1.線維質の多いものを欠かさない。(海草類、きのこ類。こんにゃくなど。)

2.蛋白質は、軽症~中等度の肝硬変は普通に摂って良い。浮腫・腹水・肝性脳症がある場合は控えめにすること。

3.食欲がないときや、蛋白制限をしているときは糖分の多いものをとる。(果物、甘い菓子など。)

4.浮腫・腹水がある場合は塩分を控える。

5.肝硬変では、胃炎を伴っていることが多いので、刺激物は出来るだけ避ける。


運動に関しても個人の判断でジョギングやウォーキングを始めるのはよくありません。

必ず医師と相談してから肝臓に負担にならないような運動をしなければなりません。

運動をまったくしないほうが良いのかというと、そうではありません。

相反することでとても難しいのですが運動をしないことで筋肉が落ちると肝性脳症の発症や肝不全の発症につながってしまいますので注意が必要です。

肝硬変は生活管理をきちんとすれば日常生活ではそれほど影響が出ることはありませんが、仕事に関してはある程度の制約があります。

過労を伴う肉体労働は原則禁止となりますし、夜勤に関しても同様にしない方が良いとされています。

肝硬変を患っている方には糖尿病も併発されている方が多いと言われています。

肝硬変の治療と糖尿病の治療は相反するものがあり、なかなか難しいものがあります。

糖尿病の場合は出来るだけカロリーを抑えて運動をするように医師から指導されるはずですが、肝硬変の場合はカロリーは摂り、運動は避けると、まったく逆の指導です。

糖尿病と肝硬変を併発している場合は肝硬変の治療が優先されるはずですが、糖尿病の治療を止めるわけではありません。

肝硬変と糖尿病を併発している場合の治療はインスリン治療が中心になります。

インスリンを使うことで膵臓への負担が減りますから血糖値の安定につながりますので肝臓での栄養状態も改善されてきます。

個人判断だと症状の改善どころか悪化につながりますので注意が必要です。

このように肝硬変と診断された場合は医師の指示のもと、生活環境の改善と投薬治療をおこなうことになります。

肝硬変は治ることはありませんが現状を維持することで普通の生活ができます。




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肝硬変の食事療法

肝硬変の症状の場合には、慢性肝炎と際と同様に、栄養のバランスがよく、なおかつ低カロリーの食事を摂取することが大切です。

肝硬変が悪化して腹水の症状がでてきたり、肝性脳症になったりすると、塩分やタンパク質を抑える食事制限が実施されます。

肝硬変は代償期と非代償期に分けられます。

比較的軽い症状とされる代償期においては、肝臓の弱った箇所が他の部分で代償されているため、できる限り十分な栄養を摂取することが重要です。

非代償期においては、血漿アミノ酸不均衡、低アルブミン血症、高インスリン血症などの種々な栄養代謝の異常を生じます。

肝硬変の食事療法における注意点として、高たんぱく、高エネルギーの食事をしっかりと心がけてください。

アルコール性肝硬変の場合では、飲酒のために通常食べることによって摂取するたんぱく質やエネルギーなどの栄養が不足するので、高たんぱく・高エネルギー食が非常に効果的だからです。

ウィルス性の肝硬変の症状の場合には高たんぱく高エネルギー食を過剰に摂取するよりもバランスよく適量をとることが重要です。

また、就寝前に軽い食事をすることもおススメです。

非代償期の肝硬変の症状の場合には、肝臓のグリコーゲン貯蔵量が減少してしまいがちです。

食後の10時間近く経過する早朝起床時には必要な糖分が不足状態になるのです。




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四大アルコール性肝障害の原因、症状

・アルコール性脂肪肝
��原因)
 アルコール性肝障害としては初期段階ですが、注意が必要です。アルコールを大量に飲むと肝臓の機能はアルコール処理ばかりに追われ、脂肪の分解機能が低下します。そのため中性脂肪が肝細胞につき、脂肪肝になるというアルコール性肝障害です。アルコールはそのものもカロリーが多く、さらにおつまみなどもカロリーが高いため脂肪肝になりやすくなります。

��症状)
 アルコール性肝障害の症状はほとんどなく、重度の場合でも倦怠感や食欲不振、膨満肝が感じられる程度です。


・アルコール性肝線維症
��原因)
 アルコール性肝障害としてはアルコール性脂肪肝の次の段階の症状となります。アルコールを大量にかつ長年に渡り摂取し続けると肝細胞は壊死し、周囲は線維化しだします。このようなアルコール性肝障害の状態でさらにアルコールを摂取し続けると肝硬変になります。アルコール性肝障害では最も重い症状がアルコール性肝硬変です。

��症状)
 食欲不振や倦怠感、腹痛があり、進行し重度の状態になると発熱し、黄疸症状が体に現れます。


・アルコール性肝炎
��原因)
 長年アルコールを大量に摂取しており、肝細胞がかなりのレベルで痛んでいるアルコール性肝障害の状態で、宴会などで急激にアルコールを大量に摂取したときに起こる急性のアルコール性肝障害です。
 症状が重い状態では死亡する可能性があるので、入院治療が必要になります。

��症状)
 倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱や黄疸があり、肝臓のある右わき腹を押さえると痛みを感じます。また症状が悪化すると意識がなくなり、 精神障害を起こしたり昏睡状態となって死亡にいたることがあるアルコール性寒暑がいです。


・アルコール性肝硬変
��原因)
 慢性肝炎が進行し、重度の肝細胞の破壊が起こり、肝臓全体が線維に覆われ肝硬変となります。このようなアルコール性肝障害の状態になると2度と回復することはありません。アルコール性肝障害になってもアルコール性肝硬変になるのだけは防ぐようにしましょう。
 
��症状)
 肝臓には代償能力というまだ壊死していない細胞で壊死したぶんの機能を補う能力が備わっているため、肝硬変が初期の場合はほとんど症状がありません。 この状態を代償性肝硬変と言います。しかしさらにアルコール性肝障害が進行すると次第に症状が出始める非代償肝硬変になります。この状態では手掌紅班、腹水、 浮腫、乳房の女性化、発熱、月経異常などの症状が出ます。昔はここまでのアルコール性肝障害がでると5年生存率は5割以下でしたが、現在は8割を越えてきています。
 肝硬変は軽度ならば慢性肝炎に改善できますが、重度になると肝がんを発症する可能性が高まります。つまりアルコール性肝障害は肝がんの入り口なのです。


アルコール性肝障害の予防

アルコール性肝障害を防ぐには週に2日、お酒を休みにすると効果的といわれています。

アルコール性肝障害の治療法としては禁酒できるかが大きなポイントとなるわけです。

女性は男性に比べてアルコール性肝障害になる可能性が高いといわれています。




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肝機能の数値:γ-GTP

γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、脾臓、小腸などに含まれている解毒作用に関係している酵素で、アルコールに反応します。

γ-GTPは肝臓や胆管の細胞が死んだときに血液中に流れ出すため、肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す一つの指標になります。

アルコール性肝障害や、胆石で胆道が塞がれたときに数値は上がりやすいと言われています。

血液中にγ-GTPが流れ出ること自体は、体に悪いことではなく、γ-GTPがなぜ増えているのかということが注目すべきポイントです。

γ-GTP値が高いと、肝臓の細胞などが壊されているのではないかという恐れがあります。

肝機能数値の正常値

γ-GTP(正常値)男性…50IU/L単位以下

γ-GTP(正常値)女性…32IU/L単位以下


正常値を下回っている分には問題ありませんが、数値が上回っている場合には、肝臓に負担がかかっていると考えられます。

γ-GTPの数値が高くても100以下であれば、禁酒などお酒・アルコールを控えることで正常値に戻ると考えられます。

��00以上であれば、脂肪肝が進行していると考えられます。




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肝機能の数値:GOTとGPT

この2つは、タンパク質を分解してアミノ酸をつくる酵素で、GOTの正式名称を「グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ」、GPTの正式名称を「グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ」と言います。

ほとんど同じ働きをするのですが、GPTのほとんどは肝臓に存在するのに対し、GOTは肝臓だけでなく、腎臓や赤血球、心臓や手足の筋肉などにも存在するという違いがあります。

これらは、肝臓に含まれる酵素で、肝細胞が壊れたり、細胞膜の透過性が増すことで、血液中に酵素が流れ出すことで、数値があがります。

したがって、肝臓に異常があった場合は、ほとんどの場合両方の数値が上がりますが、GOTの数値だけが上がって、GPTの数値が上がらない場合は、心筋梗塞や筋肉の組織が壊れたなどが考えられます。

肝臓において、GPTとGOTの数値を比べると、脂肪肝や慢性肝炎の場合はGPTがGOTの数値を上回り、症状が肝硬変に進行すると逆転してGOTがGPTを上回ることになります。

正常値はGOTが8~40IU/L、GPTは5~45IU/Lです。これより低いからと言っても特に問題はないのでご安心ください。

正常値以上100未満の場合は、慢性肝炎や肝硬変、脂肪肝の疑いがあるので要注意です。

ウイルス性肝炎の場合は、数値が100を越え、悪化すれば500を越える数値になることもあります。

ここまでくればすぐに病院へ行って治療を受けましょう。





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肺がんの治療費を軽減するには

健康保険による高額療養費

高額な医療費の負担を軽くするために、健康保険には高額療養費制度が設けられています。

月ごとに一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分がもどってくるという内容になっています。

同じ月に、同じ医療機関に支払った医療費が対象となり、外来と入院とを別にして計算します。

��年間に4回以上高額療養費制度を利用する場合には、4回目からの自己負担額は定額となります。一般世帯で4万4400円、高額所得世帯は8万3400円となります。


自己負担限度額(70歳未満、2006年)一般世帯
  8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%

高額所得世帯
  (15万円+(かかった医療費-50万円)×1%

生活保護世帯など
  3万5400円

入院中の食事代や差額ベッド代、診断書などの書類作成費用は、高額療養費の対象とはなっていません。

月ごとの計算になるので、入院の日数が同じでも複数月にわたる場合は、払い戻し額が違ってきます。

��0歳以上の人は、70歳未満の人と自己負担限度額が異なります。70歳以上で一般所得の人が外来にかかった場合、ひとつの医療機関で同月に1万2000円以上支払うことはありません。

入院の場合も、同じようにして4万4400円を超えることはありません。


支払い費用を貸し付ける制度

当座の支払いにあてる費用を無利子で貸し付ける制度もあります。貸付額は高額療養費として払い戻される額の8割相当になります。

同じような制度として、受領委任払いがあります。これは、高額療養費の分は保険者が医療機関に納めて、本人は最終的な自己負担分だけを医療機関の窓口に納める方法です。

高額医療の高額療養制度における、前借りできる金額は、サラリーマンなどが加入する政府管掌健康保険と船員保険は、高額療養費の8割相当額です。

自営業者などが加入する国民健康保険については、市区町村によってことなり、7~10割です。

加入されている健康保険によって違いますのでご確認ください。

治療費以外に大きな出費となるのが、入院時の差額ベッド代です。都市部の個人病院の場合、4人以上の部屋でも1日あたり数千円かかるところが多くあります。個室になると、1日あたり1万円~5万円かかるようになります。

症状によって病院から個室に入るように指示された場合は、全額自己負担とはなりませんが、本人が個室を希望した場合は、全額自己負担となります。


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肝臓の検査の数値:LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)

LAPとはタンパク質を分解するはたらきを持つ酵素の一種です。

肝臓や腎臓、膵臓、腸管、子宮、脳などの細胞に含まれていますが、血中に増えるのは主に肝臓・胆道系の障害のときです。

肝臓障害などで胆道がつまって胆汁がうまく流れなくなることが起こると、胆汁が逆流してLAPが血液中に流れ込み、血中のLAP値が著しく上昇します。

とくに肝臓・胆道系の病気を診断する指標として利用されています。

この検査だけでは診断しきれないので、普通はほかの肝機能検査と組み合わせて行われます。

LAPの検査方法

血液を採取し、遠心分離器で分けた血清を測定器で調べます。免疫抑制剤を服用していると活性が低下しますので、この薬を使用中の人はあらかじめ医師に申し出てください。

基準値

30~80IU/l(LPNA法)となっていますが、検査方法にはさまざま種類があり、測定単位も異なります。したがって、複数の医療機関で検査を受け、その結果を比べる場合は数字だけではなく、単位にも気をつけてください。

LAPの検査値は、1歳未満の子供では高値を示しますが、それ以降は成人に向かうに従い安定し、性別や食事、運動による影響はほとんどありません。
飲酒などアルコールの摂取が多いとγ-GTPと平行して上昇する場合もあります。


検査結果の判定
LAP値が高度に上昇した場合には、肝臓がんや胆道系のがん、胆石、すい臓がんなどによる胆道閉塞が疑われます。肝臓がんでは胆道の閉塞がなくても高度に上昇し、ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎でも胆汁がうっ滞すると高値になります。また、子宮がんや卵巣がんなどでも高値を示します。

軽度の上昇がみられる場合には、慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変などが考えられます。
妊娠でも上昇しますが、分娩後は正常値に落ち着きます。妊娠中毒症や切迫流産では正常妊娠よりCAP(シスチンアミノペプチターゼ)が低値を示すため、胎盤機能が正常かどうかをみる目安にもなります。

異常があったら
LAPの検査だけでは、治療方針が立てられないので、ビリルビン、ALP、A/G比、ICG負荷試験、膠質反応などの肝機能検査の結果と組み合わせて総合的に判断されます。

LAP値がやや高い程度で、他の検査で正常な場合は、積極的に治療は行なわれませんが、再検査をして経過がみられます。

その場合、LDH(乳酸脱水素酵素)のアイソザイム検査でDLH5が増えるか、GOTやGPTがやや上昇しているときでも、他の肝機能検査で異常がなければ、特に治療の必要はありません。ただし、経過の観察と定期的なLAPの測定は必要となります。

胆汁がうっ滞して、LAP以外の胆道系酵素が増加する場合は、超音波検査やCT検査、胆道造影検査などの画像検査を行ない、胆管の拡張や炎症、がんなどの有無を調べます。

肝臓外で胆汁がうっ滞して黄疸が強くあらわれている場合は、肝臓から胆管に管を挿入して胆汁を取り除く、経皮経肝胆道ドレナージを行なうことがあります。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、胆道がん、すい臓がん、結石などの胆道閉塞、慢性・急性肝炎、薬剤性肝障害、ウイルス性肝炎、肝硬変など




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肝臓の検査の数値:ALP(アルカリホスファターゼ)

ALPは、アルカリ性の状況下でリン酸化合物を分解する酵素です。肝臓や骨、小腸、胎盤などに多く含まれ、これらの臓器がダメージを受けると血液中に流れ出してきます。

ALPは肝臓と骨の異常により血液中で上昇します。ALPは肝臓から胆汁中に流れ出します。胆汁とは肝臓がつくる液体で胆管という管を経て十二指腸に流れていきます。

この経路に腫瘍ができると胆汁は流れにくくなり、ついには逆流して血液中に漏れ出るようになります。このような胆道の閉塞や狭窄と呼ばれる状態のときにALPが血液中で高値となります。

ALPの検査
血液を採取して調べます。キンド・キング法(KAU)、ベッシー・ローリー法(BLU)など、単位が違ってきますが、最近はIU(国際単位)が多く使われています。

基準値
P-NP法…58~200IU/l
キンド・キング法…3.0~10.0KAU
ベッシーローリー法…0.8~2.9BLU


検査結果の判定
基準値を超えてALP値が高くなっているのは、胆汁の流れが完全に止まって黄疸が出てくるようなときです。

胆道が詰まって胆汁の排出が阻害されると、胆汁中に存在したALPは肝細胞を逆流して血液中に増加します。同時に肝細胞では盛んにALPが生成されるため、いっそう増加します。

黄疸は色々な病気によって起こります。

急性肝炎の黄疸では、ALPはそれほど上昇しませんが、細胆管性肝炎、胆汁性肝硬変、がんや胆石が原因の総胆管閉塞による黄疸では非常に高い数値を示します。

ALP値が著しく高くなった場合、同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群を測定し、どれが多いか見極めることが診断の重要な手がかりとなります。

高値のとき疑われるは病気
ALP1…閉塞性黄疸、限局性肝障害
ALP2…各種肝疾患、胆道系疾患
ALP3…骨の病気(健常小児に多い)、副甲状腺機能亢進症
ALP4…悪性腫瘍の一部、妊娠後期
ALP5…肝硬変、慢性肝炎、慢性腎不全
ALP6…潰瘍性大腸炎
アイソザイム検査で疾患部位が特定できたら、自他覚症状からそれぞれの病気に適した検査法が選択され、確定診断されます。

異常があったら
ほかの肝機能検査、特にGOT・GPT、LAP、γ-GTPなどの値も参考にして診断します。
ALPが異常値で、GOTやGPTの値にも異常がある場合は、肝臓や胆道系の病気が疑われます。特に慢性肝炎や肝硬変、栄養過多による脂肪肝などの慢性疾患、探査機などの胆道系疾患では、GOTやGPT値が軽度から中等度上昇し、ALP値も少し上昇します。

胆道の閉塞、狭窄や肝内うっ血では、LAP値やγ-GTP値も、しばしば同時に上昇します。
ALPが異常値でもGOTとGPTが異常値ではない場合は、肝臓や胆道系以外の病気が疑われます。その場合は前述のALPアイソザイム検査やLAP、γ-GTPなどの検査を行ないます。

異常な場合に疑われる病気
閉塞性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁うっ滞、胆石、胆道系のがん、すい臓がん、がんの骨転移、骨軟化症、甲状腺機能亢進症、慢性腎不全など



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肝臓の検査の数値:LDH(乳酸脱水素酵素)

体内で糖分がエネルギーに転換されるときにはたらく酵素の一種です。細胞に含まれていますが、肝臓や腎臓、心筋、骨格筋、赤血球などに特に多く含まれています。

臓器などに異常があって細胞が壊死すると、細胞中のLDHが血液の中へ大量に流れ出します。その量を測定するのがLDHの検査です。

LDHが含まれている上記の組織に障害が起こると、血液中にLDHが流れ出して高値を示すようになります。特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。

慢性肝炎肝硬変などの肝臓病、腎不全、悪性貧血などの血液病、筋ジストロフィーなどの骨格菌の病気、間質製肺炎、さまざまな臓器のがんなど、多くの病気で血液中に増加するので、これらの病気を発見するスクリーニング検査として用いられています。

LDHの検査
血液を採取して遠心分離し、自動分析器で測定します。運動によっても変動しやすいので、検査前にはスポーツなどをせず、直前に階段などを駆け上がったりしないようしましょう。


基準値
LDHの基準値はSFBC準拠法で180~370IU/lですが、測定法(ほかにUV法、PL反応法など)によって異なるので注意が必要です。男女の差はありませんが、妊娠後半期に急上昇し、出産前は基準値の2倍近くになります。

検査結果の判定
血清中のLDHが低値なら問題ありませんが、上昇するのは損傷した臓器の細胞からLDHが漏れ出ていることを意味しています。基準値の4~5倍も高値を示す場合は急性肝炎や心筋梗塞、肝臓がんが疑われ、高値でも軽度の場合は全身の色々な病気が考えられます。
この検査だけで病気を特定することはできません。

異常があったら
LDHは肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋などの病気や、悪性腫瘍で増加します。異常値が出たら、どの臓器の病気かを知るためにアイソザイム検査が行なわれます。アイソザイムとは、同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群のことで、LDHの場合は、さらに分析するとLDH1~LDH5の5つに分けられます。

肝臓の病気の場合、現在進行中の肝細胞障害の度合いを示しています。急性肝炎の初期にはLDH5が著しく増加します。肝臓がんでも増えます。しかし、慢性肝炎、肝硬変では数値はあまり上がりません。

心筋梗塞や溶血性貧血ではLDH1が非常に高くなります。筋ジストロフィーではLDH2が、大腸がんではLDH3が、肺梗塞と慢性骨髄性白血病ではLDH2とLDH3が、それぞれ増加します。

肝臓の病気とわかれば、GOT・GPT、ALP、コリンエステラーゼ、腹腔鏡検査、肝生検などの検査や、臨床症状を合わせて判断され、治療が行なわれます。

異常な場合に疑われる病気
心筋梗塞、心不全、悪性貧血、白血病、急性肝炎、肝臓がん、胃がん、すい臓がん、大腸がん


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肝臓疲労が全身の疲労をまねく

肝臓の機能低下は全身の疲れにつながると考えられます。

肝臓は代謝や解毒などさまざまな機能を担っているので、エネルギーを日々大量に産生し消費しています。

肝臓のエネルギー代謝が鈍ると肝機能が低下し、疲労状態に陥ってしまう可能性があるのです。

アンモニアの増加が全身の疲労をまねく
細胞内にある「ミトコンドリア」では、生命活動の原動力である「ATP」というエネルギーをつくり出しています。また肝臓のミトコンドリアではATPをつくり出す他に、「アンモニア」やアルコール摂取で生じる「アセトアルデヒド」といった人体に有害な物質の処理もしています。

細胞がATPをつくり出すためには、ミトコンドリア内のTCAサイクルという回路を効率よく機能させる必要があります。その働きを邪魔する物質の1つに、アンモニアがあります。

アンモニアはミトコンドリアの環境を悪くすることで、ATPが作られるのを妨げるといわれています。

つまり、エネルギーを順調につくり出すためには、アンモニアの解毒を促進することが大切なのです。

アンモニアの解毒にはATPが必要です。アンモニアが増えると、ATPの消費が増える上に、つくり出されるATPが減ってしまうということなのです。

このように、エネルギー不足で肝機能が低下すると、有害物質の処理などが進みにくくなり、全身が疲労してしまうと考えられます。


飲酒がエネルギー産生のじゃまをする
ATPの産生を妨げるもう1つの物質がアセトアルデヒド。お酒を飲んだ後に、アルコールを分解する過程で作り出される物質です。

アセトアルデヒドは、アンモニアと同様、身体に悪影響を及ぼす物質で、細胞をキズつけます。これによって、ミトコンドリアをはじめとする細胞の機能が低下すると考えられます。このようにして、アセトアルデヒドもエネルギーの産生を阻害し、疲労をまねく可能性があります。



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肝臓の慢性炎症が肝臓がんの再発を促進

わが国では、肝臓がんによる死亡者数は80年代から増え始め、現在では年間3万5千人もの人が肝臓がんで亡くなっています。

悪性腫瘍の死亡順位の中で肺がん・胃がん・大腸がんについで第4位です。

肝臓がんの治療後の再発には、治療した肝臓がんがすでに肝臓内や他の臓器に転移していた場合と、肝臓がんが別の場所に新たに発生する場合があります。

日本人の肝臓がんのほとんどはB型かC型肝炎ウイルスの持続感染者で、慢性肝炎・肝硬変を経て肝臓がんに至るという経過をたどっています。

肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変になった肝臓は、肝臓全体が発がんしやすい状態になっているため、一つの腫瘍を消滅させても、他の場所に新たに発生するリスクが高いのが特徴です。

最初にみつかった肝臓がんを治療したあと、1年以内に約30%が再発し、5年以内に70%以上が再発しています。

肝臓がんの体積倍加時間平均4~6ヶ月と報告されています。通常、3ヶ月おきくらいに検査を行い、がんが小さいうちに、局所療法などで除去することが基本です。

肝臓の発がんを促進する最大の要因は、炎症の持続によって活性酸素の害が増えることと、細胞死に伴って細胞の増殖活性が促進されることです。

ウイルスを排除できなくても、肝臓の炎症を抑え、肝細胞の壊死と炎症の程度を反映するGOTやGPTを低い状態に維持することにより、肝がんの発生率を有意に低下できることが示されています。



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抗炎症作用が肝臓がんの再発率を低下

肝臓がん切除後に抗がん剤治療などの補助療法を行っても、再発率や生存期間を良くする効果は得られていません。

切除手術後に抗がん剤のUFTを投与した臨床試験では、生存率をむしろ下げる結果が得られています。
肝臓内の炎症を抑えて肝臓がんの発生を抑制する治療法として、抗炎症作用のあるグリチルリチン製剤や、ウイルスを駆除するインターフェロンや抗ウイルス薬が検討されています。

グリチルリチンは漢方で使う甘草に含まれる成分で、慢性肝炎や肝硬変における肝機能改善効果が認められています。

長期間に渡って注射をしなければならない煩わしさがありますが、C型慢性肝炎患者の肝臓がんの発生率を低下させる効果があります。

C型慢性肝炎の場合は、ウイルスを駆除する目的でインターフェロン単独投与や抗ウイルス薬との併用療法が行われ、肝臓がんの発生率を低下させ、生存率を高める効果があることが報告されています。

ウイルスが駆除できない場合も多く、その場合は再発予防効果は期待できません。

貧血などの副作用のために治療が継続できない場合もあります。



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「ガンの名医」100人

2000年の週刊現代より
肺ガン
小林紘一
��呼吸器科教授) 慶応義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 思いやりの治療で定評。胸腔鏡手術、                                 科学治療にも最善を尽くす

浅村尚生
��肺科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 早期ガンの胸腔内視鏡の診断治療の先                                 がけで、術後の指導も的確

土屋了介
��第1病棟部長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 肺ガンの縦隔リンパ節郭清による根治                                 手術、胸腔鏡手術の先駆者

成毛韶夫
��副院長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 手術傷の最小化と精神的ケアで機能の温存と早期の社会復帰を推進

加藤治文
��第1外科教授) 東京医科大学病院(東京都)
                   ℡03-3342-6111 レーザー治療の草分けで、早期肺ガンに光線力学的治療を実施する

小中千守
��第1外科助教授) 東京医科大学病院(東京都)
                   ℡03-3342-6111 気管支鏡を駆使して様々な肺ガンに対応。局所麻酔で検査も短い

高橋秀暢
��外科医長) 都立荏原病院(東京都)
                   ℡03-5734-8000 放射線と化学療法の併用などでガン細胞が著しく縮小、延命効果大

植松 稔
��放射線科講師) 防衛医科大学校病院(埼玉県)
                   ℡042-995-1511 早期肺ガンを放射線のピンポイント3次元照射で確実に切除する

野田和正
��呼吸器科部長) 神奈川県立がんセンター(神奈川県)
                   ℡045-391-5761 懇切な説明のもとに、ヘリカルCTを用いた診断に力を入れている

杉浦孝彦
��呼吸器科部長) 愛知県がんセンター(愛知県)
                   ℡052-762-6111 肺小細胞ガンの化学療法と放射線療法の併用に顕著な進歩を示す

福岡正博
��第4内科教授) 近畿大学医学部付属病院(大阪府)
                   ℡0723-66-0221 新しい抗ガン剤の導入など、集学的治療によって進行ガンに成果

今村文生
��呼吸器科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 早期ガンにはレーザー治療、
進行ガンには化学療法でともに好実績

和田洋巳
��呼吸器外科教授) 京都大学医学部付属病院(京都府)
                   ℡075-751-3111 呼吸器外科医としては肺移植研究を手掛けるなどのパイオニア


胃ガン
中島聰總
��副院長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 1万2千例の胃ガンデータベースで治療法を選択。化学治療も併用

丸山雅一
��内科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 原則としてガンを告知し、患者が現状を受け入れてから治療に当たる

北島正樹
��外科教授) 慶應義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 国内初の遠隔内視鏡手術ロボット導入で究極の低侵襲手術を実現

丸山圭一
��胃科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 胃全摘出、周辺臓器合併切除など、
高難度の技術は世界的水準にある

鶴丸昌彦
��第1外科教授) 順天堂大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3813-3111 ガンのステージごとに適切な治療、
切除術経験豊富で成績優秀

青木照明
��一般消化器外科部長) 東京慈恵会医科大学付属病院(東京都)
                   ℡03-3433-1111 拡大手術を避け極力胃を残し、
術後の障害を最小限に止める医療

吉田和彦
��第1外科助教授) 東京慈恵会医科大学付属病院(東京都)
                   ℡03-3433-1111 症例数は国内トップクラス。
身体負担の少ない治療方法を選択

寺元龍生
��第1外科教授) 東邦大学医学部付属大森病院(東京都)
                   ℡03-3762-4151 体にやさしい低侵襲ガン治療を積極的に推進。自律神経を温存

下村一之
��外科外来医長) 埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県)
                   ℡0492-28-3400 腹腔鏡下手術で術後の痛み少なく治療期間を短縮、技術力は抜群

多田正弘
��消化器内科副部長) 埼玉県立がんセンター(埼玉県)
                   ℡048-722-1111 つねに最新の治療法に立脚、
内視鏡診断、治療と化学療法で好結果

吉野肇一
��外科部長) 東京歯科大学市川総合病院(千葉県)
                   ℡047-322-0151 早期胃ガンやポリープなどの内視鏡的切除によりQOLの維持目指す

大橋秀一
��内視鏡外科教授) 大阪大学医学部付属病院(大阪府)
                   ℡06-6879-5111 積極的な内視鏡手術の推進者。
自ら考案した腹腔鏡胃内手術で有名

古河 洋
��副院長) 市立境病院(大阪府)
                   ℡0722-21-1700 スキルス胃ガンに対して、
術前化学療法と拡大手術で成功例多い

永井祐吾
��内視鏡部助教授) 和歌山県立医科大学付属病院(和歌山県)
                   ℡073-447-2300 内視鏡による早期発見で根治性と
��OLを損なわない治療をすすめる

北野正剛
��第1外科教授) 大分医科大学医学部付属病院(大分県)
                   ℡097-549-4411 難度の高い噴門部の胃ガンも、
高度な消化管再建術でクリアする

愛甲 孝
��第1外科教授) 鹿児島大学医学部付属病院(鹿児島県)
                   ℡099-275-5111 患者の個別事情を配慮し、
オーダーメード治療と術後ケアを推進


大腸ガン
畦倉 薫
��消化器外科医長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 排尿・性機能を温存し、ガン病巣のみを切除して社会復帰を容易に

太田博俊
��消化器外科副部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 内視鏡診断による早期発見、内視鏡の高周波治療で良好な成績

森谷冝皓
��大腸科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 進行に応じた外科治療に定評。リンパ節切除など拡大手術も良好

小平 進
��第1外科主任教授) 帝京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3964-1211 直腸ガンに対して機能を温存する根治手術で、豊富な経験を有する

高橋慶一
��外科医長) 都立駒込病院(東京都)
                   ℡03-3823-2101 自律神経温存治療を積極導入、局所再発率3.6%は国内最低を誇る

森 武夫
��外科指定部長) 都立駒込病院(東京都)
                   ℡03-3823-2101 熟達した専門医チームを編成、直腸自律神経温存手術の先駆者

渡邊昌彦
��外科講師) 慶応義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 腹腔鏡下手術を400例以上執刀。
創が小さく1週間で退院可能

藤本 章
��医師) 県央胃腸病院(神奈川県)
                   ℡046-224-5533 ガン告知は患者の性格と家族の意向次第。治療は苦痛緩和を念頭に

加藤知行
��消化器外科部長) 愛知県がんセンター病院(愛知県)
                   ℡052-762-6111 内視鏡的治療から、機能温存を最大限に考慮した外科治療に実績

進藤勝久
��外科部長) 近畿大学医学部境病院(大阪府)
                   ℡0722-99-1120 術後機能を考慮した縮小手術や腹腔鏡を使った手術を実施する

亀山雅男
��外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 内科と連携した集学的治療で、高レベルのQOLと高い治癒率を挙げる

伊藤英明
��第1外科教授) 産業医科大学病院(福岡県)
                   ℡093-603-1611 直腸ガン手術による人工肛門を避け、神経を残し排尿・性機能温存


肝臓ガン
山崎 晋
��肝臓科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 肝腫瘍の手術数国内最多。難度の高い肝硬変合併症にも実績大

小俣政男
��消化器内科科長)) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝動脈塞栓術など、原発性肝細胞ガンに対する内科的治療が有名

椎名秀一郎
��消化器内科医局長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 高周波でガン細胞を死滅させるラジオ波焼灼療法のトップランナー

幕内雅敏
��肝・胆・膵外科科長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝切除手術の死亡例ゼロ、どう手術の名手として世界的に知られる

岡崎伸生
��副院長兼センター長) 茨城県立中央病院 茨城県地域がんセンター(茨城県)
                   ℡0296-77-1121 末期ガンにも治癒を断念せず、QOLを考慮した懇切な治療を実施

大西久仁彦
��病院長) 大西内科(埼玉県)
                   ℡0492-71-6250 肝臓の画像診断、開発した経皮的腫瘍内酢酸注入法は画期的効果

橋本大定
��外科教授) 埼玉医科大学総合病院医療センター(埼玉県)
                   ℡0492-28-3400 自ら開発した数々の器具を駆使した
安全確実な内視鏡手術に定評

三浦 健
��病院長) 三浦病院(埼玉県)
                   ℡0492-54-7111 手術不能の患部動脈に抗ガン剤を注入。切除手術に匹敵する好成績

荒井保明
��放射線診断部部長) 愛知県がんセンター(愛知県)
                   ℡052-762-6111 局所麻酔で肝動脈にカテーテルを挿入し、抗ガン剤を投与し高実績

中村仁信
��放射線医学講座教授) 大阪大学医学部付属病院(大阪府)
                   ℡06-6879-5111 肝細胞ガンに対して、ガン存在区域への塞栓化学療法で壊死させる

佐々木洋
��参事兼第一外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 内科、放射線科とのチーム医療による集学的治療。症例は関西最多

高安幸生
��放射線科部長) 市立芦屋病院(兵庫県)
                   ℡0797-31-2156 IVR手法で肝臓ガン患部に直接抗ガン剤を投与し、好成績を実現

才津秀樹
��外科医長) 国立病院九州医療センター(福岡県)
                   ℡092-852-0700 マイクロ波焼灼治療で内視鏡肝切除と遜色ない低侵襲を達成した


食道ガン
加藤抱一
��特殊病棟部長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 内視鏡部、放射線科との連携で、縮小、合併治療などの選択も可

井上晴洋
��第1外科) 東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3813-6111 食道ガンに対する内視鏡下食道切除と
再建術を併用しQOLに配慮

宇田川晴司
��消化器外科部長) 虎ノ門病院(東京都)
                   ℡03-3588-1111 ガンの縮小治療・機能温存と根治性の両立を目指し、治療を個別化

吉田 操
��食道外科部長) 都立駒込病院(東京都)
                   ℡03-3823-2101 他の医療機関からの難治患者も多く、
根治手術で世界からも注目

大津 敦
��5A病棟医長) 国立がんセンター東病院(千葉県)
                   ℡0471-33-1111 食道がんに対する放射線化学療法で非切除治療。根治手術と同等成績

落合武徳
��第2外科教授) 千葉大学医学部付属病院(千葉県)
                   ℡043-222-7171 遺伝子治療も視野に入れた広範な臨床姿勢。根治手術と縮小手術も

幕内博康
��消化器外科教授) 東海大学医学部付属病院(神奈川県)
                   ℡0463-93-1121 内視鏡下で身体的負担の少ない手術。
早期ガンは100%社会復帰

田中乙雄
��外科部長) 新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県)
                   ℡025-266-5111 縮小、拡大手術まで集学的治療を併用して良好な実績を収める

伊藤勝基
��第2外科) 名古屋大学付属病院(愛知県)
                   ℡052-741-2111 腹腔鏡下の切除術に定評がある。術後の化学療法の導入にも積極的

中尾昭公
��第2外科) 名古屋大学付属病院(愛知県)
                   ℡052-741-2111 内視鏡補助下における食道の切除、
および再建術を強力に推進する

甲 利幸
��第1外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 進行ガンも含め、3段階の治療法で5年生存率46%は全国一の成績


膵臓ガン 小菅智男
��第2領域外来部長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 有数の症例経験にもとづく多種の治療法を組み合わせて根治例多い
高田忠敬
��第1外科教授) 帝京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3964-1211 臓器の温存など、高いQOLを目指し合理的な開発、改良で注目

尾形桂郎
��病院長) 栃木県立がんセンター(栃木県)
                   ℡028-658-5151 積極的な外科治療と、
照射、抗ガン剤など集学的治療で成果大

真辺忠夫
��第1外科教授) 名古屋市立大学病院(愛知県)
                   ℡052-851-5511 徹底した郭清と機能維持を図り、高いQOLを達成して高評価

石川 治
��第1外科部長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 拡大郭清や肝転移予防のための
��チャンネル化学療法で生存率向上


泌尿器ガン
福井 巌
��泌尿器科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 膀胱の全摘出など重篤な症例も多く、
尿路変更術などにも好成績

堀越 昇
��化学療法部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 自家白血球の培養によって強力な抗ガン剤投与が可能、副作用減少

山下 孝
��放射線治療科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 手術しない放射線温存治療に積極的。
抗ガン剤との併用も効果大

東原英二
��泌尿器科教授) 杏林大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡0422-47-5511 腎臓、膀胱、前立腺などの大手術の名手、腹腔鏡の使用にも積極的

村井 勝
��副院長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 ガンの進行度によって治療法を多角化、セカンドオピニオンも歓迎

垣添忠夫
��病院長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 泌尿器ガンの根本治療、QOLを考慮した代用膀胱の開発で注目

鳶巣賢一
��尊号病棟部長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 尿管悪性腫瘍に強く代用膀胱を開発。
自然排尿、性機能温存も

三木 誠
��泌尿器科教授) 東京医科大学病院(東京都)
                   ℡03-3342-6111 前立腺疾患の内視鏡手術等ではQOLを眼目とした臨床例が数多い

山中英寿
��泌尿器科教授) 群馬大学医学部付属病院(群馬県)
                   ℡027-220-7111 前立腺ガンを得意とし、PSAを利用した早期発見で画期的成果

岡田裕作
��泌尿器科教授) 滋賀医科大学医学部付属病院(滋賀県)
                   ℡077-548-2111 過去2000症例をもとにして
患者の個別状況にきめ細かく対応する


頭頸部ガン
鎌田信悦
��頭頸科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 顔の変形を防ぐ再建術、頭蓋底部への重い進行ガンの手術に定評

佐竹文介
��頭頸科部長) 群馬県立がんセンター(群馬県)
                   ℡0276-38-1111 事前の説明、検討などオープンな治療で好評。とくに舌ガンに強い

海老原敏
��病院長9 国立がんセンター東病院(千葉県)
                   ℡0471-33-1111 定評ある外科手術で、他の再手術なども多い当分野の第一人者

吉野邦俊
��耳鼻咽喉科部長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 2000例を超える症例をもとに、
喉頭温存を前提の治療で先駆者的存在


脳腫瘍
吉本高志
��脳神経外科教授) 東北大学医学部付属病院(宮城県)
                   ℡022-717-1211 最新の非侵襲的検査、内視鏡、ガンマナイフなどを積極的に導入

河瀬 斌
��脳神経外科教授) 慶應義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1211 設備、経験、実績に加え、最先端の治療への取り組みも積極的

野村和弘
��副院長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 腫瘍専門病院としての総合的態勢で、
あらゆる治療法で対応する

水上公宏
��理事長) 千葉脳神経外科病院(千葉県)
                   ℡043-250-1228 脳ドックの先駆者で、
脳卒中手術の実績は6000例以上を数える


皮膚ガン
石原和之
��所長) 石原診療所(東京都)
                   ℡03-5560-3000 悪性黒色腫については第一人者。
皮膚ガン増加傾向に警笛を鳴らす

池田重雄
��皮膚科) 埼玉医科大学付属病院(埼玉県)
                   ℡0492-76-1111 悪性黒色腫などの手術法を確立。
免疫・化学療法にも積極的姿勢


乳・子宮ガン
霞富士雄
��乳腺外科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 的確な進行度判断にもとづく治療法の選択、乳房温存にも高実績

荷見勝彦
��婦人科部長) 癌研究会付属病院(東京都)
                   ℡03-3918-0111 子宮ガンの理論と臨床、治療の基礎研究にも多くの実績をのこす

青木大輔
��産婦人科講師) 慶応義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1121 患者の生活設計を重視し、卵巣切除を最小限に止めて出産も可能に

進 伸幸
��産婦人科診療医長) 慶応義塾大学病院(東京都)
                   ℡03-3353-1121 早期子宮ガン手術ではリンパ節を温存することで術後のQOLを維持

福富隆志
��外科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 乳房温存手術の適応拡大を目指し、
身体にやさしいガン治療を実現

川端隆志
��外科医長) JR東京総合病院(東京都)
                   ℡03-3320-2200 早い時期から乳房温存治療を推進。
データに基づく化学療法を導入

高山雅臣
��産婦人科主任教授) 東京医科大学病院(東京都)
                   ℡03-3342-6111 内視鏡、CTなど最新診断を採用、
光線、免疫治療なども併用する

宮内 充
��乳腺外科医長) 千葉県がんセンター(千葉県)
                   ℡043-264-5431 細胞診による早期診断が好調、高レベルの乳房温存手術が好評

雨宮 厚
��乳腺外科部長) 大船中央病院(神奈川県)
                   ℡0467-45-8111 可能なかぎり乳房温存を図る治療で、
��400例の実績を挙げている

蔵本博行
��婦人科教授) 北里大学病院(神奈川県)
                   ℡042-778-8111 予後のケアに重点。妊娠・出産が可能なレーザーなどの治療効果大


肝臓がんによる黄疸

皮膚が黄色くなってしまうのが黄疸です。色々な原因がありますが、その一つが肝臓がんです。

肝臓がんによって肝機能が下がると黄疸になります。本来、胆汁の成分となるはずのビリルビンという黄色の物質が血液中に蓄積されてしまうためです。

赤血球は古くなると血流から取り除かれるのですが、赤血球の中でも酸素を運んでいるヘモグロビンは分解されて、ビリルビンという物質になります。

肝機能が低下して胆汁としてビリルビンが排出されるスピードが落ちてしまうと、血流の中に溜まってしまい、白目や皮膚の色を黄色くしてしまうのです。

黄疸は他にも色々な病気によって引き起こされます。同じでも膵臓癌が原因になっていることもありますし、胆石やすい炎が関与していることもあります。

黄疸の症状皮膚や白目が黄色くなるといった外見的な特徴のほかに、尿の色が濃くなることや、皮膚のかゆみを感じることもあります。また、吐き気や発熱が同時に起きることもあります。

黄疸は進行してから現れる肝臓がんが原因になっている場合には、黄疸は初期症状として現れるものではありません。

ほとんどの場合には、すでに進行してから生じ、末期になってから発見されることも少なくありません。

      
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男女別・年齢別にみた年間の肝臓がん死亡率

肝臓がんには、二通りあります。ひとつは肝臓自身からできる癌で、これを「原発性肝癌」と云います。もうひとつは他の臓器の癌、たとえば胃癌とか大腸癌の細胞が、門脈を通って肝臓に到達し、そこで成長する「転移性肝癌」です。

肝臓には基本となる肝細胞の他に胆道系の細胞がありますから、原発性肝癌にも二通りあります。

肝細胞癌と胆管癌で、肝炎ウイルスが原因となっている場合には、全て肝細胞癌だと断言できます。全てをひっくるめて圧倒的に多いのは肝細胞癌ですが、組織を詳しく調べないと厳密に区別することが難しい場合があります。

死亡統計では「肝癌」、肝炎ウイルスが関連している場合には「肝細胞癌」として、この二つを使い分けることにしました。

 2001年に死亡した癌患者で癌が発生した臓器別の頻度を男女で比較すると、男性では肺癌と胃癌に次いで肝癌が第3位を占めます。

4位が大腸癌で5位が食道癌と続きます。女性での肝癌は胃癌、大腸癌と肺癌に次いで第4位にあり、女性に特有な癌である5位の乳癌よりも頻度が高くなっています。

年とともに肝癌が増加することが確実に予想できますので、肝癌の順位は男性でも女性でも近い将来に上がっていく筈です。

 臓器以外にも、女性の癌患者は男性の癌患者と比べて、様子がずいぶん違っています。全体として10万人当たりの死亡数が男性と比べてずいぶん少ないです。

絶対数でも2001年で男性の癌死亡が10万人当たり209人、女性で103人ですから、男性が女性の二倍も多く癌で死亡しています。勿論、肝癌も男性上位でもっとこの傾向が強く、肝炎ウイルスが原因になる肝細胞癌では、男女比が3対1から4対1もあります。

2000年の男女別、年齢別の肝癌患者を比較しますと、男女とも、40代から80代のなかばまでに肝癌が集中していますが、40歳以下の若い人にも肝癌が発生します。

また、男女ともなだらかな山の形となっていますが、よく見ると、男性のピークは60~64歳にあり、女性ではもう少し高齢にあります。全体のパターンと平均年齢から、女性の肝癌は男性より5年くらい遅れて発症することが知られています。

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東日本と西日本で違う肝臓がん死亡率

長期にわたる大量の飲酒は、アルコール性肝硬変を介して肝がんを引き起こすのではないかとされてきました。

ドイツのレールバッハ博士(1967)が「飲酒量とアルコール性肝障害は密接に関連しており、1日平均180g(日本酒で約7.5合)以上のアルコールを15年以上摂取すると、アルコール性肝炎や肝硬変の発生頻度が非常に高くなる」と報告した。

日本酒換算で1日平均7合以上飲むとアルコール性肝障害を引き起こす、と短絡的に結びつけられました。

しかし日本における肝がんの死亡率には大きな地域差があります。

日本酒など醸造酒を多く飲む東日本と比べて、蒸留酒(焼酎・ウイスキー他)の消費が多いとされる西日本の方が肝がんでの死亡率が高く、これは戦後ほぼ一貫した地域特性となっています。

      

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肝臓がんの進行速度

原発性肝臓がんの肝細胞がんの進行速度はまさに人それぞれですが、進行が早いと言われるスキルス性の胃がんに比べたら、比較的進行がゆっくりのがんです。

肝臓がんの原因であるウィルスに感染していることに気が付かず、治療をせずにいると、ウィルス感染から10年~30年ほどかけて肝炎、肝硬変、そして肝臓がんへと悪化していきます。

50歳頃からウィルス感染の進行は早くなってしまうため、結果的に肝臓がんになるのは早いと言われています。

肝臓がんになってしまっても進行は比較的遅いのですが、着実に進んでいってしまうので、早くに発見して治療をしなければいけません。

進行速度はがんの種類や状態、大きさ、そして年齢などによって変わってきます。
年齢が若い30代40代といった人のほうが肝細胞癌がんの進行が早く、気がついた時にはかなり進行していたというケースも少なくありません。

高齢者で肝細胞がんの進行が遅く、転移は見られるものの上手く治療をすることができるケースもあります。

進行速度の違いというのはがんの種類、状態、年齢による部分も大きいのです。

同じ肝臓がんでも、胆管細胞がんという種類の場合、肝細胞がんよりも進行が早いと言われています。

転移性肝臓がんの場合は、既に他の臓器からの転移ということで進行速度も人それぞれ大きく異なってきます。

一般的に、転移性肝臓がんの進行速度は原発の方のがんの進行速度を見ます。

原発が胃がんの場合は進行が早いと言えますし、大腸がんの場合は進行が遅いと言えます。


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コーヒーの摂取量が多いと肝臓がんの発生率が低下

コーヒーを飲んでいる人は肝臓がんの死亡率が低いという研究結果が報告されています。

研究によるとコーヒーを飲まない人と比べて摂取群では肝臓がん発症リスクが全体で41%低下していました。

コーヒーの摂取量別の肝臓がんリスクの低下は,少量~中等量飲用群が30%,大量飲用群が55%でした。また,1 日のコーヒー摂取が 1 杯増えることにより全体で23%のリスク低下が認められました。

��日2~3杯程度のコーヒーで肝臓がんの発生リスクが半分くらいになるという報告は魅力的です。
動物実験でもコーヒーには大腸がんや肝臓がんの発生を抑える効果が報告されています。

発がん予防効果のメカニズムとして、コーヒーに多く含まれるクロロゲン酸などのポリフェノール類やメラノイジンによる抗酸化作用が指摘されています。

野菜や果物から抗酸化物質を多く摂取していると一般的に考えられていますが、米国人は他の食品よりもコーヒーから抗酸化物質を多く摂取しているという報告もあります。

肝臓がんの発生や再発予防において抗酸化作用は重要なので、抗酸化作用の強い成分を豊富に含むコーヒーが有効なのかもしれません。




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肝臓を守る正しいお酒の飲み方

1 自分の体質にあった適量で
飲みすぎないことは鉄則だが、自分に合った量を知ることが最も大切です。

酒の影響が表れてくるのは飲み始めて30分~1時間後なので、酒の初心者は最初の1時間、少しずつアルコールを摂取しながら、自分の体調の変化を見極め、1時間あたりに飲める自分の適量を知るようにしよう。

水で割れる焼酎などの酒で、濃さを調整しながら飲むのがお勧めです。


2 酒は“いち銘柄”に。飲み方を変えて
複数の酒を一度に飲むと酔いやすいのはよく知られているが、同じ種類の酒でも銘柄を変えると酔いやすくなることはあまり知られていない。

銘柄が違うと成分も若干異なるため、アルコール分解機能をもつ肝臓に負担がかかりやすい。


3 飲んだアルコールと同量の水を摂取する
アルコールは肝臓で分解されるが、その過程で大量の水が必要です。

飲んだアルコール量と同じかそれ以上の水分を摂るようにしよう。

また、焼酎やウイスキーは水で割って飲むことができるのでお勧め。

「飲みすぎたな」と思ったら寝る前に水を大量に摂る。


4 酒の温度に注意する。常温か、お湯割りで
人間は、舌の温度(約35℃)に近いほど、味を感じることができる。

酒も、常温~少し暖かい程度が、最も味わいを感じられる状態だ。

冷えすぎた酒は内臓を冷やすことにもつながり体に負担がかかるので、特に夜22時以降は、ロックは避けるようにしよう。

お湯割りは香りも強く、飲みすぎ防止効果もあります。


5 高たんぱくの食事と組み合わせて

食事を食べながら飲むのは、酔いすぎないための基本です。

肝臓のエネルギー源はたんぱく質なので、高たんぱくの食事(肉料理、魚料理、卵料理、豆類)をとりながら飲むのが特にお勧めです。


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肝臓がんの入院期間

肝臓がんの入院期間は何ヶ月も及ぶというのは多くはありませんが、やはりがんですから入院は必要となってきます。

一般的な原発性肝臓がんの切除手術をする場合の入院期間
手術の数日前から入院し、手術に備えます。
手術後は傷の治りや体調などを見て退院の日を決めますが、ほとんどの人は10~20日ほどで退院できます。

がんの切除手術ではなく、経皮的エタノール注入療法や経皮的マイクロ波凝固療法、ラジオ波焼灼療法といった局所治療の場合の入院期間はより短くて、3日~1週間程度で済みます。

がん以外に肝硬変がある場合や高齢の場合などは入院期間が一ヶ月ほどに長引いてしまう人もいます。
厚生労働省によると肝臓がんの平均入院日数は26日となっています。
通常の手術で必要な日数よりも長いのがわかります。

がんが再発するたびに検査が必要になりますので、約一ヶ月の期間の入院が再発のたびにあると思った方がいいかもしれません。
肝臓がんの入院は、連続で数ヶ月というよりも、入退院を繰り返すというイメージです。

転移性の場合の入院は、原発のがんの治療が中心となってくるのではっきりとした入院期間ははっきりとわからないものです。

原発のがんの治療が入院の必要のない抗がん剤治療をするケースもあれば、原発のがんの切除手術と、転移性肝臓がんの切除手術を同時期に行うケースもあります。

転移性のがんの状態だけでなく、原発のがんの状態に大きく左右されてしまうのですが、がんの多くの平均入院日数は30日前後というデータがあります。

がんの状態が悪いときは退院できず、しばらく入院が続くという人も少なくはありません。



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G型肝炎とは

肝炎ウイルスは、これまでA、B、C、D、Eの5種類のほかに、G型とTT型が発見され、合計7種類とする説もありました。その後の研究で、G型肝炎、TT型肝炎に感染しながら肝炎を発症しない人が多いことが分かりました。
最近ではG型とTT型は肝炎ウイルスの部類に入れないことになっています。


【G型肝炎】
G型肝炎は、肝炎です。

ほとんどは輸血経験者で、透析患者や血友病患者が多いので、医療行為が原因と考えられています。

日本で、献血のときにG型肝炎ウイルスをチェックしたところ、100人に1人が感染していたそうです。

G型肝炎ウイルスは、C型肝炎ウイルスに構造が似ていることが特徴です。

G型肝炎は、急性肝炎を発症しても自覚症状が黄疸が出ることもほとんどありません。


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E型肝炎とは

E型肝炎は、A型肝炎と同じように、ウイルスの保菌者の便によって汚染された生水や食品を口にすることで感染します。

E型肝炎は、潜伏期間が感染源の生水や食品を突き止めるのが難しいといわれています。

潜伏期間を過ぎると、A型肝炎に似た、発熱や黄疸をともな急性肝炎を発症し、抗体ができて治ります。


【E型肝炎の特徴】
E型肝炎の特徴は、感染率が青年と大人で高く、小児で低いことがあげられます。
ウイルス性肝炎にくらべて、劇症肝炎になりやすいことです。
女性がE型肝炎に感染してしまうと劇症肝炎になりやすいといわれ、その死亡率は20%という高い確立なので注意が必要です。


【E型肝炎の治療法】
E型肝炎の治療法は、A型肝炎と同じで、劇症肝炎をのぞいて安静にすることが第一となります。

予防法は確立されていませんが、海外旅行などで多発地帯に行くときには、生水と食品を口にしないという心がけが必要です。
E型肝炎の多発地帯は、インドネシアなどです。

A型肝炎はワクチンが開発されていますが、E型肝炎のワクチンはまだ完成していません。


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D型肝炎とは

D型肝炎とは、ウイルス性の病気です。

D型肝炎ウイルスは、肝炎を起こす性質をもってはいますが、それ自体では存在できません。

D型肝炎ウイルスは、B型肝炎がなければ存在できません。


【δ(デルタ)肝炎】
B型肝炎の患者の肝細胞から、HBV(B型肝炎ウイルス)とは違うウイルスが発見されました。
ウイルスは、“δ(デルタ)因子”と名づけられました。
その後の研究で、δ因子はウイルスであることが分かりました。
この肝炎は、現在ではD型肝炎と呼ばれるようになりました。


【D型肝炎の特性と地域】
HDV(D型肝炎ウイルス)はHDV自体を捉えることはできません。
抗体を検出することはできます。
それによって、D型肝炎に感染しているかどうかを調べることができます。

D型肝炎は、島などに多い肝炎です。
アジアはB型肝炎の多発地帯ですが、陽性率は低いといわれています。
日本では、HBV(B型肝炎ウイルス)キャリア(ウイルスを持っている人)の0.1~0.4%にすぎないそうです。


【D型肝炎に感染すると?】
D型肝炎は、血液で感染します。

・輸血などでB型肝炎とD型肝炎に同時に感染する場合・もともとB型肝炎のキャリア(ウイルスを持っている人)がD型肝炎に重感染する場合
※重感染とは、ある肝炎のキャリアが別の肝炎に感染することをいいます。

B型肝炎・D型肝炎を感染する場合では、B型肝炎が一過性ですむため、B型肝炎が治るとD型肝炎も無くなります。
B型肝炎・D型肝炎、2種類の急性肝炎が起きるため、劇症肝炎などにといわれています。
B型肝炎のキャリアがD型肝炎に感染した場合、問題になることがあります。
B型慢性肝炎への重感染で、B型慢性肝炎が劇症化することもあります。
B型肝炎のキャリアがD型肝炎に感染した場合、D型肝炎が率が高くなり、70%がB型肝炎とD型肝炎のキャリアにといわれています。


【D型肝炎の治療】
D型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスがなければ存在できません。
D型肝炎は、B型肝炎を体から追い出せば排除されるので、D型肝炎の治療としてはB型肝炎の治療を行ないます。




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アルコール性肝障害

アルコール性肝障害とはアルコールの摂取しすぎによって起こる病気です。

アルコールが原因で起きる肝障害は肝臓病全体から見ると決して多くありません。

長年お酒を飲み続けるとアルコール性肝障害になる可能性は高くなります。

ビールなら大瓶6本ぐらいを毎日欠かさず15年以上飲酒している場合、50パーセント以上の確率で肝硬変なるというデータがあります。

肝硬変にならなくても、アルコールの多量摂取によって何らかのアルコール性肝障害を起こしているとされています。

アルコールが大好きな方はアルコール性肝障害にならずに、ずっとお酒を飲めるように考えながら飲むようにすることがお勧めです。アルコール性肝障害は進行すれば命にかかわる病気です。


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アルコールと肝臓病の関係

アルコールが摂取されると肝臓によってエネルギー源に変えられ最終的には炭酸ガスと水に分解され排出されます。

毎日大量にアルコールを摂取すると、肝臓は絶えず働き続け休むことが出来ずに傷んでアルコール性肝障害の可能性が高まります。

またアルコール性肝障害の問題は摂取するアルコールの量であり、アルコールに強い、弱いということと、アルコール性肝障害にはまったく関係がありません。

アルコールを大量に飲む人ほどアルコール性肝障害になる可能性が高いです。

お酒が好きな方はアルコール性肝障害の発見のためにも年に1回は、生活習慣病予防健診で肝臓の検査を受けるといいでしょう。

アルコール性肝障害などの異常が見つかれば超音波検査やCT検査、腹腔鏡、肝生検などの詳しいが行われます。

アルコール性肝障害は、早期に発見し早期治療を受ければ肝がんに進むことはあまりありません。


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B型肝炎の感染経路:垂直感染(母子感染)

現在、日本のHBV感染者は120万~150万人いるとされていますが、その多くは母子感染防止策がとられる以前の母子感染によるものです。

母親がHBVに感染していると、出産のときに産道において血液を介して赤ちゃんに感染することがあります。乳幼児は免疫機能が未熟なため、HBVに感染してもウイルスを異物と認識することが難しく、また認識できても排除する能力が弱いためウイルスは肝細胞にすみつき、感染した子供は無症候性キャリア。

思春期~30歳ごろになると免疫機能が発達し、ウイルスを体内から排除しようと肝細胞を攻撃し始めるため、肝炎を発症します。しかし、多くの人は肝炎の症状も軽く、肝障害が進行することは少ないのですが、HBV感染者の約10%の人が慢性肝炎に移行します。また、HBV感染者の約1~2%の人が、肝硬変、肝がんを発症します。

現在では、母子感染防止策がとられており、新たな母子感染はほとんど起きていません。




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B型肝炎の治療法

B型肝炎の治療法

主に次の4種類の方法があります。

ラミブジン(Lamivudine:ゼフィックスTM)

ヌクレオチドアナログであるラミブジンは内服の抗ウイルス剤で、副作用も少ないため各国で広く使用されています。ALTが正常値の2倍以上の高値で経過する場合には、本剤を使用する適応がありますが、肝臓専門医による投与が理想的です。e抗原陰性例やe抗原陽性でもHBV-DNAが108copy/ml以下であれば効果も良好ですが、e抗原でHBV-DNAが108copy/ml以上の場合には治療効果に限界があり、6ヶ月目前後より耐性株の出現が高頻度で注意が必要となります。耐性株が出現することによる肝炎急性増悪が起こった場合は、インターフェロンの他、同様な抗ウイルス薬であるアデフォビルAdefovirが有効です。
いずれの場合においても1年以上の長期投与が原則となります。

ラミブジン1日100mg内服を1年間行った場合のe抗原e抗体系のセロコンバージョン率は、治療前のALT値に比例します。ALT値が正常の5倍以上であれば65%、2~5倍であれば25%、2倍以下では5%以下です。ラミブジンにインターフェロンを併用するとセロコンバージョン率が高くなり、また、長期投与を行うとセロコンバージョン率が高くなると報告されています。


インターフェロン

抗ウイルス剤として以前より使用されており、ラミブジンと同様の治療目標で、同様の治療適応の薬剤です。インターフェロンは注射剤で、発熱・全身倦怠感・うつ病などの副作用もありますが、ラミブジンにみられるような耐性株の出現はありません。両薬剤は、投与期間・薬剤費用・通院の手間・副作用出現などについて、患者への十分な説明が必要となります。
インターフェロン治療は、通常週2~3回で6ヶ月またはそれ以上の間歇長期投与で行われますが、多くの場合、治療開始初期のみ4週間程度の連日投与が行われます。

ALTが正常の2倍以上のe抗原陽性慢性肝炎に対して、週2回のインターフェロン治療を6~12ヶ月間行うと、e抗原陰性化率は30~40%で、無治療の10~15%より高率となります。インターフェロン投与方法による治療効果の違いは大きく、4週間連日投与のみを行ったわれわれの治療症例ではe抗原陰性化率は19.5%となりました。また、インターフェロン治療例を長期に観察した51例のわれわれの集計では、7年後のe抗原陰性化率は49.0%でした。


ステロイド離脱療法

e抗原陽性のB型慢性活動性肝炎に対して、宿主の免疫能の高まったALT上昇時期にステロイド剤を3~4週間投与する治療法です。投与終了後に特徴的なALTの反跳現象がみられ、この時期の経過観察後にe抗原陰性化・ALT正常化を期待する治療です。ALT反跳時期に肝炎重症化を引き起こす危険性が指摘されているので、肝臓専門医以外での治療はできません。肝硬変に近い進行慢性肝炎症例やAFP高値の慢性肝炎症例においては行えません。

e抗原陰性化率は1年後約50%、3年後は約70%です。


その他の治療薬

漢方製剤である小柴胡湯、グリチルリチン、グリチルリチン注射剤(強力ネオミノファーゲンCTM)、ウルソデオキシコール酸などは免疫調節剤・肝庇護剤として主としてトランスアミナーゼを低下させる目的で使用されますが、ウイルス学的な効果は小さいです。プロパゲルマニウムは免疫調節作用があり、トランスアミナーゼの反跳現象を経てウイルス学的な改善をもたらしますが、一時的な肝炎重症化の危険性も指摘されています。

グリチルリチン注射製剤を1日40mlで週5回以上静脈注射すると16%の症例でALTの正常値が得られました。1日100mlとすると32%の症例でALT正常値が維持できています。ウルソデオキシコール酸内服は、これらグリチルリチン製剤と相加的ないし相乗的作用を示して、ALT低下をもたらします。



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B型肝炎の治療法

急性B型肝炎では、まず安静が第一です。

急性肝炎の場合では劇症肝炎への悪化を防ぐため入院が必要になります。

黄疸が消え、肝機能がある程度回復してくると自宅療養用も可能になってきます。

薬物療法では、抗ウイルス剤と細胞自体が自己防衛のため産生する物質の生成促進剤や、一旦免疫を薬剤で抑制しそのリバウンドで免疫力アップを図る方法もあります。

B型の慢性肝炎は、C型慢性肝炎とは異なりウイルス除去が困難といわれています。

治療目的は患部位の炎症つまり肝炎を抑える事とされています。


B型肝炎のウイルスは「HBs」「HBe」「HBc」の3種類の抗原を持ちそれぞれの抗原と抗体の関係で、治療法も変わります。




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C型肝炎の原因

��型肝炎だけではなく、A型肝炎も、B型肝炎も原因となるもののほとんどはウイルス感染です。

ウイルスに感染したからといって、全ての人が肝炎を発症するわけではありません。

特に普段から飲酒の習慣などがある人の方が発症や進行が早いといわれています。

ウイルスの感染に加え、生活習慣も肝炎の原因になりうると考えられます。

��型肝炎の原因となるC型肝炎ウイルスは血液を媒介として感染するといわれています。

感染する人の中で、発症するのは6割から7割程度であると言われていて、そのうちの3割程度の人は、そのまま肝炎にならずに治癒してしまいます。

��型肝炎ウイルスに感染して、慢性的な肝炎の状態になると、肝硬変や肝がんを発症する可能性も高くなります。

��型肝炎ウイルスに感染している人は、日本では200万人程度存在するといわれていますが、実際にはその4分の1程度の人しか医療にかかっていないといわれています。

これは、C型肝炎ウイルスに感染しているということが、自覚がないからです。

��型肝炎を発症していたとしても、自覚症状がほとんどないため、実際に血液検査を受けないとわからないという状況です。

最近では、C型肝炎の原因である、血液感染を防ぐ処置がとられていますから、これからC型肝炎ウイルスに感染する人は減っていくかもしれませんが、年齢の高い人は、C型肝炎ウイルスに感染している人がいる可能性があります。





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C型肝炎治療法

C型肝炎の治療法には、C型肝炎ウイルスを体の中から排除して感染からの治癒を目指す原因療法と、肝機能を改善して肝炎の悪化、進展予防のための対症療法があります。

原因療法(インターフェロン療法)
主役はウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロンです。C型肝炎ウイルスを体内から排除することを目指します。ウイルスを排除できると、肝炎から肝硬変や肝がんに、あるいは代償性肝硬変から非代償性肝硬変や肝がんへと進む危険性を大幅に少なくすることができます。いくつかの種類がありますが、いずれも注射剤です。抗ウイルス薬(飲み薬)と組み合わせて使う場合もあります。


対症療法(肝庇護(かんひご)療法)
ウイルスを体内から排除する効果はありません。進展の予防、肝炎の沈静化を目的として肝機能〔AST(GOT)とALT(GPT)〕を改善します。



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C型肝炎の感染予防

C型肝炎があるからといって、ほとんど感染する必要はないといわれています。

C型肝炎が感染するためには、C型肝炎の人の血液が他の人の血液の中に入る必要があります。

一緒に入浴しても大丈夫でしょうし、洗濯も一緒に洗っても大丈夫であるといえます。

しかし、C型肝炎の人が出血した場合は、多少の注意が必要です。

出血があるパターンとしては、鼻血やころんで怪我をしたときなどは出血がありますので、処置をしたティッシュなどは、しっかりと血液が他に付着しないように捨てるようにする必要があります。

歯ブラシは、歯茎から出血することがありますから、共用すると感染する可能性がないとはいえないので、避けるようにします。

かみそりについても、肌から出血する恐れがありますので、共用しないようにします。

血液以外にも、唾液でもC型肝炎に感染するのではないかと考える人もいるかもしれませんが、基本的に唾液でC型肝炎に感染するということはありません。

��型肝炎があるからといって、あまりにも神経質になる必要がありませんが、出血の恐れがあるものに関しては、ある程度の注意が必要になってくると考えられます。




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C型肝炎の感染経路

C型肝炎の感染経路としては、輸血、手術、予防接種などです。

鍼や予防接種に関しては、昔に行なわれたことがある場合は一度検査をした方がいいと考えられます。

輸血に関しては、C型肝炎の感染経路としてもっとも多い感染経路です。

1992年より前に輸血を受けたことがある人の場合は、感染している可能性があると考えられます。

1992年より前の輸血のための血液に関しては、C型肝炎ウイルスに対しての処置が十分ではなかったためです。ですから、透析などを利用していた人にも多いと言われています。

鍼や予防接種に関しては、使い捨ての注射針が使用されていた当時に、予防接種や鍼を利用した人は感染している可能性があります。以前の注射針は使い回しであり、消毒はしますが、消毒が不十分である場合は、感染する可能性があります。

ピアスに関しては、特にボディピアスなどで体に穴をあけるために、器具を使用しますが、その器具の衛生状態がよくないとC型肝炎に感染経路になっている可能性があります。

最近では注射針についても、当然使いまわしたりはしませんので、感染経路が少なくなってきているのは事実です。

過去にこのような感染経路に接触した可能性のある人はまだ潜在的にはいる可能性は高いと考えられます。




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C型肝炎での食事療法

C型肝炎ウイルスに感染した人が鉄を多く含まれた食品をとり過ぎると肝臓病が悪化します。

C型肝炎ウイルスに感染している人は、肝臓に鉄が必要以上にに蓄積してしまいますので、普段の食生活で鉄分の摂取を減らす食事を心がけることにより肝臓の負担を少なくし、進行を防ぐことが大事だとされています。

肝臓病は鉄制限食療法を勧められます。

鉄分は多く含む食品を紹介します。

レバー・・・鶏、豚、牛など、どの種類のものにも多く含まれる

赤身の肉・・・牛肉や赤身の魚

卵・・・卵黄に多く含まれる

大豆・・・大豆製品すべて

貝類、海藻類など

鉄分が肝臓病を悪化させると明らかになっている今、これらの食品には鉄分が豊富に含まれていますので食事のときに大量に摂取することは控えた方がいいかと思います。

鉄制限食の内容は1日の鉄分摂取量が6mg以下で1日のエネルギー摂取量30kcalが望ましいとされています。



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C型肝炎とアルコール

肝臓がんの原因としては、アルコールの取りすぎによるものと考えられてきましたが、最近では肝臓がんの直接的な原因としては、C型肝炎ウイルスによるものであるといわれるようになりました。

��型肝炎にはアルコールは関係ないのかと言うと、むしろアルコールを多く飲んでいる人ほど、C型肝炎を悪化させるということがわかってきています。

��型肝炎が悪化するということは、肝臓がんになる可能性が高いということですから、間接的にはアルコールの飲み過ぎも、肝臓がんとは無関係ということではありません。

アルコールを飲み過ぎると、肝機能が低下し、C型肝炎ウイルスに感染している場合は、脂肪肝になりやすくなります。

脂肪肝になると、C型肝炎の治療の妨げにもなりますから、治療上もよくありません。

��型肝炎が発見された人は、アルコールをほどほどにする必要があります。

アルコールの飲み過ぎは、肝機能の低下を初め、あらゆることに関係してきますから、C型肝炎に関わらず、注意をする必要があるでしょう。




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C型肝炎と鉄分

C型肝炎では、気をつけなくてはいけないポイントとして、あまり鉄分をとりすぎないということです。

なぜC型肝炎があると、鉄分をあまりとりすぎてはいけないかというと、C型肝炎ウイルスに感染している状態ですと、鉄分が肝臓に付着しやすくなるからです。

鉄分が肝臓に付着しやすくなると、肝炎が悪化しやすくなります。

鉄分を全く食べないということは、実際には不可能ですので、多少食べることは問題ないと思われます。

肝臓に言いといわれている、しじみなどは実は鉄分が含まれています。

肝臓にいいからといって、しじみをたくさん食べることは、返って逆効果ということになってしまいます。

しじみ以外にも、納豆や小松菜、ひじき、レバーなども、鉄分が多く含まれていたりします。

食生活において、C型肝炎だからということで神経質になる必要性はありませんが、少しは鉄分を意識して、鉄分を多く含まれる食品を食べ過ぎてはいけないかチェックする必要性もあります。




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C型肝炎の母子感染

��型肝炎で気になるものとしては、母子感染への影響があります。

母親がC型肝炎ウイルスに感染した人であっても、その子どもがC型肝炎ウイルスに感染する確率としては、2~3%程度であると言われています。

��型肝炎であっても、授乳していたのは共通しているので、授乳したからといって感染するわけではありません。

実際にC型肝炎に感染した子どものうちのほとんどは、数年経てばウイルスが体から消失していることも多いようです。

ウイルスが体内にあったとしても、肝臓の病気は進行は、成人してからなので、子どもときに特別C型肝炎の処置をすることはありません。

このような情報から、C型肝炎で母子感染はほとんどなく、感染したとしても、それほど大きな問題にはならないことが多いということがわかってきましたので、C型肝炎があるからといって、出産をためらるという必要性はないといえます。



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C型肝炎の薬

C型肝炎の薬の目的は、C型肝炎ウイルスの消失のためにあります。

C型肝炎の用いられる薬の代表としては、インターフェロンという薬が有名ですが、通常のインターフェロンの場合は、1週間に3回も注射をする必要がありました。

最近ではこのインターフェロンを改良することによって、1週間に1回の注射で足りるようになりました。これをペグインターフフェロンと呼びます。

このペグインターフェロンの利点は、注射の回数だけではなく、血中濃度を安定し、副作用も少ないというのが特徴です。

ペグインターフェロンには、2種類あり似ていますが、副作用などが若干違います。

��型肝炎の薬には、インターフェロン以外にもリバビリンという薬もあります。リバビリンは、C型肝炎ウイルスを除去する能力はありませんが、インターフェロンと併用することにより、さらにインターフェロンノンの効果を高めることができます。その結果、ウイルスを消失することに大いに貢献することができます。

ウイルスの除去の目的だけでなく、肝がんの発症を抑えるために、薬を吹くよす売ることがあります。ウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤などの薬を使用します。

これらの薬をウイルスの状況を見ながら、単独で用いたり、併用したり用いながら治療をしていきます。




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肝硬変の原因:脂肪肝

健康診断でγGPTやGOTの値が高くて、病院で診察してもらったら脂肪肝と診断された。

脂肪肝と診断されてもそれほど深刻に受け止める人はほとんどいないと思います。

あまりにも脂肪肝という病気が一般的になってしまったせいもあり、脂肪肝は怖くない病気だと勘違いされている感じがします。

脂肪肝は男性の10%、女性の3%がかかっていると言われる国民的な生活習慣病の一つで肝臓に脂肪が溜まり肝機能が徐々に損なわれていく病気です。

脂肪肝くらい大丈夫だろうと安易にに考えていると数年後、数十年後には肝硬変や肝臓癌に進行してしまう可能性のある病気なのです。



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脂肪肝の症状としては初期の段階ではほとんど自覚症状はありません。

脂肪肝が進行した場合は、「疲れやすい・体がだるい・食欲がない」といった、肝臓病の一般的症状があらわれます。

肝臓は元来、沈黙の臓器といわれるくらい我慢強い臓器で多少の無理をしたとしても自覚症状があらわれることはほとんどありませんから、もし自覚症状があらわれた場合はすぐにでも治療をしなければなりません。

脂肪肝の原因としてあげられるのが、「肥満」「アルコール」「糖尿病をはじめとした代謝異常」の3つですが、「肥満」と「アルコール」が原因の約70%をしめています。

最近では、原因の一つとされてきた「アルコール」での脂肪肝は減少傾向にあり、そのほとんどの原因が「肥満」となっています。

アジアの人々は脂肪を蓄積しやすい遺伝子をもっており、更に食生活が欧米型の糖分や油分が多い食生活に変化してきたこともあり肥満が増加し、その影響で脂肪肝が増加したとも言われています。

注意しなければならないのは体系的な肥満だけが脂肪肝の原因ではないということです。
無理なダイエットをしたりすると、どうしても体内に脂肪を蓄えようとする力が働き肝臓に脂肪が蓄えられてしまいます。
外見的には肥満とは無縁の体系をしていても身体の中は肥満状態ということもありますので注意が必要です。


肝硬変の原因:ウイルス性肝炎

アルコールや肥満が原因で発症する肝硬変以外にウイルスが原因で肝硬変や肝臓癌を発症してしまう場合があります。

日本人の場合の肝硬変の原因でもっとも多いのが、ウイルス性の肝硬変でB型肝炎ウィルスとC型肝炎ウィルスによるものです。

ウイルス性肝炎は、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。

��型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染します。これは海外での食事が原因となる場合が多いようです。

��型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。輸血や母子感染が主な原因となる場合が多いようです。

血液をかいして感染するB型、C型、D型肝炎ウイルス中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなります。

肝炎になると、肝臓の細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなります。
一部の方では、倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸などの症状が出ることがありますが、全く症状が出ないことも少なくありません。

B型肝炎の場合は、まったく症状が出ない無症候性キャリアの方がほとんどで、全体の10~20%の方のみが肝炎を発症します。

C型肝炎ウイルスの場合はB型肝炎ウイルスより肝炎や慢性肝炎、肝硬変や肝臓癌に進行する割合が高くなります。

どちらのウイルス性肝炎の場合も血液で感染しますので、他人の血液に安易に触れないようにすることが重要です。

肝炎ウイルスは空気感染はしませんので、常識的な注意事項を守っていれば、日常生活でうつることはまずあり得ません。



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肝硬変の原因:アルコール

アルコールは適量を飲めば百薬の長ともいわれていますが、適量というのが難しいです。

どの程度の飲酒で肝硬変の危険度が増すかといいますと1日平均150g以上のアルコールを飲む人が危ないと言われています。

この量はお酒に換算すると、日本酒で約5合、ビール大びんで約5本、ウイスキーではダブルで約5杯ということになります。

これだけの量を毎日飲む人なんてそうはいないと思うのですが日本人の1/50人もの方がこれだけの量を飲んでいるそうです。

この量を2週間続けただけで脂肪肝になり、日本酒約3合を毎日飲む方の2割はがやがてアルコール性肝障害を発症し、一部症例では、発熱、黄疸、右上腹部痛、肝臓の圧痛、食欲不振、嘔吐、下痢などの自覚症状を訴えます。

更にアルコール性肝硬変に至ると、しばしば糖尿病、下肢の浮腫、黄疸、腹水、痔出血、吐血を認めるようになります。

男性の場合は、この量を20年間飲み続けると肝硬変になる可能性が高くなり、女性の場合は12年間飲み続けると、その可能性が高くなります。

最近では男性より女性の方の飲酒の割合が高くキッチンドランカーという言葉でもわかるように肝硬変になる前にアルコール依存症の症状が現れることも少なくありません。

ウイルス性の肝炎を患っている状況での大量飲酒は肝硬変だけではなく肝臓癌に進行してしまう割合が高くなりますので注意が必要です。



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アルコールが原因の場合の肝硬変の治療は、まず断酒です。

アルコールを断たないことには肝細胞へのダメージを無くすことは出来ませんので、禁酒ではなく断酒をすることが治療前の準備となります。


肝硬変の症状:初期

食欲不振

肝硬変では無くとも、ちょっとした体調不良や疲れでもあらわれる症状ですがれっきとした肝硬変の初期症状の一つです。。
食欲が無いのに嘔吐や吐き気などの症状があらわれますので、自分がどこか悪いのではと疑うことの出来る症状の一つです。


体重減少(激減)

肝硬変により胃腸食道の消化と吸収機能に異常が出る場合と食欲不振によって体重が激減します。


倦怠感、疲労感

はっきりとした理由も無いのに、なぜか最近疲れやすい。だるい。などの症状があらわれます。
極端な話し、歩くことさえ億劫になってしまいます。


メラニンの増加による肌の黒色化

肝機能が損なわれることでメラニン色素が増殖します。そのため肌が露出している部分の色が日焼けをしたように黒色化していきます。
日焼けをしたような肌で健康的に見えるかもしれませんが、日焼けをしたつもりもないのに肌が黒色化した場合は注意が必要です。


お腹のハリや腹痛、下痢

アルコールを多量に飲んだ次の日にも現れる症状ですが、肝硬変の初期症状としても現れます。
また、他の病気の症状と酷似しているため注意が必要です。
この症状が進むと黄疸などの症状が出てきます。


右わき腹の痛み

肝臓は腹部の右上部にありますので、この部分の痛みが続く場合は注意が必要です。
この症状は肝硬変の患者の半数以上が経験しますので、倦怠感、疲労感もある場合は専門医での受診を行ってください。

出血

初期症状として鼻や歯茎からの出血がみられることがあります。
この出血は肝機能が弱まったことにより、血小板の減少や血液を凝固させるための成分が減少するため、一旦出血すると止まりにくく繰り返すのが特徴です。



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肝硬変の症状:中期

黄疸

黄疸とはビリルビンという色素が血液中に増加し、その結果、全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態を意味します。

日本人の場合は肌の色が元々が黄色ですので判断は難しく、基本的には眼球の白目の部分が黄色いかどうかで判断します。

素人が見てもわかるくらい黄色ががっていますので、眼球を見て黄色ががかっている場合はすぐにでも専門医での受診をしてください。


静脈瘤

肝硬変の患者さんのほとんどに合併症として現れる症状です。

肝硬変で肝臓内の血液が流れにくくなると、一部が食道へ向かい静脈瘤を起こします。

食道静脈瘤の破裂は最悪の場合出血多量による死につながりますので注意が必要です。

これには胃と食道に与える刺激を極力小さくするため柔らかいものや加工してあるものや消化しやすいものとる必要があります。



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肝硬変の症状:末期

肝硬変の症状が進行していくと眼球の白めの部分に黄疸が出てきます。
また皮膚にも黄疸の症状があらわれてきます。
腹水などもかなり溜まっているはずですので、頻繁に腹水を抜く処置もおこなわれようになります。

この頃には肝機能がかなり低下した非代償性の肝硬変へと進行していますので通常であれば肝臓で無毒化されるアンモニアなども、血管を通してそのまま脳にまわってしまい、肝性昏睡という意識障害などを引き起こす肝性脳症の症状があらわれてきます。

肝性脳症が現れる頃には症状もかなり進行していますので、ほとんどの方は助からない可能性が高くなってしまいます。

肝性脳症肝性脳症は肝硬変が進行した場合に起きることがあるもので、意識障害が主な症状です。

ただ、意識障害といっても、気分にムラがあるとか異常行動をするとかの肝硬変とは関係ないような症状が現れる場合と、昏睡状態など一見して何らかの異常があると判断できる場合があります。

肝性昏睡
肝性脳症を原因とする昏睡です。昏睡と言っても眠ったような状況になるのではなく、意識がある状態での異常行動なども含まれます。
基本的に肝性脳症の昏睡度は5段階に分類されています。

昏睡度1
昼夜睡眠覚醒サイクルの逆転や興奮と抑うつ、だらしなさを気にしない、などの異常がみられる。
昏睡度2
軽い傾眠状態がおこり、財布を捨てたりする異常行動、物を置いた場所や時間が分からないといった意識障害のほか、羽ばたき振戦が見られることがある。
昏睡度3
嗜眠状態にあり、極度の怯え、興奮状態などが見られる。
昏睡度4
意識を消失し昏睡に至るものの、痛みや刺激に対する反応は見られる。
昏睡度5
痛みや刺激に対する反応が見られない深昏に至る。



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肝硬変の治療

肝硬変になった肝臓を元に戻すことは、現在の医療技術では不可能です。

問題は残っている肝臓の活動を助けることと、肝硬変の原因となっている肝臓の病気の治療の二つに重点を置きます。

肝臓の活動を助けることは、生活習慣の改善が良き治療法となります。

アルコールを制限し、タンパク質や塩分などの栄養素のコントロールも必要になってきます。

栄養バランスの取れた食事を心がけながら、また適度な運動を取り入れることによって代謝機能の回復も取り組みます。要するに肝臓に負担をかけないことが望まれるのです。

肝臓の病気の治療は、肝硬変の原因である根治治療を目的とします。

肝炎が原因の場合はその種類によっての治療を行います。B型肝炎やC型肝炎などが有名で、インターフェロン療法が効果があると言われています。

黄疸や腹水、食道静脈瘤などの合併症の症状が見られる場合は、それらの治療も随時行っていきます。肝硬変の症状が進まないよう、可能な限りこまめに体調の変化に注意したいところです。

肝硬変は治らない病気ですが、肝硬変が理由で死ぬというものでもありません。

合併症の治療、生活習慣の改善など、病気に対する姿勢を正せば、問題なく日常生活を送ることができるのです。




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肺がんに強い病院ベスト10

2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計で、男性は1位・女性は2位が肺がんが原因で亡くなっています。今、ヘリカルCTと呼ばれる装置を使った肺がん検診と、体に負担をかけすぎない肺がん手術が注目されています。

 一流の外科医に加えて、抗がん剤治療の上手な腫瘍内科医、画像診断と放射線治療の両方が得意な放射線科医の3拍子が揃った総合力がいい病院です。


神奈川県立がんセンター (神奈川県)
 呼吸器外科 中山治彦(なかやまはるひこ) 部長、
 呼吸器内科 野田和正(のだかずまさ)部長 (電話)045-391-5761
中山治彦外科部長は国立がんセンターで肺がん手術の腕を磨き、年間150例以上をこなしています。「がんの完全切除=がんの根絶」と、「術後の生活に支障をきたさない=QOL(生命・生活の質)の重視」という二点をモットーにしています。
「胸部写真に『影がある』と言われたら、肺がんの専門医のいる病院ですみやかに精密検査を受けましょう。自覚症状がないあkらといって放置してはいけません。早期発見、早期治療はがんの診療において大変重要なことです。また肺がんの手術はどこの病院でも同じようにできるわけではありません。手術数や抗がん剤の治療数が多く、経験豊かな医師のいるところをえらびましょう。」(中山治彦部長)

国立病院機構 刀根山病院 (大阪府)
 呼吸器外科 前田元(まえだはじめ)部長、呼吸器内科 横田総一郎(よこたそういちろう)部長、放射線科 高島庄太夫(たかしましょうだゆう)部長(電話)06-6853-2001
 過去25年間で、4934人が肺がん手術を受けており、手術症例全体の5年生存率は68.9%です。呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科、病理部の関連しているそれぞれの科が合同でカンファレンス(治療検討会)を毎週行い、一人一人の患者に最適の治療方針を決定しています。
「半年~1年に1回は胸部レントゲンを取ること。喫煙者は喀痰検査も。治療に際しては、病気の進行度と、体調を十分考慮して決めること。手術の場合は、必ず禁煙すること。術前から呼吸訓練をしっかり行うこと。抗がん剤治療を受ける場合、副作用対策に関する説明をよく聞き、積極的に取り組むこと」(前田元部長)

国立病院機構 九州がんセンター (福岡県)
 呼吸器科 一瀬幸人(いちのせゆきと)部長、化学療法科 江崎泰斗(えさきやすと)部長、
 放射線治療科 平田秀紀(ひらたひでき)部長(電話)092-541-3231
 内科、外科の区別のない、総合的な肺がん治療が特色です。年間手術数の121例中104例は内視鏡手術(腹腔鏡下および胸腔鏡補助下手術)です。進行肺がんに対しては、新規抗がん剤など、一般病院では使用できない薬剤を用いた治療を行うこともあります。
「最良の肺がん医療を目指すと同時に、スキンシップを通して信頼関係を築き、『病む人の気持ち』を何よりも尊重しています。また、けっして一人の医師の判断で医療を行わないようにしています。診療においては総合的知識、経験が必要と考えるからです。セカンドオピニオンを大いに利用してください」(一瀬幸人部長)


岩手県立中央病院 (岩手県)
 呼吸器外科 半田政志(はんだまさし)科長、呼吸器内科 武内健一(たけうちけんいち)科長、放射線治療科 関澤玄一郎(せきざわげんいちろう)科長 (電話)019-653-1151
半田政志科長は「あの先生は手術が巧い」と評判。あくまで患者の意向を尊重しつつ、肺がん診療ガイドラインに準拠した「テーラーメードの手術」が心情です。

石川県立中央病院 (石川県)
 小田誠(呼吸器外科診療部長) (電話)076-237-8211

国立病院機構 西群馬病院 (群馬県)
 斎藤龍生(院長)、渡辺覚(内科系診療部長)、川島修(呼吸器外科医長)
 (電話)0279-23-3030

東京医科大学病院 (東京都)
 呼吸器甲状腺外科 加藤治文(かとうはるぶみ)教授、呼吸器甲状腺外科 坪井正博(つぼいまさひろ)講師、呼吸器甲状腺外科 大平達夫(おおひらたつお)講師
 (電話)03-3342-6111

京都大学医学部付属病院 (京都府)
 呼吸器外科部長 中山勝裕 (電話075-751-3111)

静岡県立静岡がんセンター (静岡県)
 呼吸器外科 近藤春彦(こんどうはるひこ)部長、呼吸器内科 山本信之(やまもとのぶゆき)部長、放射線治療科 西村哲夫(にしむらてつお)部長 (電話)055-989-5222

兵庫県立がんセンター (兵庫県)
 呼吸器外科 坪田紀明 院長、呼吸器外科 岡田守人(おかだもりひと)医長、放射線科 足立秀治(あだちしゅうじ) (電話)078-929-1151

大分大学医学部付属病院 (大分県)
 呼吸器外科教授 川原克信 (電話)097-549-4411





胃がんに強い病院ベスト10

 胃がんの死亡率は肺がんに次いで第2位、死亡者数は年間5万人に上る。
 がんの進行度によって治療の選択肢も異なるが、胃がんの治療で専門家の評価が高い病院はどこなのか。

国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の内視鏡部は、早期胃がんに対する内視鏡治療数が年間約450例で全国トップを誇る。
 内視鏡治療とは胃カメラを介して行う治療。がんの根元にワイヤをかけ高周波電流を流して焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、ITナイフ(高周波針状ナイフの先端にセラミック製のチップを付けたもの)などを用いてがんをまくり上げるように切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。
 同病院では96年に胃壁を傷つけないように工夫したITナイフを開発し、2000年からESDを本格的に始めた。
「現在、内視鏡治療の99%はESDです。EMRは最大径2センチまでのがんが対象で、がんを焼き切るため、大変大事な病理判定を不正確にすることがあります。しかし、ESDの対象は最大径2センチ以上のがんと広く、しかもがんの組織を傷つけないように切除する方法なので、病理判定が正確にできるという利点があります」(斉藤大三部長)
 ESDは通常、全身麻酔で行われるが、患者が検査室のベッドに寝いいる時間は30分~3時間、平均60~70分だ。開腹手術より体への負担ははるかに少なく、入院も4~7日間ですむ。

大阪市立総合医療センター(大阪府)
 胃がんの進行度にはステージⅠ期からⅣ期まである。大阪市立総合医療センターの消化器外科は手術後の5年生存率がすべての病期で全国平均を上回る。I期が96・2%(全国平均91.4%)、II期が75.7%(68.6%)、III期が56.8%(39.7%)、
��V期が25.8%(6.7%)で、全体でも全国トップだ。
 同科での胃がんの年間手術数は約200例で、そのうち60~70%は腹腔鏡手術。 「おなかに0.5~1.2センチの穴を数カ所開け、その穴から手術用具を入れて、従来の開腹手術と同じ操作をするものです。原則としてII期以下の患者さんを対象にしています」(谷村愼哉副部長)
 この腹腔鏡手術のメリットは(1)手術後の痛みが少ない(2)傷がほとんど目立たない
��)手術の翌日に歩ける(4)術後の内臓の癒着や腸閉塞などの合併症が少ない
��)入院期間が短く、短期間で仕事に復帰できる――などである。
「腹腔鏡手術の術後の治療成績は、通常の開腹手術と比べてまったく遜色ありません」(谷村副部長)
 III期以上では病状と進行度に応じて、開腹手術や化学療法が行われる。

都立駒込病院(東京都)
 都立駒込病院化学療法科では、手術ができないほど進行した胃がんや、手術後に再発した胃がんに、抗がん剤治療を実施し、治療効果を上げている。症状の改善や生存期間の延長が目的だ。
「現在、経口抗がん剤のTS―1(一般名テガフール・ウラシル)を基本にし、ほかの抗がん剤も併用して治療効果を高めています。がんが半分以下に縮小し、その状態が1カ月以上続いた患者さんの割合(奏効率)は50%程度です。ここ2、3年で、抗がん剤治療の奏効率は飛躍的に向上しています」(佐々木常雄副院長)
 抗がん剤治療でがんを縮小させてから手術を行うケースもあるという。 抗がん剤治療のために短期入院中の進行・再発胃がんの患者は常時20人ほど。外来通院で治療を受けている患者は50人ほどだ。
「患者さんが元気なら、最初に用いた抗がん剤が効かなくなったら次の抗がん剤、さらに別の抗がん剤といくつものメニューが選べるようになりました。その結果、かなりの延命効果が得られるようになっています」と佐々木副院長。


埼玉県立がんセンター 消化器外科
 田中洋一部長 (電話)048・722・1111(埼玉県)
年間症例数は350例を超え、うち手術は180~200例で良好な5年生存率を得ている。
術式や術前化学療法の臨床試験も行う

国立がんセンター東病院 上腹部外科
 木下平外来部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
治療方針はすべて腫瘍内科医とのカンファランスで決定。ガイドラインに基づき、
進行度に応じた治療を選択。臨床試験も多数実施中

国立がんセンター中央病院 内視鏡部
 斉藤大三部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
早期胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は年間約450例で全国一。
斉藤部長はESD研究会の代表世話人で技術向上に尽力

癌研究会有明病院 消化器センター外科
 山口俊晴部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
延べ症例数は1万5000例に達し日本一。内科、外科などが合同で診療にあたる
チーム医療を推進。患者負担の少ない腹腔鏡手術にも熱心

都立駒込病院 化学療法科
 佐々木常雄副院長 (電話)03・3823・2101(東京都)
��975年、全国で初めて発足した化学療法科。抗がん剤の専門医7人が治療。
抗がん剤の臨床試験、新薬開発の治験にも力を入れる

新潟県立がんセンター新潟病院
 外科 梨本篤部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
術後合併症が低率で治療成績はトップレベル。機能温存縮小手術、根治を目指す
拡大手術、高度進行がんへの化学療法を中心に治療

静岡県立静岡がんセンター 胃外科
 米村豊副院長 (電話)055・989・5222(静岡県)
��OLを保証するため、進み具合に応じて、内視鏡的粘膜切除・腹腔鏡的胃切除・
最も適切なリンパ節郭清による胃切除術を行う

大阪府立成人病センター 消化器外科
 矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
内科とも連携して早期から進行まで進行度に応じたあらゆる治療を提供。
年間症例数300例以上。研究的な治療も積極的に取り組む

大阪市立総合医療センター
 消化 器外科 東野正幸副院長 谷村愼 哉副部長(電話)06・6929・1221(大阪府)
手術数は年間約200例、そのうち60~70%は腹腔鏡手術で行う。
��II期以上には病状と進行度に応じた治療でQOLを向上

九州大学病院 消化器・総合外科(第二外科)
 前原喜彦教授 (電話)092・642・5466(福岡県)
進行度に応じた手術と抗がん剤感受性試験に基づく化学療法を実践。
新規の抗がん剤による最適個別化療法を実施している



乳がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が開発され、治療の選択肢は広がりつつある。定評のある病院はどこなのか。


東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)


病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
  ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行


肝臓がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には
約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を
伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が
開発され、治療の選択肢は広がりつつある。
定評のある病院はどこなのか。


●東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

●国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

●京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)

 ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

●武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

●東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

●名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

●京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

●大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

●近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う



肝臓がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には
約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を
伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が
開発され、治療の選択肢は広がりつつある。
定評のある病院はどこなのか。


●東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

●国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

●京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)

 ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

●武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

●東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

●名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

●京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

●大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

●近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う



大腸がんに強い病院ベスト10

 大腸がんは、全長約1.5mの腸に発生するがんで、腸から肛門に続く長さ約15cmの「直腸」にできるがんが、大腸がんの全体のうちの約半分を占めています。また、上行・横行・下行・S状の4つに区分される結腸部分にもがんができます。
急増する大腸がんの新規患者数は年間約9万人、2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計では、男性で4位、女性で3位が大腸がんが原因で亡くなっています。

 以前の直腸がんの手術は、命の代わりに男性は性機能を失ったり、女性は尿が漏れやすくなったり、と、病気と戦いながら日常生活を送るにあたって、大変な苦しみがありました。

 今日では、できるだけ、自然の肛門と神経機能を温存する手術テクニックが普及して、この10年間でその苦しみを味わうことなく、がん治療に大きな貢献をもたらしています。

 それに加えて、大腸がんの「腹腔鏡下手術」、おなかに5mm~10mm程度の小さな穴を数箇所開け、腹腔鏡を入れて大腸を切除するがん手術が登場して、患者さんの体にかかる負担が大幅に減りました。

 増加をたどる大腸がん、新しい治療をはじめている日本全国の病院をご紹介します。


北里大学病院 外科 (神奈川県)
  外科 渡邊昌彦(わたなべまさひこ) 教授・國場幸均(こくばゆきひと)講師 
  (電話)042-778-8111
 腹腔鏡下手術の第一人者・渡邊昌彦教授は、累積手術数1000例以上。2003年12月に教授になってからは、2004年に268例、2005年に298例と大腸がんの手術が急増しました。(年間に同じ部位のがんの手術が200例を越えることはまれ)そのうち、渡邊教授、國場幸均講師らが得意とする腹腔鏡下手術が半数を占めています。その腕を求めて、東北や、関西、九州からも患者さんが来院するほどです。

新潟県立がんセンター 新潟病院 (新潟県)
  消化器外科 瀧井康公(たきいやすまさ)外科部長、
  消化器内科船越和博(ふなこしかずひろ)内科部長  (電話)025-266-5111
 内視鏡的切除が可能な早期がんは消化器内科の船越和博部長で担当し、切除が必要な早期がんや進行がんに対する手術を瀧井康公部長らの大腸外科が引き受ける、といった分担が出来ている。2004年の年間手術数218例のうち、直腸は74例、その他の結腸は144例でした。専門外来は毎週水曜日、新患は月~金曜日の毎日受け付ける体制を整えています。

国立がんセンター東病院 (千葉県)
  下腹部外科 齊藤典男(さいとうのりお) 手術部長、杉藤正典(すぎとうまさのり) 病棟医長、
  消化管内科 大津敦(おおつあつし) 内視鏡部長 (電話)04-7133-1111
 大腸がん手術287例中、直腸126例、結腸161例をこなす。消化器内科が手がける内視鏡的粘膜切除は150例あり、そのうちの95%は日帰りの手術、平均入院日数は2日ほどです。開腹手術は160例、平均入院日数は15日ほどです。また、腹腔鏡下手術117例でも、平均入院日数は10日ほどです。年間の外来数も、大腸がんだけで、1万3500人にもなります。

「大腸がんに対するもっとも効果的な治療は、いまだに手術による切除(または内視鏡下切除)です。しかし、がんの進行状況に合わせて機能温存手術や、低侵襲手術といった手術が可能になってきました。各治療法のメリットとデメリットをよく理解し、ご本人に合った治療法を選びましょう。」(杉藤正典医長)


●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

●札幌厚生病院 (北海道)
 外科 近藤征文(こんどうゆきふみ)副院長、益子博幸(ますこひろゆき)部長、消化器科 今村哲理(いまむらあきみち)副院長 (電話)011-261-5331(北海道)
 がんの完全切除と確実なリンパ摘出に取り組みます。消化器科の今村副院長と、黒川聖医長らは、大腸がんの内視鏡治療を得意としています。


●山形県立中央病院 (山形県) 
 外科 佐藤敏彦(さとうとしひこ)副部長、消化器内科 間部克裕(まべかつひろ)医師
 早期大腸がんの場合、内視鏡を使った粘膜切除術や、腹腔鏡を使った手術で術後平均10日の退院を可能にしています。進行再発がんに対しては、拡大手術を施行します。

●自治医科大学付属 さいたま医療センター (埼玉県)
 一般・消化器外科 小西文雄 教授、河村裕 講師  (電話)048-647-2111

●愛知県がんセンター中央病院 (愛知県)
 消化器外科 加藤知行(かとうともゆき)院長、平井孝(ひらいたかし)外来部長、金光幸秀(かねみつゆきひで)医長 (電話)052-762-6111(愛知県)
 加藤知行院長は日本を代表する大腸外科医の一人。結腸の早期がんには腹腔鏡下手術を慎重に行い、早期結腸がんに対しては、東海地方で唯一「経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)が行える装置を導入しています。」

●大阪府立成人病センター (大阪府)
 消化器外科 大植雅之(おおうえまさゆき) 医長、能浦真吾(のうらしんご)診療主任、消化器内科 飯石浩康(いいいしひろやす)部長 (電話)06-6972-1181(大阪府)

 進行直腸がんにもっとも力を入れており、可能な限り肛門温存手術に挑んでいます。早期の直腸がんでは経肛門的切除などの、「おなかを切らない手術」も行っています。


●広島大学病院 (広島県)
 消化器外科(内視鏡外科)岡島正純(おかじままさずみ)教授、小島康知(おじまやすとも)講師、池田聡(いけださとし)講師 (電話)082-257-5555(広島県)
大腸外科全般にわたり「患者さんにやさしい治療」を合言葉に、よりレベルの高い医療を目指しています。中国・四国地方ではトップクラスの病院で、岡島正純教授は大腸がん手術の名手として知られています。

●久留米大学病院 (福岡県)
 外科 白水和雄(しろうずかずお) 主任教授、緒方裕(おがたひろし)助教授、赤木由人(あかぎよしと)講師 (電話)0942-35-3311

 大腸がん年間手術数118例(直腸62例、結腸56例)とくに直腸肛門がんに対しては、内視鏡手術を取り入れ、「究極の肛門温存手術」として注目されています。


●高野病院 (熊本県)
 大腸肛門科 山田一隆院長 (電話)096-384-1011(熊本県)


食道がんに強い病院ベスト10

 食道がんは近年になって生存率が高くなった。
 
 食道がん全体の5年生存率は約15~35%で、20年前の10%以下に比べてかなり改善されている。

 手術と並んで、化学療法と放射線療法を併用する化学放射線療法も
注目されてきた。優れた治療実績のある病院?


東海大学病院(神奈川県) 
 内視鏡治療の5年生存率が97%越す 。東海大学病院の消化器外科は、食道がんの
治療数が年間約200例、累計2400例を超え全国トップクラスの症例数を誇る。
 がんが粘膜内にとどまる早期がん(粘膜がん)では内視鏡的粘膜切除術(EMR)を
年間70~80例、がんが粘膜上皮を越えて粘膜下層に入った1~3期では手術を年間
��0~90例、さらに進行して周囲の臓器に転移した場合では化学放射線療法を含む
治療を年間約40例行う。
 特に早期がんの内視鏡治療では88年にチューブを用いたEEMRチューブ法を開発
したことで知られる。
「がんを含んだ粘膜をチューブ内に吸引して切除しやすく工夫したのが、EEMRチューブ法
です。簡単にできる治療法なのでかなり普及しています。89年に本格的に開始し、
これまで820~830例に治療しています。EEMRチューブ法を含む内視鏡治療の
��年生存率は97.2%で全国トップです」と幕内博康教授。
 治療時間は15~30分。入院期間は3日間。退院後、半年ごとに検査を行い、
早期なら何度でも治療できる。現在、がんが粘膜下層の表層にあって、リンパ節転移の
ない場合(1b期)にもEEMRチューブ法を行う。

大阪市立大学病院(大阪府) 
 胸腔鏡手術数は全国トップクラス。大阪市立大学病院の第2外科では、他臓器への
浸潤や遠隔転移のない胸部の食道がんに対して胸腔鏡手術を行っている。
��6年からこれまでに約170例の治療を行い、胸腔鏡手術数では全国トップクラスだ。
 胸腔鏡手術とは胸部に小さな穴を数カ所開け、そこから小型ビデオカメラや手術器具を
挿入して、モニターに映し出された映像を見ながら、食道を切除したり、リンパ節を
取り除く手術法である。同病院では日本内視鏡外科学会の技術認定を受けた医師が
胸腔鏡手術を行う。
「さまざまな手術器具を開発して手技を改良した結果、通常の食道がんの開胸手術と
同じ時間で完了し、合併症も少なく、安全です。また開胸手術との治癒率にも差は
ありません」と大杉治司助教授。
 通常の開胸手術では胸部を開いて食道を切除し、同時に腹部と頚部(けいぶ)も開いて、
リンパ節を取り除く大手術となる。
「胸腔鏡手術では胸の傷が小さいだけでなく、カメラで術野が拡大されて見えるため、
より精度の高い手術が可能です。出血量も少なく、完全無輸血で行っています」
��大杉助教授)
術後にマラソンを楽しむ患者もいるという。

国立がんセンター東病院(千葉県)
 科学放射線療法で日本の中心的役割を果たす。国立がんセンター東病院内科は、
��2年頃から食道がんに対する化学放射線療法を本格的にスタートさせ、日本の中心的
役割を果たす。現在、年間約200例に行っている。食道がんの化学放射線療法は、
放射線を1回1.8グレイずつ合計28回行う。同時に、5―FUとランダかブリプラチンの
��種類の抗がん剤を併用する。
「がんが粘膜下層まで入った1期に対する放射線化学療法の2年生存率は93%で、
手術に匹敵する治療成績が得られています」と大津敦部長。
 また、食道がんの2~3期にも化学放射線療法を積極的に行っている。
「国内の臨床試験では、がんが完全に消失した比率は68%です」(大津部長)
 ただし、化学放射線療法でがんが完全消失した人の40%近くは再発する。その場合、
内視鏡的粘膜切除術、レーザーを用いた光線力学的治療、手術のうちから適切な治療法を
選択するという。こうした再発治療を加えることで、手術にほぼ匹敵する治療成績が
得られているのだ。


●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

恵佑会札幌病院 消化器外科
 細川正夫院長 (電話)011・863・2101(北海道)
年間の食道がん患者数は230例。内科、外科、耳鼻咽喉科、放射線科、形成外科、
病理が一団となって医療を行っている

国立がんセンター東病院 内科
 大津敦部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
化学放射線療法を積極的に推進。1期、2~3期の臨床試験で手術に匹敵する成績。
手術不能の4期にも多数の臨床試験を実施・計画

国立がんセンター中央病院 食道外科
 加藤抱一部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
��4年の治療数333例(うち手術135例)。外科、内科、放射線科、診断部門で合同協議。
患者の意思を尊重、科学的根拠をもとに治療決定

順天堂大学順天堂医院 消化器外科
 鶴丸昌彦教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
食道がん切除手術は年間100~120例。進行がんには精緻なリンパ節郭清を行う。
早期のものには内視鏡治療を積極的に行っている

東海大学病院 消化器外科
 幕内博康教授(院長) (電話)0463・93・1121(神奈川県)
合計症例数は2400例を超えて全国有数。術後の5年生存率は内視鏡治療は97.2%、
手術では62.5%で、いずれも全国トップ

愛知県がんセンター中央病院 胸部外科
 篠田雅幸副院長 (電話)052・762・6111(愛知県)
進行度に応じた的確な標準治療を提供。手術は術式、術中・術後の管理の工夫で
負担の軽減を図り、好成績。最先端の臨床試験も実施

大阪市立大学病院 第2外科
 大杉治司助教授 (電話)06・6879・5111(大阪府)
胸腔鏡手術数で全国トップクラス。通常の開胸手術と同等の治癒力があり、
良好な成績。胸部の傷が小さく、術後のQOLが高い

大阪府立成人病センター 消化器外科
 矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
早期には内視鏡治療、進行には集学的治療を行い好成績。年間手術数70例。
術後の嚥下機能などのQOL保持を重視した手術を行う

大阪市立総合医療センター 消化器外科
 東野正幸副院長 (電話)06・6929・1221(大阪府)
低侵襲手術として胸腔鏡手術300例。胸部操作、腹部操作とも内視鏡下で行う。
内視鏡下の術野拡大効果でより精緻な手術が可能

久留米大学病院 外科
 藤田博正教授 (電話)0942・35・3311(福岡県)
診断から内視鏡的粘膜切除、光線力学療法、手術(内視鏡下手術を含む)、
化学放射線治療、緩和医療まで、あらゆる病態に対応



乳がんに強い病院ベスト10

 乳がんにかかる女性は、1年で3~4万人で、毎年1000人ずつ増えています。

 かかる年代としては30~65歳までの年齢層に多く、以前からすると若い年代の層にも無関係ではなくなってきています。

 胸は女性にとってとても大切なものです。

 発見や病院の設備などで、結果が大きく変わってくる、乳がんの治療に強い病院をご紹介します。

聖路加国際病院 (東京)
 ブレストセンター乳腺外科 中村清吾(なかむらせいご)センター長、津川浩一郎(つがわこういちろう)副医長、矢形寛(やがたひろし)医幹 (電話)03-3541-5151
2005年5月に乳がんの診断と治療を専門に行うブレストセンターができ、診療を始めました。名医・中村清吾センター長らの乳腺外科チームと放射線科、腫瘍内科、形成外科など、専門医たちが連携して、早期がんに対する日帰り手術を含む外来療法、先進的なチーム医療にも積極的に取り組んでいます。
乳がんとわかったときは、まず慌てないことです。がんは急にできたものではありません。その出発点は、実は、何年も前からじわじわと進んできたものです。だから、そう慌てることはないし、時間に余裕はあります。周囲の力を借り、じっくり対策を考えましょう」(中村清吾センター長)

亀田総合病院 (千葉県)
 乳腺センター 福間英祐(ふくまえいすけ)センター長、阿部聡子(あべさとこ)部長代理
 (電話)04-7092-2211
福間英祐センター長は最新治療に精通するとともに、乳腺内視鏡手術のパイオニアで累計手術数750例は圧倒的に世界一です。2004年の年間手術数156例中、乳腺内視鏡手術が127例(乳房温存99例を含む)を占めています。患者本位の姿勢を貫き、都内3ヶ所のクリニックでは精力的に「乳がんの出張外来」をこなしています。
「乳腺センターとして診断、治療、ケア、検診など、乳房の健康と病気にかかわるすべてについて、最新かつ多くの選択肢を提供します。とくに、乳腺内視鏡手術と、乳がんに対する凍結療法は、病気の根治と低い負担を両立させる治療だと考えています」(福間英祐センター長)

国立がんセンター中央病院 (東京都)
 乳腺外科 福富隆志(ふくとみたかし)医長、乳腺外科 木下貴之(きのしたたかゆき)医長、明石定子(あかしさだこ)医師 (電話)03-3542-2511
術前化学療法による乳房温存療法(過去1年間に約200例)の定期王の拡大と、CTやMRIによる至適切除範囲の設定などに力を入れる。患者全体の生存率は82.2%。
乳がん治療では多くの選択肢があります。まず医師の話をよく聞きましょう。そのあとは『先生におまかせします』ではいけません。自分の考えをもち、『私はこうしたいと思います』という考えが重要です」(福富隆志医長)



●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

星総合病院 (福島県)
 外科・乳腺センター 野水整(のみずただし)副院長、片方直人(かたがたなおと)外科部長、 山田睦夫(やまだむつお)外科部長 (電話)024-923-3711
県内唯一の高性能マンモトーム政権施設であり、乳がん治療の実績では東北トップクラス。野水整お福院長(福島医大臨床教授)らの日本乳癌学会認定医3人が、「すべては患者さんのために」を基本姿勢に治療を行っています。

栃木県立がんセンター (栃木県)
 乳腺グループ医長 安藤二郎  (電話)028-658-5151

聖マリアンナ医科大学病院 (神奈川県)
 乳腺・内分泌外科教授 福田護 、緒方晴樹 講師 (電話)044-977-8111

静岡県立総合病院 (静岡県)
 乳腺外科 遠山和成(とおやまかずしげ)副院長、中上和彦(なかがみかずひこ)医長、
 常泉道子(つねいずみみちこ)医長 (電話)054-247-6111
「5年生存率は、あくまでひとつの目安でしかありません。患者さんの生死や予後を完全に把握することは今の社会では困難です。したがって予後調査がまじめにできている施設ほど生存率は悪くなる可能性がある、ということを知っておいていただきたいと思います」(中上一彦医長)

藤田保健衛生大学病院 (愛知県)
 内分泌科 岩瀬克己(いわせかつみ)教授、放射線科 小林英敏(こばやしひでとし)教授、
 血液内科・化学療法科 丸山文夫(まるやまふみお)助教授
 (電話)0562-93-2111
日本乳癌学会認定の乳腺専門施設。乳がんを中心とした乳腺の病気に対し、最先端の検査と治療を行っています。関連するほかの診療部門との連携を重んじたチーム医療を目指しています。

国立病院機構 四国がんセンター (愛媛県)
 乳腺外科 高嶋成光(たかしましげみつ)院長、大住省三(おおすみしょうぞう)医長、青儀健二郎(あおぎけんじろう)医師 (電話)089-932-1111
年間245例の乳癌手術は、愛媛県のすべての乳がん患者の60%以上にあたる。全体の10年生存率もステージⅡで93.5%と好成績です。乳房温存療法(2004年度は147例)を主として行い、形成外科の協力のもと、『きれいな乳房』を残すべく努めています。

鳥取大学医学部付属病院 (鳥取県)
 乳腺内分泌外科(第二外科)講師 石黒清介 (電話)0859-33-1111

北九州市立医療センター (福岡県)
 総括副院長 光山昌珠、外科部長(乳腺)阿南敬生 (電話)093-541-1831


肝臓がんの症状

 肝臓がんの初期症状はほとんど自覚できない無兆候であるのが一般的です。早いステージで発見することは生存率を高めるために大切なのですが、沈黙の臓器と言われるほどに反応が出づらい臓器であり、分かりやすい痛みが出るといったことはありません。

 特有の症状は少ないため、肝臓がんと併発していることが多い肝炎や肝硬変による機能障害として表れることが多く見られます。たとえば、食欲不振や体全体のだるさ、腹部の膨満感、痛み、腹水、黄疸、便秘、下痢、吐血、貧血といったものです。

 この他に、肝臓がんの症状として右の腹部にしこりが見られることや、痛みを感じることがあります。これらは初期のうちに見られるものではなく、進行してから見られる兆候です。

 それぞれの症状について見ていくと、食欲不振や体のだるさは、肝機能の低下が原因となってエネルギーの代謝や解毒作用が落ちることによって起こります。腹部の痛みは大きくなった肝臓がんが破裂して出血したことによって生じます。また、血管やリンパ管から液が漏れると腹水としてたまってくることがあります。

 黄疸は代謝機能が落ちることによって血液中のビリルビンの量が増えることで、肌や白目が黄色くなります。

 初期症状の肝臓がんと、すでに末期になってしまった状態とでは、予後の見通しがまったく異なります。ステージによって生存率はまったく異なりますので、早期発見を行えるかどうかによって、治療成績は異なってくるのです。

 肝臓がんは自覚症状が出てから病院に行くのでは、悪化するまで放置することになってしまいます。肝炎や観光縁にかかっている方はハイリスクになりますので、普段から血液検査や画像診断を定期的に受けておくことが必要です。こうした対策によって、早期発見できる可能性が高まり、罹患しても根治できる可能性が増えます。



肝臓がんによる黄疸

 白目や皮膚が黄色くなってしまうのが黄疸です。色々な原因がありますが、その一つが肝臓がんです。

 肝臓がんによって肝機能が下がると黄疸になります。なぜかというと、本来、胆汁の成分となるはずのビリルビンという黄色の物質が血液中に蓄積されてしまうためです。

 赤血球は古くなると血流から取り除かれるのですが、赤血球の中でも酸素を運んでいるヘモグロビンは分解されて、ビリルビンという物質になります。肝機能が低下して胆汁としてビリルビンが排出されるスピードが落ちてしまうと、血流の中に溜まってしまい、白目や皮膚の色を黄色くしてしまうのです。

 なお、黄疸は他にも色々な病気によって引き起こされます。たとえば、同じ癌でも膵臓癌が原因になっていることもありますし、胆石やすい炎が関与していることもあります。


 黄疸の症状
 皮膚や白目が黄色くなるといった外見的な特徴のほかに、尿の色が濃くなることや、皮膚のかゆみを感じることもあります。また、吐き気や発熱が同時に起きることもあります。


 黄疸は進行してから現れる
 肝臓がんが原因になっている場合には、黄疸は初期症状として現れるものではありません。ほとんどの場合には、すでに進行してから生じるものです。末期になってから発見されることも少なくありません。


肝臓がんによる腹水

 腹水は初期の頃にはたまりませんので、たまってくるようになると症状が進行している状態であることになります。そのため、一刻も早く治療を行う必要があります。

 健康な人でも腹水はあるのですが、肝臓がんになることによって、その量が増えていくことになります。どうしてこのようなことが起こるかというと、肝機能の低下が原因になっています。

 肝機能の低下が起こることで、、血管内の水分やリンパ管からリンパ液が漏れ出してしまい、腹水としてたまっていくのです。量が増えると見た目にも腹部が膨らんでいき、急激な体重増加にもなります。


 腹水の症状
 お腹が出てくることだけではなく、体重増加や尿の減少、腹部の膨満感・圧迫感、息苦しさ、体のだるさ、食欲低下、手足のほてり、便秘・下痢といった症状が現れるようになります。


 腹水の治療
 治療としては利尿剤やアルブミン製剤を使って腹水を体外に排出させます。塩分量を控えることも基本的な対策です。また、体内にチューブを埋め込む手術を行う場合や注射で水を抜くこともあります。

 ただし、肝臓がんで腹水が溜まっている場合には、癌が治らなければ一度は量が減っても、再びたまってくることになります。そのため、癌に対する治療を行う必要があります。

 原因を取り除かなくては、結局元に戻ってしまいますので、癌を治療することが、結果的に腹水を解決することにもつながるのです。



肝臓がんの食事療法

肝臓がんの食事療法ときくと、病気になった後の治療方法の1つとしての食事かなと思いますが、肝臓がんにならないような食事ということもいえます。

 肝臓がんは、肝臓に負担をかけたりして病気になりやすいような環境を作ってしまうことでかかってしまうこともある病気かもしれません。

 肝臓がんにかかってしまった後の食事についても、やはり肝臓に負担をかけないようにするなどの注意点はあるような気がします。

 肝臓がんは食事で予防するという方法もあります。肝臓と聞くとアルコールが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、暴飲は控えること、また、食事面では、繊維質を多く含む食材や緑黄色野菜を食べたり、豆腐などの大豆でできた食品を食べるということもいわれています。

 肝臓がんは、脂肪肝といって、脂肪の多い食事を多く食べることによって、肝細胞に中性脂肪がたまってしまい、肝臓の機能が低下することでかかってしまうこともあります。

 よって、動物性たんぱく質を多く含むような食事は、大量に食べないということもいえるかもしれません。肝臓がんを含めて、がんの発生原因といわれることがある活性酸素をおさえるようなものを多く含んだ食品を食べるということもいわれています。

 たとえば、ビタミンA、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB、ポリフェノール、カロチノイド、イソフラボンなどの名前を聞くことがあります。

 肝臓がんは肝硬変や肝炎が元になることもあるようなので、それらの病気に対して、肝臓の機能を強めるために、貝類の牡蠣肉のエキスを含んだ健康食品も売られてます。

 肝臓がんに対する成分としてフコイダンというものがあります。

 これは、民間療法の1つとしてつかわれるもので、海藻類のヌルヌルした成分に含まれている多糖類のことをいい、ここにアルギン酸やラミニンなどの成分が入っているということで、抗がん作用があるのではないかといわれているものです。

 肝臓がんにかかって化学療法をしている場合、においや吐き気、食欲不振などの副作用によって、しっかりと食事ができないこともあります。

 こういった場合、果物や麺類だと食べられることもあるということで出されることがあるみたいです。無理して食べるよりも、少しでもいいので食べられるという結果を出していくということのようです


肝臓がんの抗がん剤

 肝臓に発症するがんは、主に肝細胞がん(肝がん)と肝内胆管がんの二種類に分けられふつう、肝臓がんという場合には肝細胞がんを指します。

 肝細胞がんは血液を浄化する肝細胞ががん化するものです。

 肝臓がんは、抗がん剤が効きにくいがんです。
 肝動注化学療法などの投与法が考案され
 少しでも有効性を高める工夫がされています。

 肝臓がんの治療には、手術、経皮的療法(エタノール注入法、マイクロ波凝固術、ラジオ波焼しゃく術)経動脈的療法(肝動脈塞栓術、肝動注化学療法)の三大治療法および全身抗がん剤治療、放射線療法などが行われます。

 このうち抗がん剤が用いられるのは肝動注化学療法と全身抗がん剤治療です。


 肝臓がんの抗がん剤治療の目的は

��.がんを縮小または、同じ大きさに維持する
��.がんの症状(おもに腹水)を抑える

 ※がん性の腹水が生じた場合、腹部に抗がん剤を
  投与すると腹水が減少することがあります。


 主に用いられる抗がん剤は

 肝動注化学療法

��低用量FP療法(フルオロウラシル+シスプラチン)
��ジノスタチンスチマラマー
��フルオロウラシル+インターフェロンアルファ

 全身化学療法

��フルオロウラシル
��ミトキサントロン
��テガフール・ウラシル

 ●主な副作用

��肝動注化学療法   肝機能障害、吐き気、食欲不振
              全身倦怠感
��フルオロウラシル  骨髄抑制、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
��ミトキサントロン   心臓障害、骨髄抑制、間質性肺炎、嘔吐
              脱毛



肝臓がんの治療

 肝臓がんの治療
各ステージと可能な治療法
ステージ1 手術(部分切除,左右一方の葉切除),エタノール注入療法,肝動脈塞栓法
ステージ2 手術(部分切除,左右一方の葉切除),エタノール注入療法,肝動脈塞栓法
ステージ3 原則として手術は対象外,肝動脈塞栓法,エタノール注入療法,化学療法,放射線治療,肝移植
ステージ4 対症療法,緩和療法

外科療法
 腫瘍を切除する手術療法が,確実な治療法です。肝臓は再生能力が高いため,肝臓全体の4分の3まで切除が可能です。ただし,ステージ2までが手術の対象であり,それより進行した場合は対象外となります。また肝硬変の病変が進んでいる場合は切除する肝臓の量は少なくせざるを得ません。

 肝臓がんは再発の多いがんであり,肝切除術により完全にがん細胞を切除したとしても3年~5年後までに再発する確立は70%にも達します。しかし再発した場合でも条件によっては再手術も可能であり, 近年の研究により,術後再発の予防として,レチノイド,インターフェロン,ビタミンKなどに効果がみられることが報告されています。また免疫療法で免疫力を高めておくという方法も効果があります。

経カテーテル動脈塞栓法(TAE) 肝動脈にカテーテルを入れ,そこから血管に塞栓物質をつめ,血流を絶ち,がん細胞を殺す方法です。肝細胞がんは肝動脈からのみ血流を受けているため死滅しますが, 正常細胞は門脈からの血流もあるので死滅しません。塞栓物質として抗がん剤をいれることもあります。

動注療法 塞栓物質を使わずに,抗がん剤だけを,肝動脈に注入する方法で,静脈からの投与に比較して患部に高濃度の成分が集中するため,効果も高く副作用も少ない新しい治療方法です。
 近年,動注療法にインターフェロンの皮下注射を併用することで,従来は治療できなかった門脈付近の腫瘍栓
��血管を塞いだ腫瘍)を持つ肝細胞がんに対して50パーセントの奏効率をあげているとのことです。

エタノール注入療法(PEIT) 腹部または胸部から針を刺して,患部にエタノール(純粋アルコール)を注入し,がんを凝固させ死滅させる方法です。
 この治療法が有効となるのは,がんの直径が2から3cm以下までと言われています。この治療方法は患者の体に与える副作用が少なく,短期間で退院できるという長所があります。

マイクロ波焼灼(しょうしゃく)療法(MCT) 電極を腫瘍に差し込み,電子レンジと同じマイクロ波により高熱を発生させ,がん細胞を凝固させて死滅させる方法です。マイクロ波では直径1cm程度の範囲の組織を凝固させることができ,開腹することもありますが,開腹せず,腹腔鏡や胸腔鏡を用いる方法もあります。

ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA) マイクロ波焼灼療法と同様に腫瘍に電極を差し込んで治療しますが,マイクロ波より温度が低く,そのため広い面積の治療が可能であり,3cmの腫瘍が3個以内,5cm以下の腫瘍が1個の場合対象とされ,マイクロ波よりも広く行われています。


肝臓がんの痛み

肉体的な痛みとしては、腹水や胸水といった合併症に伴うもの、癌の進行によるもの、手術を行ったことで、術後に残るもの、抗がん剤などの治療の副作用といった様々なものがあります。このほかに、精神的な辛さも存在します。

 肝臓がんの痛みを緩和するためには、主に鎮痛剤を使っていくことになります。直接的な治療効果があるわけではありませんが、疼痛のコントロールのために、必要な場合には行っておきましょう。


 痛みを緩和する薬
 非オピオイド系の薬は比較的症状が軽い場合に使われます。炎症物質であるプロスタグランジンの発生を抑制する効果があり、副作用としては肝機能の低下や胃・腎臓障害があります。アスピリンやインドメタシン、イブプロフェンといった一般の方でも聞いたことのあるものが、これに該当します。

 弱オピオイド系の薬は脳に働くことで、肝臓がんによる痛みを感じないようにします。副作用としては頭痛や便秘・下痢、めまいがあります。コデインやジヒドロコデインが例となります。

 強オピオイド系は効果が強く、モルヒネやフェンタニールといったものがあります。脳に作用して苦痛を緩和するのは弱オピオイド系と共通しており、副作用は眠気や吐き気、精神の不安定といったものがあります。効果が高い反面、副作用も強いため、医師の処方にしたがって正しく使用する必要があります。



肝臓に良い食べ物・食材

 肝臓の働きを高めるタウリン
 肝臓に良い食べ物・食材には先に述べたような食品などが挙げられますが、その他にも魚介類、特に牡蠣などの【貝類】や【イカ】【タコ】などに多く含まれているタウリンという成分にも、肝機能を高める効果があるといわれています。

 タウリンには身体を正常な状態に戻そうとする働きがあり、具体的には血圧やコレステロールを低下させたりする作用などがあるのですが、なかでも肝細胞の再生をはかり肝臓の働きを高めるといった効果が大いに期待できると言われています。

 タウリンがアルコールの分解を早めて肝臓への負担を軽減アルコールの過剰摂取は肝炎をはじめ、肝臓の機能低下を招く大きな要因となっていることはよく知られていますが、タウリンには酵素の働きを助ける働きもあることから、アルコールの分解を早めて肝臓への負担を軽減する作用があることも分かっています。しかし、だからといってお酒の飲み過ぎを習慣化するのは禁物です。


 ウコンのクルクミンが肝臓機能を向上
 ウコン(ターメリック)が肝臓に良い食品であることはよく知られていますが、それはウコンに含まれている【クルクミン】という成分の効能によるところです。クルクミンには胆汁の分泌を促進する作用があり、肝臓の細胞が活発に働くことで肝機能が高まるといわれています。また、お酒を飲んだ際にアルコールは体内でアセトアルデヒトという有害物質が発生するのですが、クルクミンがこのアセトアルデヒトの分解を促進してくれるとことがわかっています。


 ゴマリグナンが肝臓の働きを維持
 向上ゴマに含まれている【ゴマリグナン】という成分は優れた抗酸化作用があり、体内で細胞を錆付かせる活性酸素を減らす働きがあることから、肝機能を改善する効果がひじょうに高いといわれています。

 ゴマリグナンの効能肝臓という臓器は体内でも活性酸素が発生しやすい部分でもあり、そのため肝細胞がダメージを受けてしまいがちとなるのですが、強力な抗酸化作用を持つゴマリグナンを摂取することにより、増え過ぎる活性酸素を抑制し、肝臓の働きを維持するだけでなく向上させてくれる効果が期待できます。ちなみに、ゴマリグナンの主成分となっているのが、健康食品でも有名な【セサミン】です。



肝臓がんは再発しやすい

 肝臓がんは再発が高頻度で起こることが特徴となっており、予後を悪化させる大きな原因となっています。せっかく治ったように見えても、再び治療する必要が生じてしまうのです。

 残された肝臓に再発する場合と、他の部位に転移した状態で発見される場合があるのですが、9割以上は前者となっています。他のがんと比較すると、転移の頻度が少ない傾向にあります。

 手術を行った場合を例に取ると、術後5年以内に肝臓がんが再発する確率はおよそ75%とされています。4人に3人の割合ですので、決して低い数字ではないことがお分かりいただけるでしょう。

 このような事情があるため、再発していないかをチェックするために、定期的に検査を行う必要があります。具体的には、腫瘍マーカーを含めた血液検査や超音波検査・レントゲンといった画像診断を用いることになります。


 再発が多い原因
 肝臓がんの再発が多い原因としては、早い段階から血管内にがん細胞が入って周囲に広がってしまうことや、B型やC型可燃ウイルスに感染している患者さんが大部分であるため、リスクが高くなっていることが挙げられます。


 再発の治療
 再発したからといって、打つ手がないわけではありません。手術を始めとした治療を行うことができますし、その方法は進歩しています。手術の適応がない場合には、肝動脈塞栓療法やエタノール注入療法が中心になっています。



肝臓がんの名医

肝臓がんの名医
1 山崎 晋
��肝臓科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 肝腫瘍の手術数国内最多。
難度の高い肝硬変合併症にも実績大


2 小俣政男
��消化器内科科長)) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝動脈塞栓術など、
原発性肝細胞ガンに対する内科的治療が有名


3 椎名秀一郎
��消化器内科医局長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 高周波でガン細胞を死滅させる
ラジオ波焼灼療法のトップランナー


4 幕内雅敏
��肝・胆・膵外科科長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝切除手術の死亡例ゼロ、
どう手術の名手として世界的に知られる


5 岡崎伸生
��副院長兼センター長) 茨城県立中央病院 茨城県地域がんセンター(茨城県)
                   ℡0296-77-1121 末期ガンにも治癒を断念せず、
��OLを考慮した懇切な治療を実施


6 大西久仁彦
��病院長) 大西内科(埼玉県)
                   ℡0492-71-6250 肝臓の画像診断、
開発した経皮的腫瘍内酢酸注入法は画期的効果


7 橋本大定
��外科教授) 埼玉医科大学総合病院医療センター(埼玉県)
                   ℡0492-28-3400 自ら開発した数々の器具を駆使した
安全確実な内視鏡手術に定評


8 三浦 健
��病院長) 三浦病院(埼玉県)
                   ℡0492-54-7111 手術不能の患部動脈に抗ガン剤を注入。
切除手術に匹敵する好成績


9 荒井保明
��放射線診断部部長) 愛知県がんセンター(愛知県)
                   ℡052-762-6111 局所麻酔で肝動脈にカテーテルを挿入し、
抗ガン剤を投与し高実績


10 中村仁信
��放射線医学講座教授) 大阪大学医学部付属病院(大阪府)
                   ℡06-6879-5111 肝細胞ガンに対して、
ガン存在区域への塞栓化学療法で壊死させる


11 佐々木洋
��参事兼第一外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 内科、放射線科とのチーム医療による集学的治療。
症例は関西最多


12 高安幸生
��放射線科部長) 市立芦屋病院(兵庫県)
                   ℡0797-31-2156 IVR手法で肝臓ガン患部に直接抗ガン剤を投与し、
好成績を実現


13 才津秀樹
��外科医長) 国立病院九州医療センター(福岡県)
                   ℡092-852-0700 マイクロ波焼灼治療で
内視鏡肝切除と遜色ない低侵襲を達成した



肝臓がんの末期症状

 肝臓がんの末期症状と闘われている方の闘病記を読むことがあります。肝臓がんの末期症状に自分が見舞われたら、どうなるんだろうと思うこともあります。

 肝臓がんは、進行してくると、突然の腹痛や貧血症状になることがあるようです。これらの症状がみられたばあいには、肝臓がんがかなり進んでいると思ったほうがいいということのようです。

 肝臓がんが破裂すると腹痛に襲われるみたいです。肝臓そのものが、病状がかなり進行してからでないと症状が出てこない「沈黙の臓器」というぐらいなので、いきなり腹痛などが出たりします。

 肝臓がんの末期症状に近くなってくると、腹水がたまったり、黄疸がひどくなったり、また、全身が衰弱してくることもあるようです。腹水がたまってくる度合いが多くなってくることから、週に1回は病院で腹水を抜いてもらう場合もあります。

 肝臓がんは、再発の可能性が高いがんとして知られています。

 切除術できれいに取り除いたとしても、3年後や5年後に再発する可能性は6割から7割近くになります。

 肝臓がんの末期症状では、骨に転移して痛みが言葉では言い表せないほど激しいということで、モルヒネで痛みをやわらげたり、神経ブロックで痛みを感じなくさせたりという対処療法もあります。

 ホスピス的な考え方も一方にはあって、常にそばにいて、触れたりさすったりしてあげるということでも、十分に痛みを緩和することもできます。

 いわゆる緩和ケアという方法も、一般的になっているようです。

 モルヒネは一種の麻薬ですので、神経混乱などの副作用も強く、肝臓がんの末期症状で使うか使わないかの考えも、今ではいろいろとありますす。

 また、漢方などを使う場合もあったり、民間療法を試すという場合もあるようですが高価です。

 


肝がん(肝細胞がん)に気づいたら

 肝がんの症状は、基礎にある慢性肝炎や肝硬変の症状と非常に似ているため、肝がんであるという特有な症状、サインはほとんどありません。すなわち、腹水、むくみ、黄疸などの症状があっても、これが肝がんの症状であるかどうかの区別は困難です。

 急速に悪化する腹部膨満感(ぼうまんかん)(張り感)では、急激に増大しつつある肝細胞がんの可能性があります。また、強い腹痛は肝がんの腹腔内破裂(ふくくうないはれつ)(出血)の可能性があり、緊急にその状態を調べる必要があります。

 ALT(GPT)値の異常などの肝障害があったり、B型肝炎・C型肝炎ウイルスが陽性であれば、医師に対して腹部超音波検査を受けることを希望し、早い時期に肝臓内部のチェックをしてください。

 そして、基礎に肝臓病があって、腹部超音波やCTで肝臓内部に腫瘤(しゅりゅう)(しこり、影)がみられたら、ただちに肝臓の専門医の診察を受けてください。良性腫瘍のこともありますが、自覚症状の出てこない早期に肝細胞がんを診断することが、十分な治療を行うためにはどうしても必要です。

 受診する科目は、消化器科または内科です。病気の性格からは、肝がんと診断される前の段階(慢性肝炎・肝硬変)から、定期的に肝臓病の専門医に受診していることが大切です。こうすれば早期発見・早期治療の可能性が高くなります。

 生活面での注意は、背景の肝臓病の程度により禁酒、安静、食事制限などが要求される場合がありますが、一般にはこれ以上に特別なものはありません。