現在、日本のHBV感染者は120万~150万人いるとされていますが、その多くは母子感染防止策がとられる以前の母子感染によるものです。
母親がHBVに感染していると、出産のときに産道において血液を介して赤ちゃんに感染することがあります。乳幼児は免疫機能が未熟なため、HBVに感染してもウイルスを異物と認識することが難しく、また認識できても排除する能力が弱いためウイルスは肝細胞にすみつき、感染した子供は無症候性キャリア。
思春期~30歳ごろになると免疫機能が発達し、ウイルスを体内から排除しようと肝細胞を攻撃し始めるため、肝炎を発症します。しかし、多くの人は肝炎の症状も軽く、肝障害が進行することは少ないのですが、HBV感染者の約10%の人が慢性肝炎に移行します。また、HBV感染者の約1~2%の人が、肝硬変、肝がんを発症します。
現在では、母子感染防止策がとられており、新たな母子感染はほとんど起きていません。