B型肝炎の治療法

B型肝炎の治療法

主に次の4種類の方法があります。

ラミブジン(Lamivudine:ゼフィックスTM)

ヌクレオチドアナログであるラミブジンは内服の抗ウイルス剤で、副作用も少ないため各国で広く使用されています。ALTが正常値の2倍以上の高値で経過する場合には、本剤を使用する適応がありますが、肝臓専門医による投与が理想的です。e抗原陰性例やe抗原陽性でもHBV-DNAが108copy/ml以下であれば効果も良好ですが、e抗原でHBV-DNAが108copy/ml以上の場合には治療効果に限界があり、6ヶ月目前後より耐性株の出現が高頻度で注意が必要となります。耐性株が出現することによる肝炎急性増悪が起こった場合は、インターフェロンの他、同様な抗ウイルス薬であるアデフォビルAdefovirが有効です。
いずれの場合においても1年以上の長期投与が原則となります。

ラミブジン1日100mg内服を1年間行った場合のe抗原e抗体系のセロコンバージョン率は、治療前のALT値に比例します。ALT値が正常の5倍以上であれば65%、2~5倍であれば25%、2倍以下では5%以下です。ラミブジンにインターフェロンを併用するとセロコンバージョン率が高くなり、また、長期投与を行うとセロコンバージョン率が高くなると報告されています。


インターフェロン

抗ウイルス剤として以前より使用されており、ラミブジンと同様の治療目標で、同様の治療適応の薬剤です。インターフェロンは注射剤で、発熱・全身倦怠感・うつ病などの副作用もありますが、ラミブジンにみられるような耐性株の出現はありません。両薬剤は、投与期間・薬剤費用・通院の手間・副作用出現などについて、患者への十分な説明が必要となります。
インターフェロン治療は、通常週2~3回で6ヶ月またはそれ以上の間歇長期投与で行われますが、多くの場合、治療開始初期のみ4週間程度の連日投与が行われます。

ALTが正常の2倍以上のe抗原陽性慢性肝炎に対して、週2回のインターフェロン治療を6~12ヶ月間行うと、e抗原陰性化率は30~40%で、無治療の10~15%より高率となります。インターフェロン投与方法による治療効果の違いは大きく、4週間連日投与のみを行ったわれわれの治療症例ではe抗原陰性化率は19.5%となりました。また、インターフェロン治療例を長期に観察した51例のわれわれの集計では、7年後のe抗原陰性化率は49.0%でした。


ステロイド離脱療法

e抗原陽性のB型慢性活動性肝炎に対して、宿主の免疫能の高まったALT上昇時期にステロイド剤を3~4週間投与する治療法です。投与終了後に特徴的なALTの反跳現象がみられ、この時期の経過観察後にe抗原陰性化・ALT正常化を期待する治療です。ALT反跳時期に肝炎重症化を引き起こす危険性が指摘されているので、肝臓専門医以外での治療はできません。肝硬変に近い進行慢性肝炎症例やAFP高値の慢性肝炎症例においては行えません。

e抗原陰性化率は1年後約50%、3年後は約70%です。


その他の治療薬

漢方製剤である小柴胡湯、グリチルリチン、グリチルリチン注射剤(強力ネオミノファーゲンCTM)、ウルソデオキシコール酸などは免疫調節剤・肝庇護剤として主としてトランスアミナーゼを低下させる目的で使用されますが、ウイルス学的な効果は小さいです。プロパゲルマニウムは免疫調節作用があり、トランスアミナーゼの反跳現象を経てウイルス学的な改善をもたらしますが、一時的な肝炎重症化の危険性も指摘されています。

グリチルリチン注射製剤を1日40mlで週5回以上静脈注射すると16%の症例でALTの正常値が得られました。1日100mlとすると32%の症例でALT正常値が維持できています。ウルソデオキシコール酸内服は、これらグリチルリチン製剤と相加的ないし相乗的作用を示して、ALT低下をもたらします。



           img_hepatitis_01.jpg