肝臓の慢性炎症が肝臓がんの再発を促進

わが国では、肝臓がんによる死亡者数は80年代から増え始め、現在では年間3万5千人もの人が肝臓がんで亡くなっています。

悪性腫瘍の死亡順位の中で肺がん・胃がん・大腸がんについで第4位です。

肝臓がんの治療後の再発には、治療した肝臓がんがすでに肝臓内や他の臓器に転移していた場合と、肝臓がんが別の場所に新たに発生する場合があります。

日本人の肝臓がんのほとんどはB型かC型肝炎ウイルスの持続感染者で、慢性肝炎・肝硬変を経て肝臓がんに至るという経過をたどっています。

肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変になった肝臓は、肝臓全体が発がんしやすい状態になっているため、一つの腫瘍を消滅させても、他の場所に新たに発生するリスクが高いのが特徴です。

最初にみつかった肝臓がんを治療したあと、1年以内に約30%が再発し、5年以内に70%以上が再発しています。

肝臓がんの体積倍加時間平均4~6ヶ月と報告されています。通常、3ヶ月おきくらいに検査を行い、がんが小さいうちに、局所療法などで除去することが基本です。

肝臓の発がんを促進する最大の要因は、炎症の持続によって活性酸素の害が増えることと、細胞死に伴って細胞の増殖活性が促進されることです。

ウイルスを排除できなくても、肝臓の炎症を抑え、肝細胞の壊死と炎症の程度を反映するGOTやGPTを低い状態に維持することにより、肝がんの発生率を有意に低下できることが示されています。



          naika_img04.jpg