肺がんに強い病院ベスト10

2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計で、男性は1位・女性は2位が肺がんが原因で亡くなっています。今、ヘリカルCTと呼ばれる装置を使った肺がん検診と、体に負担をかけすぎない肺がん手術が注目されています。

 一流の外科医に加えて、抗がん剤治療の上手な腫瘍内科医、画像診断と放射線治療の両方が得意な放射線科医の3拍子が揃った総合力がいい病院です。


神奈川県立がんセンター (神奈川県)
 呼吸器外科 中山治彦(なかやまはるひこ) 部長、
 呼吸器内科 野田和正(のだかずまさ)部長 (電話)045-391-5761
中山治彦外科部長は国立がんセンターで肺がん手術の腕を磨き、年間150例以上をこなしています。「がんの完全切除=がんの根絶」と、「術後の生活に支障をきたさない=QOL(生命・生活の質)の重視」という二点をモットーにしています。
「胸部写真に『影がある』と言われたら、肺がんの専門医のいる病院ですみやかに精密検査を受けましょう。自覚症状がないあkらといって放置してはいけません。早期発見、早期治療はがんの診療において大変重要なことです。また肺がんの手術はどこの病院でも同じようにできるわけではありません。手術数や抗がん剤の治療数が多く、経験豊かな医師のいるところをえらびましょう。」(中山治彦部長)

国立病院機構 刀根山病院 (大阪府)
 呼吸器外科 前田元(まえだはじめ)部長、呼吸器内科 横田総一郎(よこたそういちろう)部長、放射線科 高島庄太夫(たかしましょうだゆう)部長(電話)06-6853-2001
 過去25年間で、4934人が肺がん手術を受けており、手術症例全体の5年生存率は68.9%です。呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科、病理部の関連しているそれぞれの科が合同でカンファレンス(治療検討会)を毎週行い、一人一人の患者に最適の治療方針を決定しています。
「半年~1年に1回は胸部レントゲンを取ること。喫煙者は喀痰検査も。治療に際しては、病気の進行度と、体調を十分考慮して決めること。手術の場合は、必ず禁煙すること。術前から呼吸訓練をしっかり行うこと。抗がん剤治療を受ける場合、副作用対策に関する説明をよく聞き、積極的に取り組むこと」(前田元部長)

国立病院機構 九州がんセンター (福岡県)
 呼吸器科 一瀬幸人(いちのせゆきと)部長、化学療法科 江崎泰斗(えさきやすと)部長、
 放射線治療科 平田秀紀(ひらたひでき)部長(電話)092-541-3231
 内科、外科の区別のない、総合的な肺がん治療が特色です。年間手術数の121例中104例は内視鏡手術(腹腔鏡下および胸腔鏡補助下手術)です。進行肺がんに対しては、新規抗がん剤など、一般病院では使用できない薬剤を用いた治療を行うこともあります。
「最良の肺がん医療を目指すと同時に、スキンシップを通して信頼関係を築き、『病む人の気持ち』を何よりも尊重しています。また、けっして一人の医師の判断で医療を行わないようにしています。診療においては総合的知識、経験が必要と考えるからです。セカンドオピニオンを大いに利用してください」(一瀬幸人部長)


岩手県立中央病院 (岩手県)
 呼吸器外科 半田政志(はんだまさし)科長、呼吸器内科 武内健一(たけうちけんいち)科長、放射線治療科 関澤玄一郎(せきざわげんいちろう)科長 (電話)019-653-1151
半田政志科長は「あの先生は手術が巧い」と評判。あくまで患者の意向を尊重しつつ、肺がん診療ガイドラインに準拠した「テーラーメードの手術」が心情です。

石川県立中央病院 (石川県)
 小田誠(呼吸器外科診療部長) (電話)076-237-8211

国立病院機構 西群馬病院 (群馬県)
 斎藤龍生(院長)、渡辺覚(内科系診療部長)、川島修(呼吸器外科医長)
 (電話)0279-23-3030

東京医科大学病院 (東京都)
 呼吸器甲状腺外科 加藤治文(かとうはるぶみ)教授、呼吸器甲状腺外科 坪井正博(つぼいまさひろ)講師、呼吸器甲状腺外科 大平達夫(おおひらたつお)講師
 (電話)03-3342-6111

京都大学医学部付属病院 (京都府)
 呼吸器外科部長 中山勝裕 (電話075-751-3111)

静岡県立静岡がんセンター (静岡県)
 呼吸器外科 近藤春彦(こんどうはるひこ)部長、呼吸器内科 山本信之(やまもとのぶゆき)部長、放射線治療科 西村哲夫(にしむらてつお)部長 (電話)055-989-5222

兵庫県立がんセンター (兵庫県)
 呼吸器外科 坪田紀明 院長、呼吸器外科 岡田守人(おかだもりひと)医長、放射線科 足立秀治(あだちしゅうじ) (電話)078-929-1151

大分大学医学部付属病院 (大分県)
 呼吸器外科教授 川原克信 (電話)097-549-4411





胃がんに強い病院ベスト10

 胃がんの死亡率は肺がんに次いで第2位、死亡者数は年間5万人に上る。
 がんの進行度によって治療の選択肢も異なるが、胃がんの治療で専門家の評価が高い病院はどこなのか。

国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の内視鏡部は、早期胃がんに対する内視鏡治療数が年間約450例で全国トップを誇る。
 内視鏡治療とは胃カメラを介して行う治療。がんの根元にワイヤをかけ高周波電流を流して焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、ITナイフ(高周波針状ナイフの先端にセラミック製のチップを付けたもの)などを用いてがんをまくり上げるように切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。
 同病院では96年に胃壁を傷つけないように工夫したITナイフを開発し、2000年からESDを本格的に始めた。
「現在、内視鏡治療の99%はESDです。EMRは最大径2センチまでのがんが対象で、がんを焼き切るため、大変大事な病理判定を不正確にすることがあります。しかし、ESDの対象は最大径2センチ以上のがんと広く、しかもがんの組織を傷つけないように切除する方法なので、病理判定が正確にできるという利点があります」(斉藤大三部長)
 ESDは通常、全身麻酔で行われるが、患者が検査室のベッドに寝いいる時間は30分~3時間、平均60~70分だ。開腹手術より体への負担ははるかに少なく、入院も4~7日間ですむ。

大阪市立総合医療センター(大阪府)
 胃がんの進行度にはステージⅠ期からⅣ期まである。大阪市立総合医療センターの消化器外科は手術後の5年生存率がすべての病期で全国平均を上回る。I期が96・2%(全国平均91.4%)、II期が75.7%(68.6%)、III期が56.8%(39.7%)、
��V期が25.8%(6.7%)で、全体でも全国トップだ。
 同科での胃がんの年間手術数は約200例で、そのうち60~70%は腹腔鏡手術。 「おなかに0.5~1.2センチの穴を数カ所開け、その穴から手術用具を入れて、従来の開腹手術と同じ操作をするものです。原則としてII期以下の患者さんを対象にしています」(谷村愼哉副部長)
 この腹腔鏡手術のメリットは(1)手術後の痛みが少ない(2)傷がほとんど目立たない
��)手術の翌日に歩ける(4)術後の内臓の癒着や腸閉塞などの合併症が少ない
��)入院期間が短く、短期間で仕事に復帰できる――などである。
「腹腔鏡手術の術後の治療成績は、通常の開腹手術と比べてまったく遜色ありません」(谷村副部長)
 III期以上では病状と進行度に応じて、開腹手術や化学療法が行われる。

都立駒込病院(東京都)
 都立駒込病院化学療法科では、手術ができないほど進行した胃がんや、手術後に再発した胃がんに、抗がん剤治療を実施し、治療効果を上げている。症状の改善や生存期間の延長が目的だ。
「現在、経口抗がん剤のTS―1(一般名テガフール・ウラシル)を基本にし、ほかの抗がん剤も併用して治療効果を高めています。がんが半分以下に縮小し、その状態が1カ月以上続いた患者さんの割合(奏効率)は50%程度です。ここ2、3年で、抗がん剤治療の奏効率は飛躍的に向上しています」(佐々木常雄副院長)
 抗がん剤治療でがんを縮小させてから手術を行うケースもあるという。 抗がん剤治療のために短期入院中の進行・再発胃がんの患者は常時20人ほど。外来通院で治療を受けている患者は50人ほどだ。
「患者さんが元気なら、最初に用いた抗がん剤が効かなくなったら次の抗がん剤、さらに別の抗がん剤といくつものメニューが選べるようになりました。その結果、かなりの延命効果が得られるようになっています」と佐々木副院長。


埼玉県立がんセンター 消化器外科
 田中洋一部長 (電話)048・722・1111(埼玉県)
年間症例数は350例を超え、うち手術は180~200例で良好な5年生存率を得ている。
術式や術前化学療法の臨床試験も行う

国立がんセンター東病院 上腹部外科
 木下平外来部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
治療方針はすべて腫瘍内科医とのカンファランスで決定。ガイドラインに基づき、
進行度に応じた治療を選択。臨床試験も多数実施中

国立がんセンター中央病院 内視鏡部
 斉藤大三部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
早期胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は年間約450例で全国一。
斉藤部長はESD研究会の代表世話人で技術向上に尽力

癌研究会有明病院 消化器センター外科
 山口俊晴部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
延べ症例数は1万5000例に達し日本一。内科、外科などが合同で診療にあたる
チーム医療を推進。患者負担の少ない腹腔鏡手術にも熱心

都立駒込病院 化学療法科
 佐々木常雄副院長 (電話)03・3823・2101(東京都)
��975年、全国で初めて発足した化学療法科。抗がん剤の専門医7人が治療。
抗がん剤の臨床試験、新薬開発の治験にも力を入れる

新潟県立がんセンター新潟病院
 外科 梨本篤部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
術後合併症が低率で治療成績はトップレベル。機能温存縮小手術、根治を目指す
拡大手術、高度進行がんへの化学療法を中心に治療

静岡県立静岡がんセンター 胃外科
 米村豊副院長 (電話)055・989・5222(静岡県)
��OLを保証するため、進み具合に応じて、内視鏡的粘膜切除・腹腔鏡的胃切除・
最も適切なリンパ節郭清による胃切除術を行う

大阪府立成人病センター 消化器外科
 矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
内科とも連携して早期から進行まで進行度に応じたあらゆる治療を提供。
年間症例数300例以上。研究的な治療も積極的に取り組む

大阪市立総合医療センター
 消化 器外科 東野正幸副院長 谷村愼 哉副部長(電話)06・6929・1221(大阪府)
手術数は年間約200例、そのうち60~70%は腹腔鏡手術で行う。
��II期以上には病状と進行度に応じた治療でQOLを向上

九州大学病院 消化器・総合外科(第二外科)
 前原喜彦教授 (電話)092・642・5466(福岡県)
進行度に応じた手術と抗がん剤感受性試験に基づく化学療法を実践。
新規の抗がん剤による最適個別化療法を実施している



乳がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が開発され、治療の選択肢は広がりつつある。定評のある病院はどこなのか。


東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)


病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
  ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行


肝臓がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には
約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を
伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が
開発され、治療の選択肢は広がりつつある。
定評のある病院はどこなのか。


●東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

●国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

●京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)

 ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

●武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

●東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

●名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

●京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

●大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

●近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う



肝臓がんに強い病院ベスト10

 肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には
約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を
伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が
開発され、治療の選択肢は広がりつつある。
定評のある病院はどこなのか。


●東大病院(東京都)
 東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
 ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
 肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
��0~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
 また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
 大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。

●国立がんセンター中央病院(東京都)
 国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
 切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
 難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。

●京都大学病院(京都府)
 京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
 特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
 生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
 患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)

 ●北海道大学病院 第1外科
 藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる

●武蔵野赤十字病院 消化器科
 泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
 ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う

●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
 島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
 切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している

●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
 高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
 肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例

●東京大学医学部付属病院 消化器内科
 椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
 ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる

●名古屋大学付属病院 消化器外科I
 二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
 手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス

●京都大学病院 移植外科
 江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
 肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす

●大阪府立成人病センター 消化器外科
 佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
 肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施

●近畿大学病院 消化器内科
 工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
 99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%

●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
 佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
 外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う



大腸がんに強い病院ベスト10

 大腸がんは、全長約1.5mの腸に発生するがんで、腸から肛門に続く長さ約15cmの「直腸」にできるがんが、大腸がんの全体のうちの約半分を占めています。また、上行・横行・下行・S状の4つに区分される結腸部分にもがんができます。
急増する大腸がんの新規患者数は年間約9万人、2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計では、男性で4位、女性で3位が大腸がんが原因で亡くなっています。

 以前の直腸がんの手術は、命の代わりに男性は性機能を失ったり、女性は尿が漏れやすくなったり、と、病気と戦いながら日常生活を送るにあたって、大変な苦しみがありました。

 今日では、できるだけ、自然の肛門と神経機能を温存する手術テクニックが普及して、この10年間でその苦しみを味わうことなく、がん治療に大きな貢献をもたらしています。

 それに加えて、大腸がんの「腹腔鏡下手術」、おなかに5mm~10mm程度の小さな穴を数箇所開け、腹腔鏡を入れて大腸を切除するがん手術が登場して、患者さんの体にかかる負担が大幅に減りました。

 増加をたどる大腸がん、新しい治療をはじめている日本全国の病院をご紹介します。


北里大学病院 外科 (神奈川県)
  外科 渡邊昌彦(わたなべまさひこ) 教授・國場幸均(こくばゆきひと)講師 
  (電話)042-778-8111
 腹腔鏡下手術の第一人者・渡邊昌彦教授は、累積手術数1000例以上。2003年12月に教授になってからは、2004年に268例、2005年に298例と大腸がんの手術が急増しました。(年間に同じ部位のがんの手術が200例を越えることはまれ)そのうち、渡邊教授、國場幸均講師らが得意とする腹腔鏡下手術が半数を占めています。その腕を求めて、東北や、関西、九州からも患者さんが来院するほどです。

新潟県立がんセンター 新潟病院 (新潟県)
  消化器外科 瀧井康公(たきいやすまさ)外科部長、
  消化器内科船越和博(ふなこしかずひろ)内科部長  (電話)025-266-5111
 内視鏡的切除が可能な早期がんは消化器内科の船越和博部長で担当し、切除が必要な早期がんや進行がんに対する手術を瀧井康公部長らの大腸外科が引き受ける、といった分担が出来ている。2004年の年間手術数218例のうち、直腸は74例、その他の結腸は144例でした。専門外来は毎週水曜日、新患は月~金曜日の毎日受け付ける体制を整えています。

国立がんセンター東病院 (千葉県)
  下腹部外科 齊藤典男(さいとうのりお) 手術部長、杉藤正典(すぎとうまさのり) 病棟医長、
  消化管内科 大津敦(おおつあつし) 内視鏡部長 (電話)04-7133-1111
 大腸がん手術287例中、直腸126例、結腸161例をこなす。消化器内科が手がける内視鏡的粘膜切除は150例あり、そのうちの95%は日帰りの手術、平均入院日数は2日ほどです。開腹手術は160例、平均入院日数は15日ほどです。また、腹腔鏡下手術117例でも、平均入院日数は10日ほどです。年間の外来数も、大腸がんだけで、1万3500人にもなります。

「大腸がんに対するもっとも効果的な治療は、いまだに手術による切除(または内視鏡下切除)です。しかし、がんの進行状況に合わせて機能温存手術や、低侵襲手術といった手術が可能になってきました。各治療法のメリットとデメリットをよく理解し、ご本人に合った治療法を選びましょう。」(杉藤正典医長)


●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

●札幌厚生病院 (北海道)
 外科 近藤征文(こんどうゆきふみ)副院長、益子博幸(ますこひろゆき)部長、消化器科 今村哲理(いまむらあきみち)副院長 (電話)011-261-5331(北海道)
 がんの完全切除と確実なリンパ摘出に取り組みます。消化器科の今村副院長と、黒川聖医長らは、大腸がんの内視鏡治療を得意としています。


●山形県立中央病院 (山形県) 
 外科 佐藤敏彦(さとうとしひこ)副部長、消化器内科 間部克裕(まべかつひろ)医師
 早期大腸がんの場合、内視鏡を使った粘膜切除術や、腹腔鏡を使った手術で術後平均10日の退院を可能にしています。進行再発がんに対しては、拡大手術を施行します。

●自治医科大学付属 さいたま医療センター (埼玉県)
 一般・消化器外科 小西文雄 教授、河村裕 講師  (電話)048-647-2111

●愛知県がんセンター中央病院 (愛知県)
 消化器外科 加藤知行(かとうともゆき)院長、平井孝(ひらいたかし)外来部長、金光幸秀(かねみつゆきひで)医長 (電話)052-762-6111(愛知県)
 加藤知行院長は日本を代表する大腸外科医の一人。結腸の早期がんには腹腔鏡下手術を慎重に行い、早期結腸がんに対しては、東海地方で唯一「経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)が行える装置を導入しています。」

●大阪府立成人病センター (大阪府)
 消化器外科 大植雅之(おおうえまさゆき) 医長、能浦真吾(のうらしんご)診療主任、消化器内科 飯石浩康(いいいしひろやす)部長 (電話)06-6972-1181(大阪府)

 進行直腸がんにもっとも力を入れており、可能な限り肛門温存手術に挑んでいます。早期の直腸がんでは経肛門的切除などの、「おなかを切らない手術」も行っています。


●広島大学病院 (広島県)
 消化器外科(内視鏡外科)岡島正純(おかじままさずみ)教授、小島康知(おじまやすとも)講師、池田聡(いけださとし)講師 (電話)082-257-5555(広島県)
大腸外科全般にわたり「患者さんにやさしい治療」を合言葉に、よりレベルの高い医療を目指しています。中国・四国地方ではトップクラスの病院で、岡島正純教授は大腸がん手術の名手として知られています。

●久留米大学病院 (福岡県)
 外科 白水和雄(しろうずかずお) 主任教授、緒方裕(おがたひろし)助教授、赤木由人(あかぎよしと)講師 (電話)0942-35-3311

 大腸がん年間手術数118例(直腸62例、結腸56例)とくに直腸肛門がんに対しては、内視鏡手術を取り入れ、「究極の肛門温存手術」として注目されています。


●高野病院 (熊本県)
 大腸肛門科 山田一隆院長 (電話)096-384-1011(熊本県)


食道がんに強い病院ベスト10

 食道がんは近年になって生存率が高くなった。
 
 食道がん全体の5年生存率は約15~35%で、20年前の10%以下に比べてかなり改善されている。

 手術と並んで、化学療法と放射線療法を併用する化学放射線療法も
注目されてきた。優れた治療実績のある病院?


東海大学病院(神奈川県) 
 内視鏡治療の5年生存率が97%越す 。東海大学病院の消化器外科は、食道がんの
治療数が年間約200例、累計2400例を超え全国トップクラスの症例数を誇る。
 がんが粘膜内にとどまる早期がん(粘膜がん)では内視鏡的粘膜切除術(EMR)を
年間70~80例、がんが粘膜上皮を越えて粘膜下層に入った1~3期では手術を年間
��0~90例、さらに進行して周囲の臓器に転移した場合では化学放射線療法を含む
治療を年間約40例行う。
 特に早期がんの内視鏡治療では88年にチューブを用いたEEMRチューブ法を開発
したことで知られる。
「がんを含んだ粘膜をチューブ内に吸引して切除しやすく工夫したのが、EEMRチューブ法
です。簡単にできる治療法なのでかなり普及しています。89年に本格的に開始し、
これまで820~830例に治療しています。EEMRチューブ法を含む内視鏡治療の
��年生存率は97.2%で全国トップです」と幕内博康教授。
 治療時間は15~30分。入院期間は3日間。退院後、半年ごとに検査を行い、
早期なら何度でも治療できる。現在、がんが粘膜下層の表層にあって、リンパ節転移の
ない場合(1b期)にもEEMRチューブ法を行う。

大阪市立大学病院(大阪府) 
 胸腔鏡手術数は全国トップクラス。大阪市立大学病院の第2外科では、他臓器への
浸潤や遠隔転移のない胸部の食道がんに対して胸腔鏡手術を行っている。
��6年からこれまでに約170例の治療を行い、胸腔鏡手術数では全国トップクラスだ。
 胸腔鏡手術とは胸部に小さな穴を数カ所開け、そこから小型ビデオカメラや手術器具を
挿入して、モニターに映し出された映像を見ながら、食道を切除したり、リンパ節を
取り除く手術法である。同病院では日本内視鏡外科学会の技術認定を受けた医師が
胸腔鏡手術を行う。
「さまざまな手術器具を開発して手技を改良した結果、通常の食道がんの開胸手術と
同じ時間で完了し、合併症も少なく、安全です。また開胸手術との治癒率にも差は
ありません」と大杉治司助教授。
 通常の開胸手術では胸部を開いて食道を切除し、同時に腹部と頚部(けいぶ)も開いて、
リンパ節を取り除く大手術となる。
「胸腔鏡手術では胸の傷が小さいだけでなく、カメラで術野が拡大されて見えるため、
より精度の高い手術が可能です。出血量も少なく、完全無輸血で行っています」
��大杉助教授)
術後にマラソンを楽しむ患者もいるという。

国立がんセンター東病院(千葉県)
 科学放射線療法で日本の中心的役割を果たす。国立がんセンター東病院内科は、
��2年頃から食道がんに対する化学放射線療法を本格的にスタートさせ、日本の中心的
役割を果たす。現在、年間約200例に行っている。食道がんの化学放射線療法は、
放射線を1回1.8グレイずつ合計28回行う。同時に、5―FUとランダかブリプラチンの
��種類の抗がん剤を併用する。
「がんが粘膜下層まで入った1期に対する放射線化学療法の2年生存率は93%で、
手術に匹敵する治療成績が得られています」と大津敦部長。
 また、食道がんの2~3期にも化学放射線療法を積極的に行っている。
「国内の臨床試験では、がんが完全に消失した比率は68%です」(大津部長)
 ただし、化学放射線療法でがんが完全消失した人の40%近くは再発する。その場合、
内視鏡的粘膜切除術、レーザーを用いた光線力学的治療、手術のうちから適切な治療法を
選択するという。こうした再発治療を加えることで、手術にほぼ匹敵する治療成績が
得られているのだ。


●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

恵佑会札幌病院 消化器外科
 細川正夫院長 (電話)011・863・2101(北海道)
年間の食道がん患者数は230例。内科、外科、耳鼻咽喉科、放射線科、形成外科、
病理が一団となって医療を行っている

国立がんセンター東病院 内科
 大津敦部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
化学放射線療法を積極的に推進。1期、2~3期の臨床試験で手術に匹敵する成績。
手術不能の4期にも多数の臨床試験を実施・計画

国立がんセンター中央病院 食道外科
 加藤抱一部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
��4年の治療数333例(うち手術135例)。外科、内科、放射線科、診断部門で合同協議。
患者の意思を尊重、科学的根拠をもとに治療決定

順天堂大学順天堂医院 消化器外科
 鶴丸昌彦教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
食道がん切除手術は年間100~120例。進行がんには精緻なリンパ節郭清を行う。
早期のものには内視鏡治療を積極的に行っている

東海大学病院 消化器外科
 幕内博康教授(院長) (電話)0463・93・1121(神奈川県)
合計症例数は2400例を超えて全国有数。術後の5年生存率は内視鏡治療は97.2%、
手術では62.5%で、いずれも全国トップ

愛知県がんセンター中央病院 胸部外科
 篠田雅幸副院長 (電話)052・762・6111(愛知県)
進行度に応じた的確な標準治療を提供。手術は術式、術中・術後の管理の工夫で
負担の軽減を図り、好成績。最先端の臨床試験も実施

大阪市立大学病院 第2外科
 大杉治司助教授 (電話)06・6879・5111(大阪府)
胸腔鏡手術数で全国トップクラス。通常の開胸手術と同等の治癒力があり、
良好な成績。胸部の傷が小さく、術後のQOLが高い

大阪府立成人病センター 消化器外科
 矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
早期には内視鏡治療、進行には集学的治療を行い好成績。年間手術数70例。
術後の嚥下機能などのQOL保持を重視した手術を行う

大阪市立総合医療センター 消化器外科
 東野正幸副院長 (電話)06・6929・1221(大阪府)
低侵襲手術として胸腔鏡手術300例。胸部操作、腹部操作とも内視鏡下で行う。
内視鏡下の術野拡大効果でより精緻な手術が可能

久留米大学病院 外科
 藤田博正教授 (電話)0942・35・3311(福岡県)
診断から内視鏡的粘膜切除、光線力学療法、手術(内視鏡下手術を含む)、
化学放射線治療、緩和医療まで、あらゆる病態に対応



乳がんに強い病院ベスト10

 乳がんにかかる女性は、1年で3~4万人で、毎年1000人ずつ増えています。

 かかる年代としては30~65歳までの年齢層に多く、以前からすると若い年代の層にも無関係ではなくなってきています。

 胸は女性にとってとても大切なものです。

 発見や病院の設備などで、結果が大きく変わってくる、乳がんの治療に強い病院をご紹介します。

聖路加国際病院 (東京)
 ブレストセンター乳腺外科 中村清吾(なかむらせいご)センター長、津川浩一郎(つがわこういちろう)副医長、矢形寛(やがたひろし)医幹 (電話)03-3541-5151
2005年5月に乳がんの診断と治療を専門に行うブレストセンターができ、診療を始めました。名医・中村清吾センター長らの乳腺外科チームと放射線科、腫瘍内科、形成外科など、専門医たちが連携して、早期がんに対する日帰り手術を含む外来療法、先進的なチーム医療にも積極的に取り組んでいます。
乳がんとわかったときは、まず慌てないことです。がんは急にできたものではありません。その出発点は、実は、何年も前からじわじわと進んできたものです。だから、そう慌てることはないし、時間に余裕はあります。周囲の力を借り、じっくり対策を考えましょう」(中村清吾センター長)

亀田総合病院 (千葉県)
 乳腺センター 福間英祐(ふくまえいすけ)センター長、阿部聡子(あべさとこ)部長代理
 (電話)04-7092-2211
福間英祐センター長は最新治療に精通するとともに、乳腺内視鏡手術のパイオニアで累計手術数750例は圧倒的に世界一です。2004年の年間手術数156例中、乳腺内視鏡手術が127例(乳房温存99例を含む)を占めています。患者本位の姿勢を貫き、都内3ヶ所のクリニックでは精力的に「乳がんの出張外来」をこなしています。
「乳腺センターとして診断、治療、ケア、検診など、乳房の健康と病気にかかわるすべてについて、最新かつ多くの選択肢を提供します。とくに、乳腺内視鏡手術と、乳がんに対する凍結療法は、病気の根治と低い負担を両立させる治療だと考えています」(福間英祐センター長)

国立がんセンター中央病院 (東京都)
 乳腺外科 福富隆志(ふくとみたかし)医長、乳腺外科 木下貴之(きのしたたかゆき)医長、明石定子(あかしさだこ)医師 (電話)03-3542-2511
術前化学療法による乳房温存療法(過去1年間に約200例)の定期王の拡大と、CTやMRIによる至適切除範囲の設定などに力を入れる。患者全体の生存率は82.2%。
乳がん治療では多くの選択肢があります。まず医師の話をよく聞きましょう。そのあとは『先生におまかせします』ではいけません。自分の考えをもち、『私はこうしたいと思います』という考えが重要です」(福富隆志医長)



●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴

星総合病院 (福島県)
 外科・乳腺センター 野水整(のみずただし)副院長、片方直人(かたがたなおと)外科部長、 山田睦夫(やまだむつお)外科部長 (電話)024-923-3711
県内唯一の高性能マンモトーム政権施設であり、乳がん治療の実績では東北トップクラス。野水整お福院長(福島医大臨床教授)らの日本乳癌学会認定医3人が、「すべては患者さんのために」を基本姿勢に治療を行っています。

栃木県立がんセンター (栃木県)
 乳腺グループ医長 安藤二郎  (電話)028-658-5151

聖マリアンナ医科大学病院 (神奈川県)
 乳腺・内分泌外科教授 福田護 、緒方晴樹 講師 (電話)044-977-8111

静岡県立総合病院 (静岡県)
 乳腺外科 遠山和成(とおやまかずしげ)副院長、中上和彦(なかがみかずひこ)医長、
 常泉道子(つねいずみみちこ)医長 (電話)054-247-6111
「5年生存率は、あくまでひとつの目安でしかありません。患者さんの生死や予後を完全に把握することは今の社会では困難です。したがって予後調査がまじめにできている施設ほど生存率は悪くなる可能性がある、ということを知っておいていただきたいと思います」(中上一彦医長)

藤田保健衛生大学病院 (愛知県)
 内分泌科 岩瀬克己(いわせかつみ)教授、放射線科 小林英敏(こばやしひでとし)教授、
 血液内科・化学療法科 丸山文夫(まるやまふみお)助教授
 (電話)0562-93-2111
日本乳癌学会認定の乳腺専門施設。乳がんを中心とした乳腺の病気に対し、最先端の検査と治療を行っています。関連するほかの診療部門との連携を重んじたチーム医療を目指しています。

国立病院機構 四国がんセンター (愛媛県)
 乳腺外科 高嶋成光(たかしましげみつ)院長、大住省三(おおすみしょうぞう)医長、青儀健二郎(あおぎけんじろう)医師 (電話)089-932-1111
年間245例の乳癌手術は、愛媛県のすべての乳がん患者の60%以上にあたる。全体の10年生存率もステージⅡで93.5%と好成績です。乳房温存療法(2004年度は147例)を主として行い、形成外科の協力のもと、『きれいな乳房』を残すべく努めています。

鳥取大学医学部付属病院 (鳥取県)
 乳腺内分泌外科(第二外科)講師 石黒清介 (電話)0859-33-1111

北九州市立医療センター (福岡県)
 総括副院長 光山昌珠、外科部長(乳腺)阿南敬生 (電話)093-541-1831


肝臓がんの症状

 肝臓がんの初期症状はほとんど自覚できない無兆候であるのが一般的です。早いステージで発見することは生存率を高めるために大切なのですが、沈黙の臓器と言われるほどに反応が出づらい臓器であり、分かりやすい痛みが出るといったことはありません。

 特有の症状は少ないため、肝臓がんと併発していることが多い肝炎や肝硬変による機能障害として表れることが多く見られます。たとえば、食欲不振や体全体のだるさ、腹部の膨満感、痛み、腹水、黄疸、便秘、下痢、吐血、貧血といったものです。

 この他に、肝臓がんの症状として右の腹部にしこりが見られることや、痛みを感じることがあります。これらは初期のうちに見られるものではなく、進行してから見られる兆候です。

 それぞれの症状について見ていくと、食欲不振や体のだるさは、肝機能の低下が原因となってエネルギーの代謝や解毒作用が落ちることによって起こります。腹部の痛みは大きくなった肝臓がんが破裂して出血したことによって生じます。また、血管やリンパ管から液が漏れると腹水としてたまってくることがあります。

 黄疸は代謝機能が落ちることによって血液中のビリルビンの量が増えることで、肌や白目が黄色くなります。

 初期症状の肝臓がんと、すでに末期になってしまった状態とでは、予後の見通しがまったく異なります。ステージによって生存率はまったく異なりますので、早期発見を行えるかどうかによって、治療成績は異なってくるのです。

 肝臓がんは自覚症状が出てから病院に行くのでは、悪化するまで放置することになってしまいます。肝炎や観光縁にかかっている方はハイリスクになりますので、普段から血液検査や画像診断を定期的に受けておくことが必要です。こうした対策によって、早期発見できる可能性が高まり、罹患しても根治できる可能性が増えます。



肝臓がんによる黄疸

 白目や皮膚が黄色くなってしまうのが黄疸です。色々な原因がありますが、その一つが肝臓がんです。

 肝臓がんによって肝機能が下がると黄疸になります。なぜかというと、本来、胆汁の成分となるはずのビリルビンという黄色の物質が血液中に蓄積されてしまうためです。

 赤血球は古くなると血流から取り除かれるのですが、赤血球の中でも酸素を運んでいるヘモグロビンは分解されて、ビリルビンという物質になります。肝機能が低下して胆汁としてビリルビンが排出されるスピードが落ちてしまうと、血流の中に溜まってしまい、白目や皮膚の色を黄色くしてしまうのです。

 なお、黄疸は他にも色々な病気によって引き起こされます。たとえば、同じ癌でも膵臓癌が原因になっていることもありますし、胆石やすい炎が関与していることもあります。


 黄疸の症状
 皮膚や白目が黄色くなるといった外見的な特徴のほかに、尿の色が濃くなることや、皮膚のかゆみを感じることもあります。また、吐き気や発熱が同時に起きることもあります。


 黄疸は進行してから現れる
 肝臓がんが原因になっている場合には、黄疸は初期症状として現れるものではありません。ほとんどの場合には、すでに進行してから生じるものです。末期になってから発見されることも少なくありません。


肝臓がんによる腹水

 腹水は初期の頃にはたまりませんので、たまってくるようになると症状が進行している状態であることになります。そのため、一刻も早く治療を行う必要があります。

 健康な人でも腹水はあるのですが、肝臓がんになることによって、その量が増えていくことになります。どうしてこのようなことが起こるかというと、肝機能の低下が原因になっています。

 肝機能の低下が起こることで、、血管内の水分やリンパ管からリンパ液が漏れ出してしまい、腹水としてたまっていくのです。量が増えると見た目にも腹部が膨らんでいき、急激な体重増加にもなります。


 腹水の症状
 お腹が出てくることだけではなく、体重増加や尿の減少、腹部の膨満感・圧迫感、息苦しさ、体のだるさ、食欲低下、手足のほてり、便秘・下痢といった症状が現れるようになります。


 腹水の治療
 治療としては利尿剤やアルブミン製剤を使って腹水を体外に排出させます。塩分量を控えることも基本的な対策です。また、体内にチューブを埋め込む手術を行う場合や注射で水を抜くこともあります。

 ただし、肝臓がんで腹水が溜まっている場合には、癌が治らなければ一度は量が減っても、再びたまってくることになります。そのため、癌に対する治療を行う必要があります。

 原因を取り除かなくては、結局元に戻ってしまいますので、癌を治療することが、結果的に腹水を解決することにもつながるのです。



肝臓がんの食事療法

肝臓がんの食事療法ときくと、病気になった後の治療方法の1つとしての食事かなと思いますが、肝臓がんにならないような食事ということもいえます。

 肝臓がんは、肝臓に負担をかけたりして病気になりやすいような環境を作ってしまうことでかかってしまうこともある病気かもしれません。

 肝臓がんにかかってしまった後の食事についても、やはり肝臓に負担をかけないようにするなどの注意点はあるような気がします。

 肝臓がんは食事で予防するという方法もあります。肝臓と聞くとアルコールが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、暴飲は控えること、また、食事面では、繊維質を多く含む食材や緑黄色野菜を食べたり、豆腐などの大豆でできた食品を食べるということもいわれています。

 肝臓がんは、脂肪肝といって、脂肪の多い食事を多く食べることによって、肝細胞に中性脂肪がたまってしまい、肝臓の機能が低下することでかかってしまうこともあります。

 よって、動物性たんぱく質を多く含むような食事は、大量に食べないということもいえるかもしれません。肝臓がんを含めて、がんの発生原因といわれることがある活性酸素をおさえるようなものを多く含んだ食品を食べるということもいわれています。

 たとえば、ビタミンA、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB、ポリフェノール、カロチノイド、イソフラボンなどの名前を聞くことがあります。

 肝臓がんは肝硬変や肝炎が元になることもあるようなので、それらの病気に対して、肝臓の機能を強めるために、貝類の牡蠣肉のエキスを含んだ健康食品も売られてます。

 肝臓がんに対する成分としてフコイダンというものがあります。

 これは、民間療法の1つとしてつかわれるもので、海藻類のヌルヌルした成分に含まれている多糖類のことをいい、ここにアルギン酸やラミニンなどの成分が入っているということで、抗がん作用があるのではないかといわれているものです。

 肝臓がんにかかって化学療法をしている場合、においや吐き気、食欲不振などの副作用によって、しっかりと食事ができないこともあります。

 こういった場合、果物や麺類だと食べられることもあるということで出されることがあるみたいです。無理して食べるよりも、少しでもいいので食べられるという結果を出していくということのようです


肝臓がんの抗がん剤

 肝臓に発症するがんは、主に肝細胞がん(肝がん)と肝内胆管がんの二種類に分けられふつう、肝臓がんという場合には肝細胞がんを指します。

 肝細胞がんは血液を浄化する肝細胞ががん化するものです。

 肝臓がんは、抗がん剤が効きにくいがんです。
 肝動注化学療法などの投与法が考案され
 少しでも有効性を高める工夫がされています。

 肝臓がんの治療には、手術、経皮的療法(エタノール注入法、マイクロ波凝固術、ラジオ波焼しゃく術)経動脈的療法(肝動脈塞栓術、肝動注化学療法)の三大治療法および全身抗がん剤治療、放射線療法などが行われます。

 このうち抗がん剤が用いられるのは肝動注化学療法と全身抗がん剤治療です。


 肝臓がんの抗がん剤治療の目的は

��.がんを縮小または、同じ大きさに維持する
��.がんの症状(おもに腹水)を抑える

 ※がん性の腹水が生じた場合、腹部に抗がん剤を
  投与すると腹水が減少することがあります。


 主に用いられる抗がん剤は

 肝動注化学療法

��低用量FP療法(フルオロウラシル+シスプラチン)
��ジノスタチンスチマラマー
��フルオロウラシル+インターフェロンアルファ

 全身化学療法

��フルオロウラシル
��ミトキサントロン
��テガフール・ウラシル

 ●主な副作用

��肝動注化学療法   肝機能障害、吐き気、食欲不振
              全身倦怠感
��フルオロウラシル  骨髄抑制、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
��ミトキサントロン   心臓障害、骨髄抑制、間質性肺炎、嘔吐
              脱毛



肝臓がんの治療

 肝臓がんの治療
各ステージと可能な治療法
ステージ1 手術(部分切除,左右一方の葉切除),エタノール注入療法,肝動脈塞栓法
ステージ2 手術(部分切除,左右一方の葉切除),エタノール注入療法,肝動脈塞栓法
ステージ3 原則として手術は対象外,肝動脈塞栓法,エタノール注入療法,化学療法,放射線治療,肝移植
ステージ4 対症療法,緩和療法

外科療法
 腫瘍を切除する手術療法が,確実な治療法です。肝臓は再生能力が高いため,肝臓全体の4分の3まで切除が可能です。ただし,ステージ2までが手術の対象であり,それより進行した場合は対象外となります。また肝硬変の病変が進んでいる場合は切除する肝臓の量は少なくせざるを得ません。

 肝臓がんは再発の多いがんであり,肝切除術により完全にがん細胞を切除したとしても3年~5年後までに再発する確立は70%にも達します。しかし再発した場合でも条件によっては再手術も可能であり, 近年の研究により,術後再発の予防として,レチノイド,インターフェロン,ビタミンKなどに効果がみられることが報告されています。また免疫療法で免疫力を高めておくという方法も効果があります。

経カテーテル動脈塞栓法(TAE) 肝動脈にカテーテルを入れ,そこから血管に塞栓物質をつめ,血流を絶ち,がん細胞を殺す方法です。肝細胞がんは肝動脈からのみ血流を受けているため死滅しますが, 正常細胞は門脈からの血流もあるので死滅しません。塞栓物質として抗がん剤をいれることもあります。

動注療法 塞栓物質を使わずに,抗がん剤だけを,肝動脈に注入する方法で,静脈からの投与に比較して患部に高濃度の成分が集中するため,効果も高く副作用も少ない新しい治療方法です。
 近年,動注療法にインターフェロンの皮下注射を併用することで,従来は治療できなかった門脈付近の腫瘍栓
��血管を塞いだ腫瘍)を持つ肝細胞がんに対して50パーセントの奏効率をあげているとのことです。

エタノール注入療法(PEIT) 腹部または胸部から針を刺して,患部にエタノール(純粋アルコール)を注入し,がんを凝固させ死滅させる方法です。
 この治療法が有効となるのは,がんの直径が2から3cm以下までと言われています。この治療方法は患者の体に与える副作用が少なく,短期間で退院できるという長所があります。

マイクロ波焼灼(しょうしゃく)療法(MCT) 電極を腫瘍に差し込み,電子レンジと同じマイクロ波により高熱を発生させ,がん細胞を凝固させて死滅させる方法です。マイクロ波では直径1cm程度の範囲の組織を凝固させることができ,開腹することもありますが,開腹せず,腹腔鏡や胸腔鏡を用いる方法もあります。

ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA) マイクロ波焼灼療法と同様に腫瘍に電極を差し込んで治療しますが,マイクロ波より温度が低く,そのため広い面積の治療が可能であり,3cmの腫瘍が3個以内,5cm以下の腫瘍が1個の場合対象とされ,マイクロ波よりも広く行われています。


肝臓がんの痛み

肉体的な痛みとしては、腹水や胸水といった合併症に伴うもの、癌の進行によるもの、手術を行ったことで、術後に残るもの、抗がん剤などの治療の副作用といった様々なものがあります。このほかに、精神的な辛さも存在します。

 肝臓がんの痛みを緩和するためには、主に鎮痛剤を使っていくことになります。直接的な治療効果があるわけではありませんが、疼痛のコントロールのために、必要な場合には行っておきましょう。


 痛みを緩和する薬
 非オピオイド系の薬は比較的症状が軽い場合に使われます。炎症物質であるプロスタグランジンの発生を抑制する効果があり、副作用としては肝機能の低下や胃・腎臓障害があります。アスピリンやインドメタシン、イブプロフェンといった一般の方でも聞いたことのあるものが、これに該当します。

 弱オピオイド系の薬は脳に働くことで、肝臓がんによる痛みを感じないようにします。副作用としては頭痛や便秘・下痢、めまいがあります。コデインやジヒドロコデインが例となります。

 強オピオイド系は効果が強く、モルヒネやフェンタニールといったものがあります。脳に作用して苦痛を緩和するのは弱オピオイド系と共通しており、副作用は眠気や吐き気、精神の不安定といったものがあります。効果が高い反面、副作用も強いため、医師の処方にしたがって正しく使用する必要があります。



肝臓に良い食べ物・食材

 肝臓の働きを高めるタウリン
 肝臓に良い食べ物・食材には先に述べたような食品などが挙げられますが、その他にも魚介類、特に牡蠣などの【貝類】や【イカ】【タコ】などに多く含まれているタウリンという成分にも、肝機能を高める効果があるといわれています。

 タウリンには身体を正常な状態に戻そうとする働きがあり、具体的には血圧やコレステロールを低下させたりする作用などがあるのですが、なかでも肝細胞の再生をはかり肝臓の働きを高めるといった効果が大いに期待できると言われています。

 タウリンがアルコールの分解を早めて肝臓への負担を軽減アルコールの過剰摂取は肝炎をはじめ、肝臓の機能低下を招く大きな要因となっていることはよく知られていますが、タウリンには酵素の働きを助ける働きもあることから、アルコールの分解を早めて肝臓への負担を軽減する作用があることも分かっています。しかし、だからといってお酒の飲み過ぎを習慣化するのは禁物です。


 ウコンのクルクミンが肝臓機能を向上
 ウコン(ターメリック)が肝臓に良い食品であることはよく知られていますが、それはウコンに含まれている【クルクミン】という成分の効能によるところです。クルクミンには胆汁の分泌を促進する作用があり、肝臓の細胞が活発に働くことで肝機能が高まるといわれています。また、お酒を飲んだ際にアルコールは体内でアセトアルデヒトという有害物質が発生するのですが、クルクミンがこのアセトアルデヒトの分解を促進してくれるとことがわかっています。


 ゴマリグナンが肝臓の働きを維持
 向上ゴマに含まれている【ゴマリグナン】という成分は優れた抗酸化作用があり、体内で細胞を錆付かせる活性酸素を減らす働きがあることから、肝機能を改善する効果がひじょうに高いといわれています。

 ゴマリグナンの効能肝臓という臓器は体内でも活性酸素が発生しやすい部分でもあり、そのため肝細胞がダメージを受けてしまいがちとなるのですが、強力な抗酸化作用を持つゴマリグナンを摂取することにより、増え過ぎる活性酸素を抑制し、肝臓の働きを維持するだけでなく向上させてくれる効果が期待できます。ちなみに、ゴマリグナンの主成分となっているのが、健康食品でも有名な【セサミン】です。



肝臓がんは再発しやすい

 肝臓がんは再発が高頻度で起こることが特徴となっており、予後を悪化させる大きな原因となっています。せっかく治ったように見えても、再び治療する必要が生じてしまうのです。

 残された肝臓に再発する場合と、他の部位に転移した状態で発見される場合があるのですが、9割以上は前者となっています。他のがんと比較すると、転移の頻度が少ない傾向にあります。

 手術を行った場合を例に取ると、術後5年以内に肝臓がんが再発する確率はおよそ75%とされています。4人に3人の割合ですので、決して低い数字ではないことがお分かりいただけるでしょう。

 このような事情があるため、再発していないかをチェックするために、定期的に検査を行う必要があります。具体的には、腫瘍マーカーを含めた血液検査や超音波検査・レントゲンといった画像診断を用いることになります。


 再発が多い原因
 肝臓がんの再発が多い原因としては、早い段階から血管内にがん細胞が入って周囲に広がってしまうことや、B型やC型可燃ウイルスに感染している患者さんが大部分であるため、リスクが高くなっていることが挙げられます。


 再発の治療
 再発したからといって、打つ手がないわけではありません。手術を始めとした治療を行うことができますし、その方法は進歩しています。手術の適応がない場合には、肝動脈塞栓療法やエタノール注入療法が中心になっています。



肝臓がんの名医

肝臓がんの名医
1 山崎 晋
��肝臓科医長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511 肝腫瘍の手術数国内最多。
難度の高い肝硬変合併症にも実績大


2 小俣政男
��消化器内科科長)) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝動脈塞栓術など、
原発性肝細胞ガンに対する内科的治療が有名


3 椎名秀一郎
��消化器内科医局長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 高周波でガン細胞を死滅させる
ラジオ波焼灼療法のトップランナー


4 幕内雅敏
��肝・胆・膵外科科長) 東京大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3815-5411 肝切除手術の死亡例ゼロ、
どう手術の名手として世界的に知られる


5 岡崎伸生
��副院長兼センター長) 茨城県立中央病院 茨城県地域がんセンター(茨城県)
                   ℡0296-77-1121 末期ガンにも治癒を断念せず、
��OLを考慮した懇切な治療を実施


6 大西久仁彦
��病院長) 大西内科(埼玉県)
                   ℡0492-71-6250 肝臓の画像診断、
開発した経皮的腫瘍内酢酸注入法は画期的効果


7 橋本大定
��外科教授) 埼玉医科大学総合病院医療センター(埼玉県)
                   ℡0492-28-3400 自ら開発した数々の器具を駆使した
安全確実な内視鏡手術に定評


8 三浦 健
��病院長) 三浦病院(埼玉県)
                   ℡0492-54-7111 手術不能の患部動脈に抗ガン剤を注入。
切除手術に匹敵する好成績


9 荒井保明
��放射線診断部部長) 愛知県がんセンター(愛知県)
                   ℡052-762-6111 局所麻酔で肝動脈にカテーテルを挿入し、
抗ガン剤を投与し高実績


10 中村仁信
��放射線医学講座教授) 大阪大学医学部付属病院(大阪府)
                   ℡06-6879-5111 肝細胞ガンに対して、
ガン存在区域への塞栓化学療法で壊死させる


11 佐々木洋
��参事兼第一外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181 内科、放射線科とのチーム医療による集学的治療。
症例は関西最多


12 高安幸生
��放射線科部長) 市立芦屋病院(兵庫県)
                   ℡0797-31-2156 IVR手法で肝臓ガン患部に直接抗ガン剤を投与し、
好成績を実現


13 才津秀樹
��外科医長) 国立病院九州医療センター(福岡県)
                   ℡092-852-0700 マイクロ波焼灼治療で
内視鏡肝切除と遜色ない低侵襲を達成した



肝臓がんの末期症状

 肝臓がんの末期症状と闘われている方の闘病記を読むことがあります。肝臓がんの末期症状に自分が見舞われたら、どうなるんだろうと思うこともあります。

 肝臓がんは、進行してくると、突然の腹痛や貧血症状になることがあるようです。これらの症状がみられたばあいには、肝臓がんがかなり進んでいると思ったほうがいいということのようです。

 肝臓がんが破裂すると腹痛に襲われるみたいです。肝臓そのものが、病状がかなり進行してからでないと症状が出てこない「沈黙の臓器」というぐらいなので、いきなり腹痛などが出たりします。

 肝臓がんの末期症状に近くなってくると、腹水がたまったり、黄疸がひどくなったり、また、全身が衰弱してくることもあるようです。腹水がたまってくる度合いが多くなってくることから、週に1回は病院で腹水を抜いてもらう場合もあります。

 肝臓がんは、再発の可能性が高いがんとして知られています。

 切除術できれいに取り除いたとしても、3年後や5年後に再発する可能性は6割から7割近くになります。

 肝臓がんの末期症状では、骨に転移して痛みが言葉では言い表せないほど激しいということで、モルヒネで痛みをやわらげたり、神経ブロックで痛みを感じなくさせたりという対処療法もあります。

 ホスピス的な考え方も一方にはあって、常にそばにいて、触れたりさすったりしてあげるということでも、十分に痛みを緩和することもできます。

 いわゆる緩和ケアという方法も、一般的になっているようです。

 モルヒネは一種の麻薬ですので、神経混乱などの副作用も強く、肝臓がんの末期症状で使うか使わないかの考えも、今ではいろいろとありますす。

 また、漢方などを使う場合もあったり、民間療法を試すという場合もあるようですが高価です。

 


肝がん(肝細胞がん)に気づいたら

 肝がんの症状は、基礎にある慢性肝炎や肝硬変の症状と非常に似ているため、肝がんであるという特有な症状、サインはほとんどありません。すなわち、腹水、むくみ、黄疸などの症状があっても、これが肝がんの症状であるかどうかの区別は困難です。

 急速に悪化する腹部膨満感(ぼうまんかん)(張り感)では、急激に増大しつつある肝細胞がんの可能性があります。また、強い腹痛は肝がんの腹腔内破裂(ふくくうないはれつ)(出血)の可能性があり、緊急にその状態を調べる必要があります。

 ALT(GPT)値の異常などの肝障害があったり、B型肝炎・C型肝炎ウイルスが陽性であれば、医師に対して腹部超音波検査を受けることを希望し、早い時期に肝臓内部のチェックをしてください。

 そして、基礎に肝臓病があって、腹部超音波やCTで肝臓内部に腫瘤(しゅりゅう)(しこり、影)がみられたら、ただちに肝臓の専門医の診察を受けてください。良性腫瘍のこともありますが、自覚症状の出てこない早期に肝細胞がんを診断することが、十分な治療を行うためにはどうしても必要です。

 受診する科目は、消化器科または内科です。病気の性格からは、肝がんと診断される前の段階(慢性肝炎・肝硬変)から、定期的に肝臓病の専門医に受診していることが大切です。こうすれば早期発見・早期治療の可能性が高くなります。

 生活面での注意は、背景の肝臓病の程度により禁酒、安静、食事制限などが要求される場合がありますが、一般にはこれ以上に特別なものはありません。


肝臓がん治療(生体肝移植)

 肝移植には生体肝移値と脳死肝移植があります。

 生体肝移植では健康な人の肝臓を部分的に切除し、肝移植が必要な患者さん(レシビエントといいます)に移植されます。

 生体肝移植の場合、家族に肝臓の提供者(ドナーといいます)がいないと成り立ちません。自発的な意思でドナーになるという人で、血液型と肝臓のサイズが合うことが最低条件となります。

 生体肝移植ではドナー側に残した肝臓も十分に働くように血管を処理する高度な技術を要します。しかしほぼ同時に手術が行われるため、肝臓が体から取り出されている時間が短くなり、肝臓自体のダメージが少ないために、手術の成功率が脳死肝移植に比べ若干良くなります。

 他人からの肝臓よりも身内の肝臓の方が拒絶しないのではないかと思われがちですが、それはあまり関係ありません。脳死肝移植よりも生体肝移植の成績が若干良いのは、同時に手術を行うため、肝臓を取りだしている時間が短 「ことが大きな要因となります。

 成人の生体肝移植で問題となるのは、1つには肝臓の大きさです。大人の場合、子供と違い体が大きいために、必要となる肝臓のサイズも大きくなります。ドナーから必要な分の肝臓をもらうとドナー自身の必要な肝臓の大きさが確保できなくなる危険性があります。

 そうなると肝臓をもらうわけにはいきません。一般的にはサイズの小さい左葉を移植されることになりますが、左葉ではレシピエントにとって小さい場合、右葉を移植することもあります。しかし、成人の場合はほとんどが移植される肝臓が、患者さんの必要な肝臓の大きさの半分以下となります。肝臓が大きくなるまで時間がかかるため、脳死移植や子供の生体肝移植に比べ、回復に時間がかかります。

 生体肝移植では健康な人を傷つけることになるため、脳死肝移植よりも適切な方法とは言えません。やはり、一番いいのは脳死の方からの臓器提供です。また、移植したからといって、その肝臓がダメになった場合、再移植ということもあり得ます。

 その場合、生体肝移植では限界があり、脳死肝移植に頼らざるをえなくなるため、生体肝移植を受けられる方も、脳死の臓器提供への理解を深め、ご自身でも臓器提供意思表示カードが普及するよう、努めていただきたいと思います。




生体肝移植のドナーについて

生体肝移植のドナーは元来健康な人であるため、健康な人に手術をするということが問題となります。世界中で約3,000例以上の生体肝移植が行われています。そのうち5例の方が手術後の合併症で亡くなられていますが、国内で行われた約2000例においてはドナーが亡くなられた報告は1例です。ただしこの原因は明らかになっております。ドナーに対する手術においても私達は最善を尽くします。しかし、手術後の合併症が絶対に起こらないとは言えません。

ドナーの手術後の合併症で致命的となりうるものとして肺塞栓症があります。肺塞栓症とは、手術後長時間歩かず寝ていることで足の静脈血管の中によどみができ、その部分の血が固まって栓(血栓)を作り、それがはがれ血管を通って肺へ行き、肺の血管をつまらせ、その結果呼吸ができなくなることを言います。前述した2例はこれが原因で亡くなっています。

肺塞栓症は欧米人に多く起こります。肝臓を切った部分からの出血や胆汁の管からの漏れなどが考えられ、もう一度手術が必要になることがあります。創もレシピエントとほとんど同じでかなり大きくなります。また、ドナーは特に問題がなければ手術後約2週間位で退院可能となりますが、レシピエントに提供する肝臓の大きさによってはもう少し長く入院する必要があります。

退院後の職場復帰は事務職では手術後約2ケ月、肉体労働は3ケ月程度かかります。手術前はもちろん、手術後約3ケ月はアルコールの摂取は禁止されます。なぜなら、肝臓がまだ十分大きくならない状態でアルコールを摂取すると、肝臓の機能が悪くなるからです。このようにドナーにもいくつかのリスクや制約を受けることがあります。


生体肝移植のドナーの条件

1.成人であること(原則として20歳以上65歳末満)。
2.原則として患者さんと血縁(3親等内)、または夫婦であること。
3.血液型が一致、もしくは適合していることが望ましいが、不適合でも行う
4.肝臓のサイズが合っていること。
5.自分の意思で肝臓を提供したいと思っていること。
6.心身共に健康であること。
7.感染症や悪性腫瘍などに最近かかったことがないこと。

生体肝移植でドナーになるということは簡単に決められることではありません。肝臓を提供して患者さんの命を助けたいという強い意思はもちろん大切ですが、明らかにドナーが危険にさらされるような手術は出来ません。

どんな手術も100%安全だという保証はありませんが、出来る限りドナーにとって危険が及ばないよう、ドナーの健康状態を十分に検査させていただき慎重に検討していきます。
ドナーの方にも手術前から禁酒・禁煙していただきます。もちろん手術後も約3ケ月間、医師の指示が出るまでは禁酒を続けなければなりません。手術後ドナーが健康な体になるまでは、ドナー自身にも責任を持って生活するよう心がけてもらう必要があります。

生体肝移植で大切なことは、ドナーの家族(親子・兄弟・姉妹間での移植ならドナーの家族、夫婦間での移植ならドナーの肉親)もドナーとなることに同意しているということです。時には反対されることもあるでしょう。反対を押し切ってドナーになることで、移植後、家族の間でしこりが残る場合があるかもしれません。

実際、家族の中から2人同時に手術を受けるということはとても大変なことで、周囲の協力がとても重要となります。そこで、ご家族の皆様にこのパンフレットをお読みいただき、肝移植を正しく御理解していただいた上で肝移植について御検討いただければと思います。




生体肝移植のドナーの条件

1.成人であること(原則として20歳以上65歳末満)。
2.原則として患者さんと血縁(3親等内)、または夫婦であること。
3.血液型が一致、もしくは適合していることが望ましいが、不適合でも行う
4.肝臓のサイズが合っていること。
5.自分の意思で肝臓を提供したいと思っていること。
6.心身共に健康であること。
7.感染症や悪性腫瘍などに最近かかったことがないこと。

生体肝移植でドナーになるということは簡単に決められることではありません。肝臓を提供して患者さんの命を助けたいという強い意思はもちろん大切ですが、明らかにドナーが危険にさらされるような手術は出来ません。

どんな手術も100%安全だという保証はありませんが、出来る限りドナーにとって危険が及ばないよう、ドナーの健康状態を十分に検査させていただき慎重に検討していきます。
ドナーの方にも手術前から禁酒・禁煙していただきます。もちろん手術後も約3ケ月間、医師の指示が出るまでは禁酒を続けなければなりません。手術後ドナーが健康な体になるまでは、ドナー自身にも責任を持って生活するよう心がけてもらう必要があります。

生体肝移植で大切なことは、ドナーの家族(親子・兄弟・姉妹間での移植ならドナーの家族、夫婦間での移植ならドナーの肉親)もドナーとなることに同意しているということです。時には反対されることもあるでしょう。反対を押し切ってドナーになることで、移植後、家族の間でしこりが残る場合があるかもしれません。

実際、家族の中から2人同時に手術を受けるということはとても大変なことで、周囲の協力がとても重要となります。そこで、ご家族の皆様にこのパンフレットをお読みいただき、肝移植を正しく御理解していただいた上で肝移植について御検討いただければと思います。




肝移植の手術

 肝移植の手術は全身麻酔下で行われ、手術時間は10~16時間またそれ以上かかることもあります。手術室に入ってから、手術が行われる前に麻酔の準備などで1~2時間を要すため、実際に手術室に入ってから手術が終わり手術室を出るまでの時間は12~18時間ぐらいかかり、状況によってはそれ以上の時間を要する場合もあるでしょう。

 肝移植の手術としては、肝臓につながっている4本の主要な管をつなぎ合わせることが主となります。肝静脈、門脈、肝動脈とつないだ後、胆管をつなぎます。

 肝移植を受ける時の患者さんは、肝臓を通らずに心臓へ戻る細い血管が多くあるために、とても出血しやすく、手術中かなりの出血が子想されます。そのため、多量の輸血が必要となります。

 生体肝移植のドナーの手術は、移植する部分の肝臓を切除し、血管と胆管を切り離します。残った肝臓がちゃんと働くよう慎重におこなっていきます。

 肝臓をどの程度取るかは、前もってCTの画像写真で予測できますが、手術中に実際に肝臓を見てから最終的に判断します。

 ドナーの手術は6~7時間程度ですが、麻酔にかかる時間と麻酔から覚める時間を合わせるともう少しかかるでしょう。またレシピエントの手術の進み貝合で肝臓を取るタイミングを少し遅らせることもあり、そうなると手術時間も長くなります。

 手術中の輸血は手術前にドナー本人から採取した血液を用いる、自己血輸血という方法をとります。しかし出血量や状態によって、自己血による輸血量が足りない場合は―般の輸血を行うことがあります。また、場合によっては自己血を採取する時間がなく、行えないこともあります。

 手術を終えた患者さんはICU(集中治療室)へと移されます。ドナーの方は一般病棟に移されます。




肝移植直後

 患者さんは手術後ICUに移っていただきます。状態が落ちつけば、御家族に限って面会することができます。手術直後の患者さんの体は人工呼吸器や点滴、ドレーンと呼ばれる管など多くのチューブ類につながれています。人工呼吸器は普通3日間位ではずされます(状態によって変わります)。

 その他のチューブ類も状態が安定し必要なくなれば抜去されます。また、超音波検査が毎日行われ、肝生検という肝臓の組織を―部取り出して顕微鏡で調べる検査も頻回に行われるでしょう。

 ICU では医師や看護婦等のスタッフが24時間体制でケアーを行います。手術後早い時期は患者さんの状態が不安定なため、採血や検査が毎日のように行われることになります。ICUのスタッフからその都度説明されるでしょう。

 患者さんの手術後の回復状態は、移植前の全身状態によって大きく違ってきます。肝移植を受けられた患者さんが全て同じような経過をたどるわけではありません。移植手術が終わったからといって、すぐに元気は取り戻せないでしょう。

 状態が安定し体が回復するまでの期間は、手術前の状態によって差があります。よってICUで過こす期間も人によってまちまちで、1週間以内に病棟に移れる人もいれば、それ以上かかる人もいます。

 ICU にいる間は状態が落ちつかず、様々な問題が出てくることも予想されます。例えば、血管や胆管をつなげたところが狭くなったり、詰まったりすることがあります。肝臓を切った部分からの出血も起こることがあります。

 また、細菌やウイルス、真菌(カビ)による感染症にかかり、症状が重くなり、命に関わる可能性もあります。拒絶反応が起こることもあるでしょう。

 もちろん患者さんによっては重大な問題が起きずに回復される方もいます。移植手術後は、状態が安定するまでジェットコースターのように変化が大きく、移植後1~3ヶ月位までは大変な時期といえます。

 患者さんにとっても家族にとっても、ICUで過ごしている期間は大きなストレスになると考えられます。私達はそのストレスが少しでも解消されるよう、あなた方の助けとなるよう援肋します。

 もし分からないことがあれば何でも質問して下さい。ICUのスタッフ、医師、コーディネーターはいつでも相談にのります。



肝移植にかかる費用

 現在、生体肝移植にかかる費用はレシピエントが約1,000~1,500万円前後、ドナーの費用は約200~250万円程度です。レシピエントは手術日から退院日までの費用、ドナーは手術前の検査から手術後退院するまでの費用に関して、病気によって保険が利くものと利かないものがあります。

【保険が利く病気は】
・先天性胆道閉鎖症
・進行性肝内胆汁うっ滞症
・アラジール症候
・パッドキァリー症候群
・先天性代謝性肝疾患
・肝硬変(15歳以下の患者のみ)
・劇症肝炎(15歳以下の患者のみ)
・肝細胞癌(ミラノクライテリア;3cm3個以内もしくは5cm単発で遠隔転移がない)
となっています。

 残念ながら上記以外の病気の患者さんは、全て自費となります。肝移植の費用は全て治療費であるため、患者さんが助からなかった場合でも支払っていただかなくてはなりません。

 肝移植の費用は病気によっても違ってきますが、個人によってもかかる費用が異なります。これは手術時間・ICUでの治療や期間・退院までの期間など、患者さんによって個人差が出てくるからです。

 したがって、移植前においてはどの程度費用がかかるかは、おおよそのことしかわかりません。手術後の経過によっては2000万円以上かかることもあり得ます。医療費の支払いに関して、原則は月末締めの翌月10日請求で一括払いとなっております。支払い方法、その他保険取扱い等に関しましては、医事課担当者並びにソーシャルワーカーによる説明があります。

 全てのレシピエントもドナーも一旦退院すれば、退院後の医療費は保険が利くようになります。レシピエントは免疫抑制剤を飲み続けなければならず、それらの費用も移植後かかりますが、退院後は高額医療の申請が行えます。

 移植が成立した際のドナーの費用は、本来レシピエントに請求されますが、退院後、外来での医療費はドナー本人の保険を使用するため、ドナーの方に請求されることとなります。

 ドナーの検査を行ってドナ―にならなかった人についても、その方の保険で医療費が請求されます。そのような場合は誰が医療費の支払いをするかについては、移植前に家族内で十分話し合っておいて下さい。




末期肝臓がんの症状

 末期肝臓病の症状は大きく5つに分けられます。

1. 黄疸
  黄疸の指標となるのはビリルビン値があります。ビリルビンは肝臓から腸へ排泄さ れる胆汁の色素のことで、肝臓が働かなくなると胆汁は腸へ排泄できなくなるため血 液中に入っていき、皮膚や目が黄色くなったり痒みが出る原因となります。

2. 腹水
  肝臓が悪くなって硬くなると、血液が肝臓の中を通りにくくなり、肝臓の近くにあ る細い血管を通って心臓に戻ろうとします。しかし、肝臓に直接入る血管に無理がか かり、そこから血液中の水分やアルブミンなどの成分が血管の外に滲み出してきます。 その量が増えるとお腹に水が貯まり、お腹も大きく張ってきます。また血液中のアル ブミンが減少します。

3.食道静脈瘤
  食道の細い血管を通って心臓に血が帰ろうとするために無理がかかり、細い血管が 風船のように―部ふくれるため、破けやすい状態になります。これが破けると大出血 して命を落とすこともあります。静脈瘤は食道の他に胃にもできることがあります。 直腸にできると、いわゆる痔となります。

4. 肝性脳症
  腸で作られたアンモニアという有害な物質は、本来肝臓で分解され無害となります が、肝臓が分解する力がないために、肝臓を通らないルートの血管を通って脳へいっ てしまいます。それで頭がもうろうとしたり、訳が分からないことを口走ったり、意 識を失ったりということが起こります。

5. 出血傾向
  肝臓は血の成分の―つである血を止める役割をする物質を作ったり、また、血を止 める働きを助けたりしています。肝臓が働かなくなると血を止めるための物質が少な くなってしまいます。そこで、血が止まりにくくなったり、血が出やすくなります。 少しぶつけただけでも青あざができたり、鼻血が出やすくなり、―度血が出ると止ま りにくくなったりします。また、肝臓を通過出来ない血液が肝臓のそばにある脾臓に 流れ込むため、脾臓が大きくなり、血液成分を壊すという本来の脾臓の働きが亢進す (脾機能亢進症)し、出血傾向の原因となります。







肝臓がん(肝臓癌)の診断

 肝臓がんの診断には血液検査と画像診断法が行われます。どちらか一方だけでは不十分です。 また、血液検査や画像診断法を駆使しても「肝臓がん」と診断がつけられないこともあり、 その場合は針生検といって、肝臓の腫瘍部分に針を刺して少量の組織片をとり、顕微鏡で調べることも行われます。


��血液検査>(肝臓癌の検査)
肝臓がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。

◆GOT、GPT 基準値 GOT(AST) 13-35U/l,GPT(ALT) 8-48U/l

肝機能に異常がないかを調べるために血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。 こららは肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊されると血液中に大量に流れでてくるため数値が上昇します。 肝細胞がどの程度障害を受けているのかの指標になります。

◆血小板(Plt) 基準値 12-40万/ul

血小板は血液を固めるために必要な血球成分です。肝硬変になると血液の中の血小板が減ってきてしまいます。 肝硬変の進行具合の指標になり10万/ul以下に低下すると肝臓がんの発症率が高くなります。

◆アルブミン(Alb) 基準値 4.1-5.1 g/dl

アルブミンは血液蛋白の一部で肝臓でしか作られないため肝機能が低下してくるとアルブミンの数値も低下してきます。 著しく低下してくると腹水や浮腫みがでます。

◆総ビリルビン(T-Bil) 基準値 0.3-1.2 mg/dl

肝細胞に障害があるときにあがってくる数値で、血液中の総ビリルビンが増えると黄疸であるといわれます。

◆α-フェトプロテイン(AFP) 基準値 20 ng/ml以下

肝細胞がんのおよそ90%で陽性になる腫瘍マーカーです。元来は胎児の肝臓と卵黄嚢で 産生される糖タンパクで出生後には急速に低下しますが、肝癌になるとこのタンパク質の合成が活発になるため陽性になります。

◆PIVKA-II 基準値 0.1 AU/ml以下(肝臓がんの腫瘍マーカー)

肝細胞がんに特有の腫瘍マーカーで他の疾患では上昇することは少ないのですが、 ビタミンK欠乏の時にも上昇するのでワーファリンなどの薬を服用しているときにも上昇することがあります。



��画像検査>
◆超音波検査(肝臓癌の検査)

肝臓がんを早期に発見するうえで有効な検査になります。超音波診断装置を使用する検査で、 直径が1~2cm程度の小さな肝がんでも見つける事ができる確率が高く一般にも普及している検査です。

◆CT検査(肝臓癌の検査)

��T検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。超音波検査で調べきれなかった場合でもがんを見つけることができます。

◆MRI検査(肝臓癌の検査)

MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。

◆肝血管造影検査(肝臓癌の検査)

足の付け根かの動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで挿入し、造影剤を注入してエックス線撮影を行う検査です。

��肝生検>
超音波検査の画像で肝臓がんの位置を確認しながら、体表から細い針をさして癌の組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく検査する方法です。

ただし、針を刺すとがんが回りに散ってしまう危険性があるため血液検査や画像検査で診断が付かなかった場合のみ行われる検査になります。



肝臓がん(肝臓癌)の治療-外科手術(肝切除術)

 肝切除はがんを含めて肝臓の一部を切り取る手術で、最大の利点はがんが治る可能性がもっとも高いということです。 デメリットは合併症が起こる場合が少なからずあり、1-2%ですが手術に起因する死亡があります。

  また入院期間が1-2ヶ月さらに退院してからの自宅療養が1-2ヶ月必要で長期に及ぶことがあげられます。

 肝臓はひとかたまりの臓器ですが、肝臓内を走る血管の分布によっていくつかの区画に分けて考えられます。

 まず大きく左葉と右葉の二つに分かれます。左葉は外側区域と内側区域、右葉は前区域と後区域に分かれます。

さらに外側区域、前区域、後区域はさらに上下2つの亜区域に分かれ、これに内側区域と尾状葉(肝臓の後ろ側の小部分)を加えて合計8つの亜区域に分かれます。

 肝臓の切り取り方は、これら肝の区画の「どこ」を「どのくらい」切除するかによって表現されます。 がんが区域をまたいでいる場合には複数の区域を切除します。

 肝機能が低下していて大きく切除できない場合には安全のために、亜区域切除や部分切除などより 小さい取り方を選ぶのが普通です。がんでない肝臓をできるだけ残し、しかもがんを取り残さないのがよい手術ということになります。

 残念ながら肝臓がんは再発の非常に多いがんであり、肝切除術により完全にがん細胞を切除したとしても 3-5年後までに再発する確立は70%にも達してしまいます。しかし再発した場合でも条件によっては再手術することもできます。



肝臓がん(肝臓癌)の治療-肝動脈塞栓術

 肝動脈塞栓術は、がんが進行しているため、完全に切除できないと判断された場合や、 患者さんの肝機能の状態が悪くて手術ができないと判断された場合に行われる肝臓がんの治療方の1つです。

 肝臓には肝動脈と門脈という二つの血管から酸素や栄養分を受けていますが、 一方で肝臓がんはほとんど肝動脈のみからそれらの供給を受けています。この性質を利用して行う治療が肝動脈塞栓術なのです。

 つまり肝動脈塞栓療法は肝臓がんに栄養を送っている肝動脈を塞いで、 肝臓がんが酸素や栄養を供給されないようにし、壊死させることができるのです。
 
 具体的には太ももの付け根の部分からカテーテルと呼ばれる管を肝動脈まで挿入し、 抗がん剤をしみこませた「ゼラチン・スポンジ」という小さなスポンジ状のゼラチンを詰めて肝動脈を詰まらせます。 肝動脈が詰まっているためがんは酸素などの供給を受けることができなくなり壊死します。その後スポンジは自然に溶けて血流は元通りに回復します。

 肝動脈塞栓術は1回の治療で1週間ほどの入院が必要です。1回の治療で癌細胞が完全に壊死できなくても 繰り返し同じ治療を行えばほぼ消滅させることができます。

 この治療法はがんの進み具合についての制限はほとんどなく、適応範囲が広い治療ですが、 癌細胞が門脈を塞いでしまっている場合には行うことができません。また黄疸や腹水が見られるほど 肝機能が低下している患者さんに対しても治療ができない場合があります。

 治療中や後に発熱がみられたり、食欲不振や腹痛、吐き気などの副作用が現れる場合がありますが数日で収まり、 1週間程度で以前と同じ生活ができるようになります。

 このように、肝動脈塞栓術は他の治療法に比べ治療対象の制限が少なく、長所も多く、 最近の肝臓がん治療成績の向上に最も寄与しています。しかし、延命効果は多大ですが、完全に治りきる確率(完全治癒率)は現在のところ10%程度です。



肝臓がんの治療-経皮的エタノール注入療法

 経皮的エタノール注入療法とは超音波画像でがんの位置を確認しながら体外から100%エタノール、 すなわち純アルコールを肝臓がんの部分へ注射して、アルコールの化学作用によりがん組織を死滅させる治療法です。 エタノールにはタンパク質を凝固させる作用があり、エタノールを注入された癌細胞は瞬時に固まって壊死します。

 問題点としては体内の直接見えない部分にあるがんの位置をいかに正確に把握しエタノールを接触させられるか、 がん以外の部分へのエタノールの接触を最小限にとどめ副作用を抑えられるかが重要になってきます。

 エタノールは正常な肝細胞も破壊してしまうため、多量のエタノールを注入してしまうと広範囲にわたり肝細胞が 壊死してしまい肝臓の機能が失われてしまいます。また、肝がんが超音波画像で見えにくい場合や、 がんが肝臓内部の重要な血管に接している場合にはアルコール注射が安全かつ十分にできないこともあり、すべての場合で可能とは限りません。

 一般にがんの直径が3cm以下で、がんの個数は3個以下がこの治療の対象とされています。しかし、 よい効果が得られるのは2cm以下のもので、2cmを超えるとアルコールとの接触が完全に行うことができない場合もあり、治療成績は落ちます。

 黄疸や腹水が見られるほど肝機能が低下している患者さんに対しても治療ができない場合があります。

 エタノール注入療法は癌の大きさや個数に応じて複数回の治療を行うことになります。副作用は塞栓術に比べて軽微で3-4日毎に治療を行うことができます。



肝臓がんの治療-マイクロ波凝固療法

 マイクロ波凝固療法は、電子レンジにも使われているマイクロ波を利用してがんを焼いて殺す治療法です。電子レンジはマイクロ波を使って水分子を振動させ食べ物を加熱しますが、この治療法では体表から長い針を刺し、針の先からマイクロ波を出します。

 この療法の問題点は、とても高熱になるということです。そのためがん以外にも正常な組織も焼かれてしまう危険性が高く、肝臓の周りの臓器までも傷ついてしまう危険性があります。

 また、マイクロ波ではなくラジオ波を使ってがんを焼いて殺すラジオ波凝固療法もあります。ラジオ波はマイクロ波と比べて温度が高くならないため正常な肝細胞や周りの臓器を焼いてしまう危険性が少なく、小さながんであれば壊死できる可能性も高く、 入院期間も短縮できるという利点があり、現在積極的に行われつつあります。

 しかし、この治療法はまだ新しい方法で、長期的な効果は不明です。世界的にもいまだまとまった治療成績の報告が少なく、日本では保険適用が認められておらず、 医療側も患者側も「実験的治療」であることを認識した上で施行するべき治療といえます。


肝臓がんの治療-局所化学療法

 動注抗がん剤はここ数年の間に普及し始めた治療方法で、太ももの付け根の部分からカテーテルと呼ばれる管を肝動脈まで挿入し、肝動脈から抗がん剤を注入する方法です。

 一度の注入だけでは効果があまり効果が望めない場合には、手術で開腹して直接肝動脈にカテーテルを挿入するか、足のつけ根の動脈(大腿動脈の枝)からカテーテルを肝動脈まで進めるか、どちらかの方法でカテーテルを留置して、おなかの皮膚の下に埋め込んだ、薬液注入用の小さい貯留容器(リザーバーまたはポートと呼びます)から抗がん剤を注入します。

 新しい治療方法であるため、現在のところどの程度効果が期待できるのか分かっていないのが現状であり、肝動脈塞栓術やエタノール注入などができない場合に次善の策として行われています。

 肝臓がんの化学療法に使われる抗がん剤はマイトマイシンC、5-FU、シスプラチン(他にランダ、ブリプラチン)、アドリアマイシン、ファルモルビシン、ノバントロンなどが使われます。

 

 放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすいため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。 免疫力を賦活させることが大切です。

 また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。




転移性肝臓がんの治療

 大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、膵臓がんなどを含む多くの臓器から肝臓には転移します。肝臓に転移したがんを転移性肝臓がんといいます。転移性肝臓がんの治療として最も確率の良いものは外科的手術になります。

 しかし、転移性肝臓がんで手術が適応となるのは全身状態が手術に耐えられること、手術により肝臓にあるがんが取り除くことができること、原発巣(転移してきたがん)と肝臓以外にがんがないことなどが条件となります。

 肝臓に転移した場合の多くは、がんが進行していて手術ができない場合も少なくありません。

 大腸がんの肝転移の場合には比較的手術ができることが多く、良好な結果を得られる場合も少なくありません。胃がんや乳がんでは一部の方で手術が、肺がんや膵臓がんではほとんど適応になることはありません。

 手術ができない場合は抗がん剤を肝動注または点滴で静脈投与することになります。

 転移性肝臓がんは、もともとあった癌の性質を持っているので、使用する抗がん剤の種類は元のがんに応じて選択されます。一時的に抗がん剤が有効な例もありますが、手術以外の方法で根治させることは困難です。

 肝臓がんの有力な治療法である肝動脈塞栓療法(TAE)とエタノール注入療法(PEI)は転移性肝がんでは残念ながらあまり有効ではなく、これらの治療を行うことは稀です。


がん予防に良い食べ物

発ガン予防にごぼう 植物繊維とは人間の体内では消化されない物質のことで、セルロース、ペクチン、リグニンなどがあります。最近ではこらの成分が血中のコレステロール値を下げる働きをするというので注目されています。 リグニンは、お茶に含まれるタンニンと似た構造をしており、制ガン効果があることもわかっています。
 ですから中高年以上で、高血圧、動脈硬化、ガンなどの恐れがある人は、いつもきんぴらごぼうなどの“おふくろの味”を食べることをすすめます。


ガン予防に椎茸(しいたけ) 椎茸(しいたけ)の子実体といわれるかさには、エシチンという抗ガン物質があることが発見されました。子実体だけではなく、菌糸体にも、その成分中の多糖類に抗ガン作用があることもわかっています。
 レニチナンは消化器等から吸収されないので注射で投与しなくてはいけませんが、菌糸体の抽出液は経口投与でも効果はあります。 またレンチナンはガンの発育を阻害させるだけではなく、ガンの発生を抑える作用があることもわかっています。これら多糖類が直接ガンを殺すのではなく、体の免疫機能を高めるからといわれています。
 いずれにしても、椎茸(しいたけ)は副作用もなく、ふだんからきちんと食べていればガンを防ぐ特効薬になるといえます。


ガンを抑える大根(だいこん) 大根(だいこん)は含有量から言えば、根の部分よりも葉の部分の方が多く含んでいますが、葉は熱に弱いので、むしろ生で食べられる根の方が、体にとり入れやすいといえます。
 ビタミンCは、風邪を予防したりストレスを和らげたりします。また、発ガン性物質の生成も妨げると言われています。


がん予防にチーズ チーズはビタミンAが豊富です。ビタミンAは、皮膚や粘膜、目を守る働きをします。不足すると視力が低下し、とりめになったり、肌がカサカサしてきたり、風邪を引きやすくなったりします。
 ビタミンAもがんの予防に効果があることがわかっています。


発がん性を防ぐ緑茶 緑茶に含まれているタンニンの還元作用で六価クロムなどの有害重金属イオンを三価にする働きや、有害変異原物質の抑制力もあることから、発がん性をおさえてくれます。


がん予防に納豆 ヨーグルトの乳酸菌は、発がん物質ができるのを防いでくれます。胃がんや肝臓がんの原因であるらしいニトロソアミンや、膀胱がんの原因とみられるインドール、直腸がん胆汁酸誘導体などの発がん物質は、体に悪い作用をする腸内細菌が働いて作られるのです。こうした働きを防ぐのが、ヨーグルトの乳酸菌です。


ガンを防ぐ大豆 大豆には、タンパク質の消化酵素の働きを阻止する、トリプシンインヒビターという成分があります。これは生では消化不良の原因となりますが、加熱するとほとんど壊れてしまいます。 そのわずかに残ったトリプシンインヒビターに、ガンや糖尿病を防ぐ効果があるのです。
 トリプシンインヒビターは水といっしょに長時間加熱すると効力を失います。いり豆や、きな粉等の加工食品に多く含まれています。


がん予防にゆず(柚子) ゆず(柚子)に含まれているビタミンCにはウイルスへの抵抗を強める働きがあるので、がんの予防にもなります。これはビタミンCによってインターフェロンが、ウイルスを防ぐからです。
 またビタミンC自体が代謝されるときに活酸が発生し、これがウイルスやがんの核をそこなわさせて、がんが大きくなるのを防ぐ働きをするとされています。


がんを抑制するマッシュルーム キノコ類には多糖質を含んだものが多く、レンチナンなどが含まれています。レンチナンには、免疫機能を高め、がんの発育を抑えて退縮させるだけでなく、がんが発生するのを抑える力もあります。


がん予防にピーナッツ ピーナッツにはビタミンEが含まれています。発がん物質や過酸化脂質からフリーラジカルが生成されて、細胞が異常増加を続ければがんになりますが、このフローラジカルを生成されないように予防する効果が、ピーナッツのビタミンEにあります。


がん予防ににんにく にんにくの成分の中に有機ゲルマニウムがあり、生物が生きていくのに欠かせない酵素を運ぶ働きをし、尿と一緒に全部排出されるので副作用などの害がありません。
 ゲルマニウムは、体内で臓器中の有害重金属の除去、肝機能障害や悪性腫瘍の予防に役立つといわれています。がんの治療では、放射線の効果を上げるとともに、体内での酵素の利用を高めることによって、放射線のマイナスを防ぐものと見られています。
 にんにくを食用するとき、取りすぎは危険です。取りすぎると、にんにく精油の溶血作用により、血液中の色素ヘモグロビンをとかし、貧血を起こすこともあります。


がん予防ににんじん(人参) にんじん(人参)は、ビタミンAの宝庫と言われ、これには上皮細胞を形成し、機能を調整して、体内の粘膜を正常に働かす力があります。
 ビタミンAが欠乏して、上皮細胞が扁平上皮化して粘膜を分泌しない細胞に変わることを化生といいますが、これは前がん状態によく見られます。これが目の粘膜に現れると、夜盲症になり、皮膚上部の皮脂腺を冒すと、ニキビや吹き出物になるのです。
 にんじん(人参)は、ビタミンAと同じ効用のあるカロチンを豊富に含み、やはりがん予防に効果があるとされているビタミンCもあります。大腸がんの予防に効果的な食物繊維の多い栄養野菜の一つです。


がん予防になるにら にらに多いビタミンAは、粘膜細胞を正常に働かす作用があることから、粘膜に関するがんに影響があると報告されています。
 ビタミンAを含む物質を、日常的に多量に摂取していれば、皮膚や粘膜細胞の異常増殖を予防し、ひいてはがんを予防するということになります。


がんを防ぐしそ しその強い防菌性を持つペリアアルデヒドが、腸内の細菌の腐敗を防ぎ、血液をきれいにし、造血を促進して貧血を治す効力を発揮します。また、制菌作用があるということは、このペルアアルデヒドがタンパク質を破壊し、その作用によって菌が殺されるということなのです。
 非常に効力が強いこのタンパク質分解作用は、そのまま制がんとしての働きにも応用できます。ただ体内でのこのペリアアルデヒドが増えすぎると、がん細胞だけでなく、普通の体内のタンパク質にまで作用するという危険があります。ですから、1日に2~3枚が適量です。
 この量なら毎日続けてもかまいませんが、2~3枚を毎日摂ってしまったら、体内の細胞にペリアアルデヒドが蓄積するかもしれないので、次の数日はしそを食べないという風にバランスをとっていくことが大切です。




肝臓がんの食事療法

 肝臓がんの食事療法ときくと、病気になった後の治療方法の1つとしての食事かなと思いますが、肝臓がんにならないような食事ということもいえます。

 肝臓がんは、肝臓に負担をかけたりして病気になりやすいような環境を作ってしまうことでかかってしまうこともある病気です。

 肝臓がんにかかってしまった後の食事についても、やはり肝臓に負担をかけないようにするなどの注意点はあるような気がします。

 肝臓がんは食事で予防するという方法もあるみたいです。肝臓と聞くとアルコールが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、暴飲は控えること、また、食事面では、繊維質を多く含む食材や緑黄色野菜を食べたり、豆腐などの大豆でできた食品を食べるということもいわれています。

 肝臓がんは、脂肪肝といって、脂肪の多い食事を多く食べることによって、肝細胞に中性脂肪がたまってしまい、肝臓の機能が低下することでかかってしまうこともあるようです。よって、動物性たんぱく質を多く含むような食事は、大量に食べないということもいえるかもしれません。

 肝臓がんを含めて、がんの発生原因といわれることがある活性酸素をおさえるようなものを多く含んだ食品を食べるということもいわれているみたいです。たとえば、ビタミンA、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB、ポリフェノール、カロチノイド、イソフラボンなどの名前を聞くことがあります。

 肝臓がんは肝硬変や肝炎が元になることもあるようなので、それらの病気に対して、肝臓の機能を強めるために、貝類の牡蠣肉のエキスを含んだ健康食品も売られているみたいです。肝臓がんに対する成分としてフコイダンというものがあります。

 これは、民間療法の1つとしてつかわれるもので、海藻類のヌルヌルした成分に含まれている多糖類のことをいい、ここにアルギン酸やラミニンなどの成分が入っているということで、抗がん作用があるのではないかといわれているものです。

 肝臓がんにかかって化学療法をしている場合、においや吐き気、食欲不振などの副作用によって、しっかりと食事ができないこともあるようです。

 こういった場合、果物や麺類だと食べられることもあるということで出されることがあります。





原発性肝臓がんと転移性肝臓がんの治療の違い

 原発性肝臓がんの場合には、他の場所に広がっていない限り、局所療法で寛解する可能性があります。治療法について詳しい説明はページを改めて行いますが、手術や経皮的治療、ラジオ波療法といったものがあります。

 これに対し、転移性肝臓がんの場合には同じようにはいきません。なぜなら、他に原発巣(ガン細胞が発生した場所)があるわけですから、その場所も含めて治療しなくてはならないためです。さらに、他の場所にも散らばっている可能性もあります。

 転移性肝臓がんの場合には、原発巣が大腸であることが多いのですが、この場合には肝臓だけを治しても寛解にはなりません。そこで、治療は体全体をトータルに捉える必要があります。

 原発巣が手術によって治療でき、肝臓についても手術やラジオ波療法が行える場合には寛解の可能性があります。ただし、血流に乗って他の場所にも広がってしまっていることが多く、再発の危険性も高いと言わざるを得ません。






転移性肝臓がんの余命と生存率

 原発巣から見ると、他の臓器にまで転移してしまっている状態になりますので、生存率はとても低いことが一般的です。たとえば、大腸がんが原発巣になっている場合には、遠隔転移が見られるステージ4期の5年生存率は10%程度です。

 転移性肝臓がんの場合には、原発巣がどの部位であるかによっても影響を受けますが、もはや余命が長くはないことが多いことも理解しておく必要があります。他の臓器に症状が広がってしまっている場合には、生存率が低いことが一般的なのです。




肝炎ウイルスが原因となる原発性肝臓がん

 原発性肝臓がんの原因としては、肝炎ウイルスが大きな要素となっています。肝炎ウイルスには色々なタイプがあるのですが、その中でも癌と関係しているのは主にB型とC型の2種類です。

 この肝炎ウイルスに感染すると、正常な肝細胞に作用して突然変異を起こすことによって癌になるものと推測されています。したがって、ウイルス感染者は高リスク群ということになります。

 ただし、肝炎ウイルスに感染したら、その段階で癌になることが決まっているわけではありません。あくまでリスクが高いということになりますので、健康に過ごしている方も多くいます。感染後は肝炎という病気になることが多く、症状としては食欲不振や黄疸、全身の倦怠感といったものがありますが、自覚症状がなく治癒したり、発症しなかったりすることもあります。

 肝炎ウイルスの感染ルートは母子感染や注射針など、いくつかの経路があるのですが、血液製剤によって感染してしまった例も多くあります。現在では、輸血に使われる血液の検査が行われて危険性は低くなっていますが、それでも見つけられない例もわずかに存在しています。

 肝炎ウイルスの影響で、原発性肝臓がんになることを予防する方法については研究が進行しており、現状としてはC型肝炎にインターフェロンを用いる治療法が注目されています。ただし、完全に予防できるほどの効果は得られていませんので、リスクが高い場合には定期的に検査を受けて早期発見の可能性を高め、症状が進行する前に治療を行っておくことが大切です。





肝臓の位置と働き

 肝臓は右腹部に位置し、横長の三角に近い形をしている臓器です。重さは1キロから1.5キロほどと大きな臓器となっており、およそ3000億の肝細胞を持っています。

 肝実質と肝小葉から作られており、肝実質は肝臓そのものとなっており、肝小葉は肝動脈や門脈、胆管で構成されています。肝動脈は酸素を豊富に含んだ血液を肝臓に送る役割を持つ血管です。門脈は消化管から吸収された栄養分を送り、胆管は肝細胞で作られた胆汁を送り出す働きを持っています。

 肝臓にはいくつかの働きがあります。胆汁を作ることによって食物の分解や消化を助ける作用や、体内に入った有害物質を無害化する解毒作用、アンモニアを尿素に変えて尿として排出できるようにする機能、栄養分を貯蔵しておく働き、血液を溜めて体に流れる循環量を調整する役割があります。

 沈黙の臓器と呼ばれるだけあって、病気になっても症状はすぐに出るものではありません。これは癌の場合にも言えることです。したがって、自覚症状が現れた時には、進行している可能性が高いと言えます。




肝臓がんはウイルスが主な原因

 一口に「肝臓がん」と言うが、実際には、肝臓に発生する「原発性肝臓がん」と他臓器のがんが肝臓に転移する「転移性肝臓がん」の2つに大別される。さらに原発性肝臓がんの95パーセントは「肝細胞がん」。残りの5パーセントが、「肝内胆管がん」のほか、成人の「肝細胞・胆管細胞混合がん」、小児の肝臓がんである「肝芽腫」などに分けられる。

 このように日本では、肝臓がんの約95パーセントが肝細胞がんであることから、一般的に「肝臓がん」と言えば、肝細胞がんのことを指す。

 肝臓がんの特徴は、子宮頸がんと並んで、主要な発生要因が明らかになっている点だ。最大の要因となるのは肝炎ウイルスで、日本では、肝臓がんの原因の約90パーセントを占めている。その内訳は、約75パーセントがC型肝炎ウイルス、約15~20パーセントがB型肝炎ウイルス、残りの約5パーセントは、非アルコール性脂肪肝炎(ナッシュ)などとなっている。

 ある報告では、C型慢性肝炎(肝組織検査でF1→F3)の進行とともに発がん率も高くなり、慢性肝炎が進んだ場合は年率3パーセント、肝硬変の場合は年率5~7パーセントと発表されている。こうしたことから、B型やC型肝炎ウイルスに感染した人は、「肝臓がんの高危険群」と呼ばれる。

 こうした事実は、逆に言えば、ウイルスを持っている患者(キャリア)は肝臓がんになりやすいと特定できるということでもある。もちろん、ウイルスを持っているからと言って、必ずしも肝臓がんになるわけではないが、それでもキャリアの患者を定期的に検査することで、肝臓がんの早期発見と予防が可能となる。



精度が飛躍的に向上した肝臓がん手術

 胃がんや大腸がんなど他の消化器がんに比べると、肝臓がんの外科治療の歴史はきわめて浅い。たとえば胃がん手術の場合には150年の歴史があるが、肝臓がんのそれは60年ほどにすぎない。それは肝臓がん手術の難しさを物語っていると高山さんはいう。

 「肝臓がんは発見された時点で、すでにかなり進行していることが多いことに加え、肝臓そのものが血液の塊りのような臓器で、手術には大量出血の危険がともないます。そのために手術は現実の治療法として定着せず、手術が始められてからも、なかなか成績は上がりませんでした。それが1985年に肝臓を8ブロックに分けて、それぞれの部分だけを切除する区域切除術が行われるようになって、治療成績は飛躍的に向上したのです」

 これは当時、国立がんセンターに在籍していた幕内雅敏さんが考案したもので、幕内術式とも呼ばれる。この区域切除術が定着してからは、それまでは5~6000ccにも達していた出血量が平均1000cc程度に減少し、手術による死亡率も80年代で15パーセント、90年代で5パーセント、現在では1パーセント前後にまで減少している。

 高山さんが在籍している日本大学付属板橋病院消化器外科では、手術にともなう平均出血量は、献血量と同程度の400cc前後で、この数年間は手術による死亡は0に抑えられているという。



肝臓がん 名医

大阪大学医学部付属病院〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2番15号
TEL. 06-6879-5111(代表)
中村仁信
��放射線医学講座教授)
肝細胞ガンに対して、
ガン存在区域への塞栓化学療法で壊死させる
 

大阪府立成人病センター〒537-8511
大阪市東成区中道1-3-3
TEL. 06-6972-1181(代表)
佐々木洋
��参事兼第一外科医長)
内科、放射線科とのチーム医療による集学的治療。
症例は関西最多
 
市立芦屋病院〒659-8502
兵庫県芦屋市朝日ヶ丘町39-1
TEL:0797-31-2156 FAX:0797-22-8822
高安幸生
��放射線科部長)
��VR手法で肝臓ガン患部に直接抗ガン剤を投与し、
好成績を実現

国立病院九州医療センター〒810-8563 福岡県福岡市中央区地行浜1丁目8番1号
��EL 092-852-0700 FAX 092-847-8802
才津秀樹
��外科医長)
マイクロ波焼灼治療で
内視鏡肝切除と遜色ない低侵襲を達成した

国立がんセンター中央病院〒104-0045
東京都中央区築地5-1-1
電話03-3542-2511
山崎 晋
��肝臓科医長)
肝腫瘍の手術数国内最多。
難度の高い肝硬変合併症にも実績大

東京大学医学部付属病院〒113-8655
東京都文京区本郷7-3-1
TEL 03-3815-5411(代)
小俣政男
��消化器内科科長)
肝動脈塞栓術など、
原発性肝細胞ガンに対する内科的治療が有名
椎名秀一郎
��消化器内科医局長)高周波でガン細胞を死滅させる
ラジオ波焼灼療法のトップランナー
幕内雅敏
��肝・胆・膵外科科長)
肝切除手術の死亡例ゼロ、
どう手術の名手として世界的に知られる

茨城県立中央病院 茨城県地域がんセンター〒309-1793
茨城県笠間市鯉淵6528
電話 0296-77-1121 FAX 0296-77-2886
岡崎伸生
��副院長兼センター長)
末期ガンにも治癒を断念せず、
��OLを考慮した懇切な治療を実施

大西内科〒620-0887
京都府福知山市東小谷ヶ丘1306-2
大西久仁彦
��病院長)
肝臓の画像診断、切らずに治す
開発した経皮的腫瘍内酢酸注入法は画期的効果



三浦病院〒354-0004
埼玉県富士見市下南畑3166
TEL:0492-54-7111
FAX:0492-54-2707
三浦 健
��病院長)
手術不能の患部動脈に抗ガン剤を注入。
切除手術に匹敵する好成績

愛知県がんセンター052-762-6111
荒井保明
��放射線診断部部長)
局所麻酔で肝動脈にカテーテルを挿入し、
抗ガン剤を投与し高実績

東京大学医学部付属病院幕内雅敏教授
肝胆膵外科教授
彼の元には他で断れた人が全国から訪れる
彼の特徴は腫瘍部位の特定と出血を最小限に防ぐ技術
世界で初めて術中エコーを使い、肝臓手術の成功率を世界標準70%から99%にUP

東大病院小俣政男教授
消火器内科
��ラジオ波焼灼術を日本で初めて取り入れた人物)
患者の体を切らずに治す(体にメスは入れたくない人)
��注意点*
手術器の急激な出力上昇による肝破裂
焼灼が不十分なことによる再発・転移
隣接する組織または血管の損傷
のリスクがあります。



肝臓がん治療の名医と言われているドクター

肝臓がん治療の名医
北海道・東北ドクター名(敬称略) 病院名            病院所在地
  藤堂省    北海道大学病院       北海道札幌市北区北14条西5丁目
℡011-716-1161 

  佐々木大輔  弘前大学医学部付属病院   青森県弘前市本町53 
℡0172-33-5111 

  海野倫明    東北大学医学部付属病院   宮城県仙台市青葉区星陵町1-1
℡022-717-7000


関東
ドクター名(敬称略)   病院名              病院所在地
 吉見富洋      茨城県立中央病院         茨城県笠間市鯉淵6528
℡0296-77-1121

 宮崎勝       千葉大学医学部付属病院      千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1
℡043-222-7171

 幕内雅敏      東京大学医学部付属病院      東京都文京区本郷7-3-1
℡03-3815-5411

 川崎誠治      順天堂大学医学部付属順天堂医院  東京都文京区本郷3-1-3 
℡03-3813-3111 

 高山忠利      日本大学医学部付属板橋病院    東京都板橋区大谷口上町30-1
℡03-3468-1251 

 小菅智男      国立がんセンター中央病院     東京都中央区築地5-1-1 
℡03-3542-2511

 山本雅一      東京女子医科大学病院       東京都新宿区河田町8-1
℡03-3353-8111

 泉並木       武蔵野赤十字病院         東京都武蔵野市境南町1-26-1
℡0422-32-3111

 窪田敬一      獨協医科大学病院         栃木県下都賀郡壬生町北小林880
℡0282-86-1111 

 永井秀雄      自治医科大学付属病院       栃木県河内郡南河内町薬師寺
3311-1 ℡0285-44-2111 


中部・北陸・東海
ドクター名(敬称略)     病院名             病院所在地
 上坂克彦      静岡県立静岡がんセンター    静岡県浜松市三方原町3453 
℡053-436-1251 

 金岡祐次      大垣市民病院          岐阜県大垣市南頬町4-86 
℡0584-81-33411 

 二村雄次      名古屋大学医学部付属病院    愛知県名古屋市昭和区舞鶴町65
℡052-741-2111

 城卓志       名古屋市立大学病院       名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1
℡ 052-851-551 


関西
ドクター名(敬称略)   病院名           病院所在地
 中村武史      北野病院            大阪府大阪市北区扇町2-4-20
℡06-6312-1221 

 佐々木洋      大阪府立成人病センター     大阪府大阪市東成区中道1-3-3
℡06-6972-1181 

 藤元治朗      兵庫医科大学病院        兵庫県西宮市武庫川町1-1
℡0798-45-6111

 浮草実       大阪赤十字病院         大阪府大阪市天王寺区筆ヶ崎町
5-30 ℡06-6774-5111 

 門田守人      大阪大学医学部付属病院     大阪府吹田市山田丘2-15
℡06-6879-5111

 齋田宏主      兵庫県立尼崎病院        兵庫県尼崎市東大物町1-1-1
℡06-6482-1521

 福井博       奈良県立医科大学付属病院    奈良県橿原市四条町840
℡0744-22-3051


中国・四国ドクター名(敬称略)   病院名             病院所在地
 東俊宏       岡山市立市民病院        岡山県岡山市天瀬6-10
℡086-225-3171

 三村哲重      岡山済生会総合病院       岡山県岡山市異伊福町1-17-18
℡086-252-2211


九州・沖縄ドクター名(敬称略)   病院名            病院所在地
 佐田通夫      久留米大学病院         福岡県久留米市旭町67
℡0942-35-3311








肝臓がんの手術方法

 肝臓がんの主な治療法は、外科療法(手術。肝切除)、アルコールを入れて固める治療(経皮的エタノール注入療法:PEIT)、血管をつめる治療(肝動脈塞栓術:TAE)の3療法が良く知られています。他にマイクロ波凝固療法、ラジオ波凝固療法、凍結療法、化学療法(抗がん剤)などもありますが、絶対的な治療法はなく、癌の進行具合、肝機能の状態、患者の年齢・体力、合併症の有無などから判断して、最も有効な治療法が選択されます。

 肝切除(外科手術)は患部を癌を含めて肝臓の一部を切り取る手術で、最大のメリットは治癒する可能性が最も高いということです。逆にデメリットとしては、手術に起因する合併症を起こし、そのうち死に至るケースが1~2%ほどあることです。また入院期間が1~2ヶ月と長く、退院後の自宅療養が同じ期間に及ぶことなどがあげられます。

 基本的に肝臓は再生能力のとても高い臓器で、健康な肝臓であれば70%近くを切除しても、ほぼ元通りの大きさに戻ります。そのため切除しても機能的には問題がないと考えられています。

 肝臓はひとかたまりの臓器ですが、肝臓内を走る血管の分布によって、いくつかの区画に分けて考えられます。肝臓癌の手術は、これらの区画のどの部分を、どの程度切除するかによって行われます。

 慢性肝炎や肝硬変を患っている場合は再生能力が低下しているため、大きく切除してしまうと肝臓の機能が十分に行われず、命に関わる事態に陥ることもあります。そういう場合は、患者の安全のために小さく切り取ることを選ぶのが普通です。健康な肝臓をできるだけ残し、しかも患部を取り残さないのがよい手術ということになります。




肝臓がんの病院選び【治療・名医・評判・生存率】

北海道

北海道大   肝臓がん手術件数 62(9) 
旭川医大   肝臓がん手術件数 37(0) 
札幌厚生   肝臓がん手術件数 34(1) 
手稲渓仁会   肝臓がん手術件数 26(3) 
札幌社会保険総合   肝臓がん手術件数 14(1) 
勤医協中央   肝臓がん手術件数 13(1) 
札幌医大   肝臓がん手術件数 8(3) 
恵佑会札幌   肝臓がん手術件数 7(1) 
国立病院機構 北海道がんセンター   肝臓がん手術件数 4(1) 
吉田   肝臓がん手術件数  


青森

弘前大   肝臓がん手術件数 19(5) 
県立中央   肝臓がん手術件数  
岩手
岩手医大   肝臓がん手術件数 46(8) 
県立中央   肝臓がん手術件数 17(7) 


宮城

東北大   肝臓がん手術件数 65(13) 
仙台厚生   肝臓がん手術件数 24(1) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数 4(1) 
国立病院機構 仙台医療センター   肝臓がん手術件数  


秋田

秋田大   肝臓がん手術件数 33(3) 
市立秋田総合   肝臓がん手術件数 1(1) 


山形

県立中央   肝臓がん手術件数 13(1) 
山形大   肝臓がん手術件数 6(4) 


福島

県立医大   肝臓がん手術件数 28(4) 
太田西ノ内   肝臓がん手術件数 12(2) 
福島赤十字   肝臓がん手術件数 8(2) 


茨城

県立中央   肝臓がん手術件数 30(5) 
土浦協同   肝臓がん手術件数 12(1) 
国立病院機構 水戸医療センター   肝臓がん手術件数 10(4) 
筑波メディカルセンター   肝臓がん手術件数 10(3) 
日立総合   肝臓がん手術件数 9(1) 
東京医大霞ヶ浦   肝臓がん手術件数 6(1) 
筑波大   肝臓がん手術件数 5(0) 
独協医大   肝臓がん手術件数 63(4) 


栃木

自治医大   肝臓がん手術件数 31(5) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数 20(4) 


群馬

前橋赤十字   肝臓がん手術件数 20(6) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数 14(3) 
群馬大   肝臓がん手術件数 12(3) 
桐生厚生総合   肝臓がん手術件数 12(2) 


埼玉

埼玉医大総合医療センター   肝臓がん手術件数 50(10) 
さいたま赤十字   肝臓がん手術件数 45(5) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数 31(11) 
防衛医大   肝臓がん手術件数 27(9) 
自治医大さいたま医療センター   肝臓がん手術件数 20(0) 
上尾中央総合   肝臓がん手術件数 3(0) 
国立病院機構 西埼玉中央   肝臓がん手術件数 1(0) 
埼玉医大   肝臓がん手術件数  


千葉

国立がんセンター東   肝臓がん手術件数 72(8) 
県がんセンター   肝臓がん手術件数 36(6) 
千葉大   肝臓がん手術件数 25(10) 
県済生会習志野   肝臓がん手術件数 13(1) 
順天堂大浦安   肝臓がん手術件数 14(2) 
国立病院機構 千葉医療センター   肝臓がん手術件数 12(2) 
国保君津中央   肝臓がん手術件数 12(1) 
亀田メディカルセンター   肝臓がん手術件数 5(2) 


東京

東京大   肝臓がん手術件数 136(5) 
東京女子医大   肝臓がん手術件数 110(11) 
日大板橋   肝臓がん手術件数 83(10) 
国立がんセンター中央   肝臓がん手術件数 67(22) 
東京医科歯科大   肝臓がん手術件数 60(7) 
日本医大   肝臓がん手術件数 60(15) 
虎の門   肝臓がん手術件数 45(1) 
順天堂大   肝臓がん手術件数 44(8) 
癌研有明   肝臓がん手術件数 35(4) 
帝京大   肝臓がん手術件数 29(3) 
都立駒込   肝臓がん手術件数 28(2) 
東邦大医療センター大森   肝臓がん手術件数 28(2) 
慈恵医大   肝臓がん手術件数 24(2) 
東京医大   肝臓がん手術件数 23(6) 
慶応大   肝臓がん手術件数 20(1) 
昭和大   肝臓がん手術件数 17(4) 
公立昭和   肝臓がん手術件数 12(0) 
国立病院機構 災害医療センター   肝臓がん手術件数 9(2) 
��TT東日本関東   肝臓がん手術件数 8(4) 
慈恵医大第三   肝臓がん手術件数 6(2) 
杏林大   肝臓がん手術件数 5(0) 
北里研究所   肝臓がん手術件数 5(1) 
東芝   肝臓がん手術件数 4(0) 
東海大東京   肝臓がん手術件数 3(0) 
社会保険中央総合   肝臓がん手術件数 2(1) 
東京逓信   肝臓がん手術件数 2(0) 
武蔵野赤十字   肝臓がん手術件数  
国立国際医療センター   肝臓がん手術件数  
駿河台日大   肝臓がん手術件数  
東京警察   肝臓がん手術件数  
府中恵仁会   肝臓がん手術件数  


神奈川

東海大   肝臓がん手術件数 45(6) 
北里大   肝臓がん手術件数 45(3) 
横浜市立大   肝臓がん手術件数 35(4) 
昭和大藤が丘   肝臓がん手術件数 22(3) 
聖マリアンナ医大   肝臓がん手術件数 19(3) 
聖マリアンナ医大横浜市西部   肝臓がん手術件数 9(1) 
日本鋼管   肝臓がん手術件数 9(0) 
横浜市立大 市民総合医療センター   肝臓がん手術件数 6(0) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数  
関東労災   肝臓がん手術件数  


新潟

新潟大   肝臓がん手術件数 50(3) 
県立がんセンター新潟   肝臓がん手術件数 13(1) 
県立中央   肝臓がん手術件数 12(1) 
済生会新潟第二   肝臓がん手術件数 5(0) 
日本歯科大新潟   肝臓がん手術件数 4(0) 


富山

県立中央   肝臓がん手術件数 17(3) 
富山大   肝臓がん手術件数 10(1) 
厚生連高岡   肝臓がん手術件数 9(2) 


石川


金沢大   肝臓がん手術件数 47(3) 
金沢医大   肝臓がん手術件数 4(2) 


福井

福井県立   肝臓がん手術件数 30(1) 
福井大   肝臓がん手術件数 15(3) 
県済生会   肝臓がん手術件数 7(3) 


山梨

山梨大   肝臓がん手術件数 15(3) 
市立甲府   肝臓がん手術件数 15(3) 


長野

信州大   肝臓がん手術件数 67(7) 
長野市民   肝臓がん手術件数 26(4) 


岐阜

大垣市民   肝臓がん手術件数 46(6) 
岐阜大   肝臓がん手術件数 22(1) 
岐阜市民   肝臓がん手術件数 18(2) 
県総合医療センター   肝臓がん手術件数 4(0) 
高山赤十字   肝臓がん手術件数 3(1) 
岐北厚生   肝臓がん手術件数 0(0) 


静岡

県立静岡がんセンター   肝臓がん手術件数 47(8) 
県立総合   肝臓がん手術件数 43(4) 
浜松医大   肝臓がん手術件数 24(1) 
県西部浜松医療センター   肝臓がん手術件数 13(4) 
聖隷浜松   肝臓がん手術件数 10(1) 
順天堂大静岡   肝臓がん手術件数 6(1) 


愛知

愛知医大   肝臓がん手術件数 40(1) 
名古屋市立大   肝臓がん手術件数 27(5) 
県がんセンター中央   肝臓がん手術件数 23(1) 
春日井市民   肝臓がん手術件数 18(5) 
名古屋第一赤十字   肝臓がん手術件数 13(3) 
刈谷豊田総合   肝臓がん手術件数 10(1) 
社会保険中京   肝臓がん手術件数 9(0) 
名古屋第二赤十字   肝臓がん手術件数 7(2) 
加茂   肝臓がん手術件数 7(2) 
増子記念   肝臓がん手術件数 6(0) 
名古屋市立東市民   肝臓がん手術件数 2(0) 
蒲郡市民   肝臓がん手術件数 2(0) 


三重

三重大   肝臓がん手術件数 32( ) 
桑名市民   肝臓がん手術件数 9(3) 
市立四日市   肝臓がん手術件数 5(0) 
国立病院機構 三重中央医療センター   肝臓がん手術件数  


滋賀

県立成人病センター   肝臓がん手術件数 13(2) 
大津赤十字   肝臓がん手術件数 7(1) 


京都

京都大   肝臓がん手術件数 79(7) 
京都桂   肝臓がん手術件数 23(4) 
国立病院機構 京都医療センター   肝臓がん手術件数 13(3) 
山科   肝臓がん手術件数 9(3) 
京都市立   肝臓がん手術件数 8(1) 
済生会京都府   肝臓がん手術件数 1(0) 


大阪

大阪市立大   肝臓がん手術件数 73(11) 
大阪市立総合医療センター   肝臓がん手術件数 63(3) 
近畿大   肝臓がん手術件数 61(2) 
府立成人病センター   肝臓がん手術件数 60(5) 
大阪大   肝臓がん手術件数 50(9) 
大阪赤十字   肝臓がん手術件数 43(1) 
関西医大枚方   肝臓がん手術件数 42(5) 
大阪医大   肝臓がん手術件数 39(1) 
国立病院機構 大阪医療センター   肝臓がん手術件数 37(5) 
関西医大滝井   肝臓がん手術件数 34(1) 
大阪鉄道   肝臓がん手術件数 22(2) 
市立豊中   肝臓がん手術件数 21(1) 
大手前   肝臓がん手術件数 17(3) 
北野   肝臓がん手術件数 17(1) 
大阪労災   肝臓がん手術件数 14(0) 
��TT西日本大阪   肝臓がん手術件数 13(3) 
大阪警察   肝臓がん手術件数 12(4) 
国立病院機構 大阪南医療センター   肝臓がん手術件数 11(1) 
石切生喜   肝臓がん手術件数 10(2) 
住友   肝臓がん手術件数 10(4) 
大阪厚生年金   肝臓がん手術件数 10(1) 
府立急性期・総合医療センター   肝臓がん手術件数 7(2) 
市立池田   肝臓がん手術件数 4(0) 
大阪市立十三市民   肝臓がん手術件数 4(0) 
市立藤井寺市民   肝臓がん手術件数 4(0) 
東大阪市立総合   肝臓がん手術件数 2(0) 
府済生会千里   肝臓がん手術件数 2(0) 
府済生会吹田   肝臓がん手術件数 1(0) 


兵庫

神戸大   肝臓がん手術件数 67(8) 
明和   肝臓がん手術件数 59(3) 
姫路赤十字   肝臓がん手術件数 59(6) 
兵庫医大   肝臓がん手術件数 41(5) 
神戸市立医療センター中央市民   肝臓がん手術件数 32(6) 
県立がんセンター   肝臓がん手術件数 29(3) 
関西労災   肝臓がん手術件数 21(4) 
赤穂市民   肝臓がん手術件数 1(0) 
神戸朝日   肝臓がん手術件数 1(0) 
明石市立市民   肝臓がん手術件数    


奈良

近畿大奈良   肝臓がん手術件数 19(0) 
天理よろづ相談所   肝臓がん手術件数 11(1) 
市立奈良   肝臓がん手術件数 6(1) 


和歌山

県立医大   肝臓がん手術件数 55(13) 


鳥取

鳥取大   肝臓がん手術件数 17(0) 
山陰労災   肝臓がん手術件数 5(0) 
県立中央   肝臓がん手術件数 6(1) 


島根

島根大   肝臓がん手術件数 34(2) 
松江市立   肝臓がん手術件数 4(1) 


岡山

岡山済生会総合   肝臓がん手術件数 78(10) 
岡山大   肝臓がん手術件数 60(10) 
松田   肝臓がん手術件数 35(3) 
倉敷中央   肝臓がん手術件数 28(1) 
岡山市立市民   肝臓がん手術件数 4(1) 
川崎医大川崎   肝臓がん手術件数 1(0) 


広島

広島大   肝臓がん手術件数 96(4) 
広島赤十字・原爆   肝臓がん手術件数 81(2) 
市立広島市民   肝臓がん手術件数 37(4) 
県立広島   肝臓がん手術件数 31(4) 
国立病院機構 呉医療センター   肝臓がん手術件数 27(10) 
広島記念   肝臓がん手術件数 21(1) 
福山市民   肝臓がん手術件数 20(0) 
国立病院機構 福山医療センター   肝臓がん手術件数 16(2) 
��A尾道総合   肝臓がん手術件数 13(0) 
国立病院機構 東広島医療センター   肝臓がん手術件数 8(1) 
庄原赤十字   肝臓がん手術件数 3(0) 


山口

山口大   肝臓がん手術件数 38(2) 
下関厚生   肝臓がん手術件数 11(1) 


徳島

徳島大   肝臓がん手術件数 35(5) 
徳島赤十字   肝臓がん手術件数 3(2) 


香川

香川大   肝臓がん手術件数 35(4) 
県立中央   肝臓がん手術件数 21(1) 


愛媛

県立中央   肝臓がん手術件数 40(4) 
国立病院機構 四国がんセンター   肝臓がん手術件数 32(5) 
愛媛大   肝臓がん手術件数 19(0) 


高知

高知大   肝臓がん手術件数 56(3) 
高知医療センター   肝臓がん手術件数 40(4) 


福岡

久留米大   肝臓がん手術件数 115(4) 
新古賀   肝臓がん手術件数 56(2) 
麻生飯塚   肝臓がん手術件数 55(6) 
福岡市民   肝臓がん手術件数 34(0) 
産業医大   肝臓がん手術件数 33(5) 
国立病院機構 九州医療センター   肝臓がん手術件数 31(1) 
浜の町   肝臓がん手術件数 26(11) 
北九州市立医療センター   肝臓がん手術件数 23(2) 
国立病院機構 九州がんセンター   肝臓がん手術件数 22(1) 
福岡大   肝臓がん手術件数 15(2) 
公立八女総合   肝臓がん手術件数 10(2) 
福岡赤十字   肝臓がん手術件数 5(2) 
久留米大医療センター   肝臓がん手術件数 0(0) 


佐賀

佐賀大   肝臓がん手術件数 25(3) 
県立好生館   肝臓がん手術件数 13(0) 
佐賀社会保険   肝臓がん手術件数 3(0) 


長崎

長崎大   肝臓がん手術件数 58(8) 
国立病院機構 長崎医療センター   肝臓がん手術件数 43(6) 
日赤・長崎原爆   肝臓がん手術件数 10(3) 
長崎市立市民   肝臓がん手術件数 4(1) 
佐世保共済   肝臓がん手術件数  


熊本

熊本大   肝臓がん手術件数 72(9) 
熊本赤十字   肝臓がん手術件数 18(6) 
済生会熊本   肝臓がん手術件数 10(0) 


大分

大分赤十字   肝臓がん手術件数 27(4) 
大分県立   肝臓がん手術件数 25(5) 
大分大   肝臓がん手術件数 19(6) 
国立病院機構 別府医療センター   肝臓がん手術件数 7(0) 
国立病院機構 大分医療センター   肝臓がん手術件数 5(0) 


鹿児島

鹿児島厚生連   肝臓がん手術件数 55(2) 
鹿児島大   肝臓がん手術件数 37(6) 
鹿児島市医師会   肝臓がん手術件数 12(3) 


沖縄

琉球大   肝臓がん手術件数 18(6)


肝臓がんの診断方法

 肝臓がんの診断には血液検査と画像診断法が行われます。どちらか一方だけでは不十分です。 また、血液検査や画像診断法を駆使しても「肝臓がん」と診断がつけられないこともあり、 その場合は針生検といって、肝臓の腫瘍部分に針を刺して少量の組織片をとり、顕微鏡で調べることも行われます。

<血液検査>(肝臓癌の検査)
肝臓がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。

◆GOT、GPT 基準値 GOT(AST) 13-35U/l,GPT(ALT) 8-48U/l

肝機能に異常がないかを調べるために血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。 こららは肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊されると血液中に大量に流れでてくるため数値が上昇します。 肝細胞がどの程度障害を受けているのかの指標になります。

◆血小板(Plt) 基準値 12-40万/ul

血小板は血液を固めるために必要な血球成分です。肝硬変になると血液の中の血小板が減ってきてしまいます。 肝硬変の進行具合の指標になり10万/ul以下に低下すると肝臓がんの発症率が高くなります。

◆アルブミン(Alb) 基準値 4.1-5.1 g/dl

アルブミンは血液蛋白の一部で肝臓でしか作られないため肝機能が低下してくるとアルブミンの数値も低下してきます。 著しく低下してくると腹水や浮腫みがでます。

◆総ビリルビン(T-Bil) 基準値 0.3-1.2 mg/dl

肝細胞に障害があるときにあがってくる数値で、血液中の総ビリルビンが増えると黄疸であるといわれます。

◆α-フェトプロテイン(AFP) 基準値 20 ng/ml以下

肝細胞がんのおよそ90%で陽性になる腫瘍マーカーです。元来は胎児の肝臓と卵黄嚢で 産生される糖タンパクで出生後には急速に低下しますが、肝癌になるとこのタンパク質の合成が活発になるため陽性になります。

◆PIVKA-II 基準値 0.1 AU/ml以下(肝臓がんの腫瘍マーカー)

肝細胞がんに特有の腫瘍マーカーで他の疾患では上昇することは少ないのですが、 ビタミンK欠乏の時にも上昇するのでワーファリンなどの薬を服用しているときにも上昇することがあります。

<画像検査>
◆超音波検査(肝臓癌の検査)

肝臓がんを早期に発見するうえで有効な検査になります。超音波診断装置を使用する検査で、 直径が1~2cm程度の小さな肝がんでも見つける事ができる確率が高く一般にも普及している検査です。

◆CT検査(肝臓癌の検査)

��T検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。超音波検査で調べきれなかった場合でもがんを見つけることができます。

◆MRI検査(肝臓癌の検査)

MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。

◆肝血管造影検査(肝臓癌の検査)

足の付け根かの動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで挿入し、造影剤を注入してエックス線撮影を行う検査です。

��肝生検>
超音波検査の画像で肝臓がんの位置を確認しながら、体表から細い針をさして癌の組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく検査する方法です。

ただし、針を刺すとがんが回りに散ってしまう危険性があるため血液検査や画像検査で診断が付かなかった場合のみ行われる検査になります。


肝臓がんの末期症状

肝臓がんの症状でも末期の場合どのような特徴が顕著にあらわれるでしょうか?

他のがんもそうですが、末期の場合患部の痛みがかなり激しくなります。

感覚としては激しい腹痛・貧血もともないます。もし、他の病気でない場合にこのような症状がある場合はかなり進行した肝臓がんだと 判断されます。

治療されているのであれば、ソレトンなどの痛み止めを処方されるでしょう。

そして肝機能の低下から全身のひどいかゆみに襲われます。

じんましんになった人ならかゆみの苦しみはわかると思いますが、さらに慢性的な我慢のできないかゆみに襲われます。 また全身のだるさも激しくなります。

転移を起こせば様々な症状が重なります。

黄疸、腹水、しこりにはじまり頻脈、呼吸困難、全身の出血傾向、腹部膨満感、消化器官障害、下痢、発熱、腎不全等々。 骨に転移すれば骨の痛みから骨折までおこります。

精神的にも不安定になりますし、幻覚幻聴がおこる場合もあります。

すべてがおこるわけではないですが、個々人での病状の進み具合・原因によって様々です。




肝臓がんの末期症状と余命

治療を行っても回復の見込みがない状態を末期と呼びます。ここまで症状が進行してしまうと、治ることは期待できないものの、残された余命を延ばすことや、痛みの緩和をはじめとして生活の質を高めるための対策を講じることができます。

肝臓がんが末期症状になってしまった場合であっても、適切な治療法を選択することが重要であることに変わりはありません。ただし、余命の長さを最重視するか、体が自由に利くことや副作用が軽いことを重視するかといった点も考慮して、自分にもっとも合ったものを主治医と共に選んでいきましょう。


末期肝臓がんとは

たとえば、ステージがいくつになったら末期症状であるという定義が存在するわけではありませんが、たとえばステージ4になった場合には、これに該当することが多いと考えられるのではないでしょうか。

治療には、完治の期待ができるものと、それ以外の目的で行われるものがあります。そのため、最初から克服できないことを前提にしなくてはならないケースもあります。もはや治す術がない場合には、末期肝臓がんとされます。

たとえば、体中に転移が進んでしまい、もはや手の付けられない状態になってしまっていることがあります。こうしたケースでも、抗がん剤による化学療法を用いることによって、治らないまでも症状の進行を遅らせられることがありますので、余命を延長させることになります。

また、末期における治療の目的として、痛みを緩和させることも重要視されることがあります。命があれば申し分なしとは言えませんので、痛みがひどい場合には、それを軽くする必要があります。

初期症状はほとんど存在しないため、進行してから自覚できるようになりますが、末期の場合の一例としては、黄疸や腹水などがあります。ただし、同じ兆候でも表れる時期は癌の位置なども含めて個人差がありますので、黄疸や腹水があったら必ずしも助からないというわけではありません。


余命の実際

肝臓がんの症状が進行してしまった場合には、余命を宣告されることがあります。病名の告知と共にショックな出来事ですが、残された時間を無駄にしないためにも、気持ちを立て直すことが求められます。

人生の残りが限られたものになってしまった時に、すぐに感情を整理して何をしておくべきか考えられる人もいれば、混乱してしまう人もいます。誰しも動揺するものですが、余命が短ければ短いほど、同じ時間でも貴重なものになります。

なお、余命の期間を告げられたとしても、それは絶対に当たるわけではありません。半年と宣告されても、9ヶ月以上生きるといったこともありますので、あくまで目安として捉えておいたほうがよいでしょう。

肝臓がんは簡単に治せる病気ではありません。しかしながら、医療が進歩しているのも事実です。自分が直面している状況において何ができるのか、主治医とよく話し合って、納得できる選択をしてください。


肺がんの高額な治療費を軽減する制度

 健康保険による高額療養費
 高額な医療費の負担を軽くするために、健康保険には高額療養費制度が設けられています。これは2006年10月から施行された制度で、月ごとに一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分がもどってくるという内容になっています。

同じ月に、同じ医療機関に支払った医療費が対象となり、外来と入院とを別にして計算します。(計算式は所得によって異なっています。)

また、1年間に4回以上高額療養費制度を利用する場合には、4回目からの自己負担額は定額となります。一般世帯で4万4400円、高額所得世帯は8万3400円となります。


自己負担限度額(70歳未満、2006年)
一般世帯
  8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%

高額所得世帯
  (15万円+(かかった医療費-50万円)×1%

生活保護世帯など
  3万5400円


 なお、入院中の食事代や差額ベッド代、診断書などの書類作成費用は、高額療養費の対象とはなっていません。また、月ごとの計算になるので、入院の日数が同じでも複数月にわたる場合は、払い戻し額が違ってくることに注意しましょう。払い戻し申請は、原則として本人がする必要があります。


 70歳以上の人は、70歳未満の人と自己負担限度額が異なります。70歳以上で一般所得の人が外来にかかった場合、ひとつの医療機関で同月に1万2000円以上支払うことはありません。

入院の場合も、同じようにして4万4400円を超えることはありません。(ただし、食事代や差額ベッド代は除く。)


 当座の支払い費用を貸し付ける制度なども
 当座の支払いにあてる費用を無利子で貸し付ける制度もあります。貸付額は高額療養費として払い戻される額の8割相当になります。

また、同じような制度として、受領委任払いがあります。これは、高額療養費の分は保険者が医療機関に納めて、本人は最終的な自己負担分だけを医療機関の窓口に納める方法です。


 差額ベッド代も大きな費用となる
 治療費以外に大きな出費となるのが、入院時の差額ベッド代(室料差額)です。都市部の個人病院の場合、4人以上の部屋でも1日あたり数千円かかるところが多くあります。個室になると、どこの病院でも1日あたり1万円~5万円かかるようになります。

ただし、症状によって病院から個室に入るように指示された場合は、全額自己負担とはなりません。本人が個室を希望した場合は、全額自己負担となってしまいます。

他にかかる費用として、通院のための公共交通機関の料金、車のガソリン代、駐車料金などがあります。遠方からくる人は、宿泊料も考慮しなければなりません。

退院後には、かかりつけ医に紹介状を書いてもらう場合がありますが、その際には文書作成料がかかります。抗がん剤の副作用で脱毛が起こった場合には、かつらを買うための費用も発生します。


肝臓がんの5年生存率

肝臓から発生したがんである「肝細胞がん」では、切除手術を受けた方の 5年生存率は 約50%です。3cm以下の肝細胞がんをエタノール注入法で治療した場合の 5年生存率は 約40%です。

ガンが 1個で 5cm以下の大きさ、またはガンが 3個以下でそれぞれが 3cm以下の場合、生体肝移植で 4年間生存できる確率は 約85%です。
��※生体肝移植とは、生存している親族などの他の人の肝臓の一部を患者に移植する治療です)



他の臓器からの転移によりがんが発生する「転移性肝臓がん」では、予後はよくありません。

その理由は、肝臓へがんが転移してきたということは、そのガンが発生した他の臓器の状態はかなりガンが進行しているからです。

つまり、転移により発生した肝臓がんを治療しても、ガンが発生した場所の状態が悪いため、生存率が下がってしますのです。



C型肝炎とは

C型肝炎とは?


C型肝炎は肝臓の病気です。C型肝炎ウイルスに感染し、発病することで起こります。

感染ルートは血液です。輸血や注射針の使い回し、消毒が不十分な治療器具の使用などから感染します。

肝炎になると、肝臓の細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなります。しかし、初期では自覚症状が現れません。自覚症状があらわれるのは、かなり肝臓が悪くなり機能が低下してからです。

そして、C型急性肝炎の多くは慢性化します。C型慢性肝炎になると、自然に治ることはほとんどありません。そして、そのままにしておくと、肝硬変や肝臓がんになる場合もあります。



C型肝炎の症状


C型肝炎の症状としては、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、嘔吐(おうと)、黄疸(おうだん)、肝臓の腫れ上がる、などがみられることもあります。このような症状があらわれた場合は、かなり肝臓の機能が低下していることがほとんどです。



肝炎ウイルスの種類


ちなみに、肝炎ウイルスは、A型、B型、C型、D型、E型、G型など、いろいろな種類があります。




肝硬変とは

肝硬変とは?


肝硬変(かんこうへん)とは、肝臓が硬くなる病気です。肝臓の細胞は再生力が強いので、様々な原因により肝臓の細胞が破壊されると、再生してまた破壊されて再生、と繰り返すうちに、線維(せんい)が増えてきて、硬くなってきます。

そうなると、肝臓の全体の構造が変化してきて、形も変化してしまい、肝硬変になってしまいます。

肝硬変は男性によく見られます。年代は 60歳代が多いです。



肝硬変の原因


肝硬変の原因は、お酒(アルコール)もありますが、多いのはウイルスによるものです。

原因となるウイルスは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスです。

その他の原因は、自己免疫、うっ血、毒物、胆汁うっ滞、先天性の代謝異常、などがあります。



肝硬変の症状


肝硬変の初期では、だいたいの場合、自覚症状がありません。まれに食欲不振、お腹が張るなどがあります。

そのほかの症状としては、皮膚が黒ずむ、手の平の周りが赤くふくらむ、首すじ・胸・肩のあたりに赤い斑点(はんてん)がでる、男性の場合に女性ホルモンの増加により乳房がふくらむ、などです。

さらに症状が進むと、黄疸(おうだん)、腹水(ふくすい)、足のむくみなどが起こり、腹壁の静脈が腫(は)れて、食道静脈瘤(しょくどう じょうみゃく りゅう)の破裂による吐血(とけつ)にまでなると、とても危険な状態です。

異常な行動や昏睡状態(肝性脳症)にまでなることもあります。



肝硬変の検査


肝硬変の検査は、血液検査、超音波検査、CT検査、肝生検(かんせいけん)などです。



肝硬変の治療


肝硬変の治療は、症状によって変わりますが、症状が軽い場合は食事療法などの生活習慣を改善していきます。症状が重い場合は入院して適切な治療をする必要があります。



肝臓がんの再発

肝臓がんは再発率が高い


肝臓がんは、再発する確率が高いガンです。肝臓がんが 5年以内に再発する確率は 約80%といわれています。

そして、肝臓がんの再発する場所は、治療して残った肝臓からが 約87%です。

肝臓がんの再発率が高い理由は、肝炎ウイルス(C型肝炎ウイルス)にあります。肝臓がんの原因はほとんどの場合が肝炎ウイルスです。肝臓がんの治療は、その原因である肝炎ウイルスまで根絶するものではありません。

ですから、、C型肝炎から肝臓がんになった場合、がんを治療しても、肝炎は治っていないので、またガンができやすくなるのです。

つまり、C型肝炎から発生したガンは、治療してもまた新しいガンができやすいということです。ですから肝臓がんの 5年以降の生存率も下がります。

さらに、肝臓がんの再発しやすい状態は、肝機能の悪さ、腫瘍(しゅよう)の数の多さ、血管へがんが広がっているかどうかでも変化します。



再発しても希望はある


肝臓がんでは、再発してもしっかりと治療を受ければ治る可能性があります。つまり、再発したからといってもまだまだ希望はある、ということです。



肝臓がん 腹水

肝臓がんが進んでくると、腹水がたまってきます。これは肝臓の機能低下によって、血管内の水分やリンパ管からリンパ液が漏れ出してきて、お腹の中に溜ってしまうためです。腹水が溜まることにより、お腹は徐々にふくらみます。また、急激な体重贈増加や尿量の減少などがあらわれてきます。

 溜ってしまった腹水は、抜く必要があります。利尿剤を利用したり、腹水を腹腔内から排出する処置、すなわち、お腹に針を刺して腹水を抜く「腹水穿刺」という方法があります。

 腹水は、元々、栄養を含んだものですから、抜きすぎても栄養が不足して、体力が落ちてしまいます。急速に腹水を除去すると体内の水分バランスが崩れてしまい,心臓や腎臓に負担をかけたり,肝臓の血流が低下することにもなります。

このような場合、肝硬変そのものの症状が悪化することがあり,悪い状態が更に進んで、命を縮めてしまう可能性もあります。このようなことから、腹水コントロールは医者と患者の十分な理解の元で行うことが大切になります。



腹水やむくみは、なぜ起こるのか

肝臓ではアルブミンというたんぱく質をつくっています。
アルブミンは血液中の水分と結合して、水分を一定量に調整しています。

ところが、肝臓の働きが低下すると、アルブミン量が少なくなるので血管内の水分が多くなりすぎてしまい、血管外の組織へ水が漏れ出てしまいます。

水分が血管外の皮膚にたまれば「むくみ」を起こし、腹部にたまれば「腹水」になります。

腹水は厄介、治すのが困難
腹水とは腹腔内に溜まった液体です。

正常な人でも内臓の潤滑のため少量の液体がありますが、様々な原因で多量の液体が溜まった状態を腹水と言います。

原因としては心臓病、肝臓病、腎臓病、結核症、癌(悪性腫瘍)などです。


腹水の状態で分類すると
漿液性、血性、うみ性、乳糜性などに分けることができます。

上記の病気が原因で全身状態の悪化や局部的機能低下によって液体が血管やリンパ管から染みだして腹腔内に溜まります。

少量(300~500ml)の場合はほとんど不調を感じることが無いので腹水に気づくことは困難です。
中度(500~3000mL)がある場合は自覚症状があります。お腹が太鼓のよう膨らんできます。診察時に腹部を軽くたたいて打診すると音が濁ります。
大量(3000mL以上)がある場合は呼吸困難になり、下肢が浮腫みます。また、腹水を発生させている病気に伴って黄疸、貧血、発熱、腎臓、肝臓、心臓の機能低下など様々な症状が併発します。





腹水の治療法

アルブミン補給
本来肝臓で合成されるアルブミンが肝機能の低下によって血中の濃度が低下しているのでアルブミン製剤を内服または点滴で補給します。
しかし、がん性腹水においてはその効果は明らかになっていません。

利尿剤
利尿剤によって水分を排出して腹水を軽減する方法。
癌性腹水に対して利尿剤の有効性は十分に証明されていません。
しかし、他に有効な薬物が存在しないので利尿剤が腹水治療の第一選択の治療となるのが現状のようです。

使用される利尿剤
降圧利尿剤:スピロノラクトン(アルダクトンA)50~150mg
がん性腹水に対しての第一選択肢として使用される場合が多い。
腎機能が低下すると高カリウム血症を生じやすいため使用にあたって十分な注意が必要。

作用
腎臓でナトリウムと水の排泄を促進し、カリウムの排泄を抑えて、尿量を増やし、体内の余分な水分を排泄することにより、血圧を下げたり、体のむくみを取ります。 通常、高血圧症、心性浮腫(うっ血性心不全)、肝性浮腫、腎性浮腫などの治療、また原発性アルドステロン症の診断および症状の改善に用いられます。

副作用
〔重大な副作用〕
電解質異常、急性腎不全
〔その他の副作用〕
BUN値の上昇、女性型乳房、乳房腫脹、性欲減退、陰萎、多毛、月経不順、無月経、閉経後の出血、声の低音化、発疹、蕁麻疹、食欲不振,悪心・嘔吐、口渇、下痢,、便秘、眩暈、頭痛、四肢しびれ感、神経過敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、運動失調、傾眠



利尿降圧剤:フロセミド(ラシックス)20~80mg
アルダクトンAで効果が不十分な場合に併用する。
即効性があるが、低ナトリウム血症や低カリウム血症を生じやすいため、電解質異常には十分な注意が必要。
作用
高血圧症(本態性,腎性など)、悪性高血圧,心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、尿路結石排出促進

副作用
〔重大な副作用〕
ショック・アナフィラキシー様症状、再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、赤芽球癆、水疱性類天疱瘡、難聴、皮膚粘膜眼症候群、心室性不整脈
〔その他の副作用〕
貧血、顆粒球減少、白血球減少、血小板減少、低Na・K血症、低Cl性アルカローシス、高尿酸血症、高血糖症、発疹、蕁麻疹、発赤,光線過敏症、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口渇、膵炎,、障害、腎障害、眩暈、頭痛、知覚異常、脱力感、倦怠感、起立性低、圧,筋けいれん


穿刺(せんし)
腹腔内へ管を入れ、腹水を直接抜く方法。
即効力があるが大量の腹水穿刺排液は低血圧、腎不全、肝性脳症などを誘発する危険があるので排液量は症例ごとに慎重に決定する必要がある。
腹水にはアルブミンが多く含まれるので更に血中アルブミン濃度が低下して腹水を増悪させる。
抜いた時は楽になるが原因が取り除かれていないので再び増加する。
専門施設にての治療法
静脈シャント
逆流防止弁の付いたチューブ(静脈シャント)を体に取り付けて腹腔から静脈に腹水を戻す方法。


腹水濾過再静注法
患者の腹水をとりだし、それを濾過、濃縮して、静脈から再注入する。
腹水の中のがん細胞や細菌をフィルターによって取り除き、人体に必要な成分(タンパク質)を再び体内に戻します。


経頸静脈肝内門脈大循環短絡術
肝臓内門脈にショートカット循環経路を設けて門脈内を減圧する方法。
この治療を行う医療機関は数少ない。
保険対象外治療で1回50万円ほどかかる。

全て対処療法である
上記の治療法をご覧になってお解かりいただけると思いますが全て対処療法です。
原因を治す治療法は一切行われていないので、原因となっている病状が進むに連れて症状は進行し、最終的には対処しきれなくなります。
また、利尿剤は一時的な対処にはなりますが、副作用を考えるとそれだけに頼って継続的に使うのは危険です。


肝臓病の予防と対策

��)初期症状を見逃さないように

肝臓病は「沈黙の臓器」という異名を持っています。ですから、ちょっとした症状ではなかなか判断しづらいのが、肝臓病です。しかし、比較的よく現れる肝臓病の初期症状として、「カラダのだるさ」「食欲不振」「吐き気」があります。これらの症状は、胃腸が不調なときや夏バテ、疲労の場合にも見られるもので、そのままそっくり肝臓病の初期症状とは言えませんが、数日続くようでしたら、一度、医師の診断を受けた方が良いでしょう。



��)療養しだいで完治する慢性肝炎

1年以上も続く状態の肝炎を「慢性肝炎」といい、場合によっては何年、何十年も続くことがあります。しかし、この「慢性肝炎」も決して治らない病気ではありません。正しい食事療法によって、完全に治る可能性が充分あります。そのためにも適切な生活習慣を心がけ、健康なカラダに戻すことが大切です。


��)手作り料理が基本です

食事療法は、バランスのとれた栄養をとり、適正カロリー量を守ることが基本です。計画的なメニューづくりのためにも、栄養バランスの悪い加工食品は、なるべく控えるようにしたいものです。缶詰、びん詰、冷凍食品、お菓子類は使用している素材や調味料の分量などが明らかでないことが多く、知らず知らず、栄養が偏りがちで高カロリーになるものです。どうしても料理に使う場合は、肉類なら脂身をていねいに取り、でてくるアクをすくい取る。缶詰は、皿にあけてから、改めて自分で調理するくらいの配慮が必要です。


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肝臓の数値:γ-GTP

γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、脾臓、小腸などに含まれている解毒作用に関係している酵素で、アルコールに反応します。
このγ-GTPは肝臓や胆管の細胞が死んだときに血液中に流れ出すため、肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す一つの指標になります。
特にアルコール性肝障害や、胆石で胆道が塞がれたときに数値は上がりやすいと言われています。
血液中にγ-GTPが流れ出ること自体は、体に悪いことではなく、γ-GTPがなぜ増えているのかということが注目すべきポイントです。
γ-GTP値が高いと、肝臓の細胞などが壊されているのではないかという恐れがあります。

診断でわかる肝機能数値の正常値は以下の通りとなっています。

γ-GTP(正常値)男性…50IU/L単位以下
γ-GTP(正常値)女性…32IU/L単位以下

正常値を下回っている分には問題ありませんが、数値が上回っている場合には、肝臓に負担がかかっていると考えられます。γ-GTPの数値が高くても100以下であれば、禁酒などお酒・アルコールを控えることで正常値に戻ると考えられます。
しかし、100以上であれば、脂肪肝が進行していると考えられるため、病院で診ていただくことをおすすめします。


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肝臓の数値:GOT(AST)・GPT(ALT)

GOT(AST)・GPT(ALT)はともにアミノ酸をつくり出す酵素で、GPT(ALT)のほとんどは肝臓に存在する酵素で、GOT(AST)は、肝臓の細胞以外にも、心臓の筋肉や手足の筋肉、赤血球などにも含まれている酵素。

��従来「GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)」、「GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)」といたが、近年GOTを「AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)」、GPTを「ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)」に変更し、国際的な標準になりつつある。

GPT(ALT)・GOT(AST)はともに肝臓の細胞が障害を受けると、血液中に酵素が流れ出すことで、GPT(ALT)・GOT(AST)の数値が上がります。
したがって、肝臓に異常があった場合は、ほとんどの場合GPT(ALT)・GOT(AST)両方の数値が上がります。
GPT(ALT)の大部分は肝細胞に含まれるので、GPT(ALT)の数値が高い場合は、肝臓病(肝臓の病気)が疑われます。
ただし、GOT(AST)の数値だけが高く、GPT(ALT)の数値が高くない場合は、心筋梗塞や筋肉の組織が壊れたなどということを判断する材料となります。

GPT(ALT)がGOT(AST)の数値を上回っているときは、脂肪肝や慢性肝炎 などが疑われ、GOT(AST)がGPT(ALT)の数値を上回っているときは、肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝炎、心筋梗塞などが疑われます。

診断でわかる肝機能数値の正常値は以下の通りとなっています。

GOT(AST)…40IU/L単位以下
GPT(ALT)…40IU/L単位以下

GPT(ALT)・GOT(AST)が100以下(40IU/L単位以上で)の場合には、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝などが考えられる。100以上になるとウイルス性肝炎の疑いがある。


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肝臓の数値が高い原因

肝臓の数値であるγ-gtpやGOTなどが上がる理由

肝臓は、多くの働きを持っており、様々な理由で肝臓の数値が上がってしまいます。特に、お酒はγの値を上げてしまうのでそれも原因の一つなのですが、コレ以外にも肝臓の働きである解毒や分解などの働きをさせすぎることによって上がってしまうのです。

これらの数値は肝臓以外の内蔵が悪い際にも上がってしまうので、必ずしもというわけではないのですが、肝臓を働かせ過ぎ無いようにすることは健康を維持していく中で非常に大切です。

γ-gtpやGOTが極端に高い原因肝機能の数値が以上に高ければ、まずはウイルス性の肝炎かどうか調べてみるのが良いでしょう。ウイルス性の他にも自己免疫性や薬物性の肝障害もあるのですが、これらはこの数値だけではなんとも言いがたいのでわかりません。

これらではなかった場合は脂肪肝の可能性があります。そういった場合に肝臓の数値が上がる原因となっていますので、しっかりと検診は行ないましょう。

      
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肝臓がんの診断方法

 肝臓がんの診断には血液検査と画像診断法が行われます。どちらか一方だけでは不十分です。 また、血液検査や画像診断法を駆使しても「肝臓がん」と診断がつけられないこともあり、 その場合は針生検といって、肝臓の腫瘍部分に針を刺して少量の組織片をとり、顕微鏡で調べることも行われます。

<血液検査>(肝臓癌の検査)
肝臓がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。

◆GOT、GPT 基準値 GOT(AST) 13-35U/l,GPT(ALT) 8-48U/l

肝機能に異常がないかを調べるために血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。 こららは肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊されると血液中に大量に流れでてくるため数値が上昇します。 肝細胞がどの程度障害を受けているのかの指標になります。

◆血小板(Plt) 基準値 12-40万/ul

血小板は血液を固めるために必要な血球成分です。肝硬変になると血液の中の血小板が減ってきてしまいます。 肝硬変の進行具合の指標になり10万/ul以下に低下すると肝臓がんの発症率が高くなります。

◆アルブミン(Alb) 基準値 4.1-5.1 g/dl

アルブミンは血液蛋白の一部で肝臓でしか作られないため肝機能が低下してくるとアルブミンの数値も低下してきます。 著しく低下してくると腹水や浮腫みがでます。

◆総ビリルビン(T-Bil) 基準値 0.3-1.2 mg/dl

肝細胞に障害があるときにあがってくる数値で、血液中の総ビリルビンが増えると黄疸であるといわれます。

◆α-フェトプロテイン(AFP) 基準値 20 ng/ml以下

肝細胞がんのおよそ90%で陽性になる腫瘍マーカーです。元来は胎児の肝臓と卵黄嚢で 産生される糖タンパクで出生後には急速に低下しますが、肝癌になるとこのタンパク質の合成が活発になるため陽性になります。

◆PIVKA-II 基準値 0.1 AU/ml以下(肝臓がんの腫瘍マーカー)

肝細胞がんに特有の腫瘍マーカーで他の疾患では上昇することは少ないのですが、 ビタミンK欠乏の時にも上昇するのでワーファリンなどの薬を服用しているときにも上昇することがあります。

<画像検査>
◆超音波検査(肝臓癌の検査)

肝臓がんを早期に発見するうえで有効な検査になります。超音波診断装置を使用する検査で、 直径が1~2cm程度の小さな肝がんでも見つける事ができる確率が高く一般にも普及している検査です。

◆CT検査(肝臓癌の検査)

��T検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。超音波検査で調べきれなかった場合でもがんを見つけることができます。

◆MRI検査(肝臓癌の検査)

MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。

◆肝血管造影検査(肝臓癌の検査)

足の付け根かの動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで挿入し、造影剤を注入してエックス線撮影を行う検査です。

��肝生検>
超音波検査の画像で肝臓がんの位置を確認しながら、体表から細い針をさして癌の組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく検査する方法です。

ただし、針を刺すとがんが回りに散ってしまう危険性があるため血液検査や画像検査で診断が付かなかった場合のみ行われる検査になります。


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肝臓がん死亡率は東日本と西日本で違う

長期にわたる大量の飲酒は、アルコール性肝硬変を介して肝がんを引き起こすのではないかとされてきました。

ドイツのレールバッハ博士(1967)が「飲酒量とアルコール性肝障害は密接に関連しており、1日平均180g(日本酒で約7.5合)以上のアルコールを15年以上摂取すると、アルコール性肝炎や肝硬変の発生頻度が非常に高くなる」と報告した。

日本酒換算で1日平均7合以上飲むとアルコール性肝障害を引き起こす、と短絡的に結びつけられました。

しかし日本における肝がんの死亡率には大きな地域差があります。

日本酒など醸造酒を多く飲む東日本と比べて、蒸留酒(焼酎・ウイスキー他)の消費が多いとされる西日本の方が肝がんでの死亡率が高く、これは戦後ほぼ一貫した地域特性となっています。

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肝臓病予防に良い食べ物

脂肪肝を防ぐ大豆
 大豆にはコリンという成分が含まれています。これは、アルコールによって作られた中性脂肪が肝臓に沈着しておこる脂肪肝の脂肪を取り除いてくれる作用があります。

肝臓病予防になる豆乳 豆乳に含まれているダイズの物質に サポニン、コリンが含まれています。サポニンは、これまで溶血作用をもつ植物性要素として知られていましたが、逆に溶血を阻止するもの、血圧低下作用のあるものといろいろある事がわかってきました。
 また、コリンは、肝臓から余分な脂肪を取り除くリポトロピック・ファクター(抗脂肪肝因子)の一つで、ビタミンB群に属しています。ダイズに含まれるこれらの成分は豆乳にも受けつがれています。

肝硬変の予防に酵母 フェニルアラニンは糖分の代謝に関与するので、糖分をつくる機能や肝臓によい影響を与え、メチオニンはリン脂肪の合成を促進するので、肝臓にある余分な脂肪分をリンと合成させ正常に働くようにし、脂肪肝や肝硬変などの予防に役立ちます。


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肝臓病予防に良い食べ物:しじみの味噌汁

しじみは肝臓に良い食べ物として有名ですが、やはりしじみにも良質のたんぱく質が含まれ、胆汁の分泌をよくし、肝機能をあげてくれます。肝臓の物質代謝のかなめとなるビタミンB2やB12、カルシウムや鉄、リンが含まれていて、脂肪分も少ないので肝臓に負担もかかりません。

しじみのエキスを余すところなく摂ることができる味噌汁がおすすめです。


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肝臓病予防に良い食べ物:大豆

良質のたんぱく質は必須アミノ酸が多く、肝臓の修復や再生に必要な栄養素になります。動物性たんぱく質の肉や乳製品に偏らないようにし、大豆で良質のたんぱく質をたっぷりと摂りましょう。

大豆は必須アミノ酸だけではなく、ビタミン、カルシウム、カリウムという成分も豊富に含んでいます。納豆や豆腐などの大豆製品を積極的に食べるようにしましょう。枝豆もおすすめです。




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肝臓がは沈黙の臓器

肝臓は悪くなっても滅多に症状が現れないことは多くの人が知っています。

肝臓が正常に働かなくなると、私たちは生命を維持していくことができません。肝臓には3000億個以上の肝細胞がありますが、この一部が機能しなくなってもすぐに再生する能力を持っています。

再生するまでは、他の肝細胞が補って働く機能も持っています。仮に、半分以上の肝細胞が死んでしまっても、他の肝細胞がフォローするという機能があるのです。脳や心臓は1本の動脈を頼りにエネルギーを受け取っていますので、その血管が詰まったり壊れたりしてしまうと、血液が送れなくなってしまうので細胞は死んでしまいます。

一方、肝臓には肝臓独自の門脈という血管があるので、酸素不足になることもありません。これらから分かるように、肝臓はダメージを受けても影響が出にくく、症状として表に現れにくいという特徴がるのです。

肝機能が低下して黄疸などの症状が表に出てくるときは、肝細胞のほとんどがダメージを受けて壊れてしまっているということです。

自覚症状がないままに少しずつ静かに症状が進み、知覚神経もなく、気づいたときには重症化していることも少なくないので、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれているのです。


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肝臓の血液検査

肝臓の検査は、問診や触診の次に、血液検査を行います。肝臓にはたくさんの量の血液が出入りしているので、血液の成分を調べることで肝臓の異常を発見することができるのです。

血清ビリルビン
赤血球にあるヘモグロビンから作られる黄色い色をした色素0で、肝臓で代謝されたあとに胆汁の中に出されるものです。肝臓に障害が出るとビリルビンが増加します。

見た目で黄疸の症状がなくても、血液中に3mg/dl以上の数値がある場合、ビリルビンが増えていることになります。このビリルビンの型により、どんな肝臓病なのかが推測することができます。

GOT/GPT
これは、肝細胞が変化していないかどうかを調べるものです。肝臓に障害が出ると、血液中に肝細胞から漏れ出していきます。特徴として、アルコール性肝障害の場合はGOTが高く、慢性肝炎などではGPTが高くなります。

γ-GTP
肝細胞に異常をきたしたり、胆汁の排泄がスムーズにいっていないときに数値が上がります。アルコール性肝障害の診断には欠かせない項目です。

ALP
ほとんどの臓器に含まれているALPですが、肝臓の場合は胆汁の中に出される物質です。胆汁の排泄がうまくいかなくなると、ALPが血液中に増加します。

慢性肝炎などではALPの増加が見られません。肝臓の病気を見分ける上で重要なものの一つです。肝臓以外の骨の病気などでも数値が上がりますので見分けが必要です。

LDH
LDHは、ほとんどの臓器にあり、いくつかの種類に分かれていて、どのLDHが増加しているかで、どの臓器が悪いのかが分かります。がんの場合にもこのLDHが増加するために、肝臓がんの診断に使われる場合があります。

コリンエステラーゼ
コリンエステラーゼは、肝臓に異常が起きると数値が低下します。肥満が原因の脂肪肝では逆に数値が上がります。

血清総たんぱく
血液の中に含まれるたんぱくの総称です。その中の、血清アルブミンの数値が低いと、肝硬変、肝臓がんが疑われます。血清アルブミンが少なくなると、腹水がたまる原因にもなります。免疫グロブリンが増加したときは、慢性肝炎や肝硬変が疑われます。A/G比が低下しているときは、肝機能障害が進んでいることを示します。

膠質反応
血清に薬を加え、その反応を見る検査です。肝臓にトラブルを抱えていると、混濁したり沈殿したりします。肝炎や肝硬変の場合に出る反応ですが、肝臓の病気の影響を受けやすいのが難点です。

血清コレステロール
コレステロールは肝臓で合成されてから胆汁に排出されます。胆汁がうっ帯することでコレステロールが血中にたまり、血清コレステロール値が上がります。

急性肝炎や劇症肝炎では反対に低くなります。黄疸が出たときにこの血中コレステロール値を検査することにより、肝炎によるものか胆汁によるものなのかが分かります。

プロトロンビン時間
肝細胞で作られるプロトロンビンは、血液を固まらせるたんぱく質です。肝細胞に異常をきたすと、プロトロンビンが減少して血液が固まりにくくなります。

肝臓が悪くなると、血液が固まるまでの時間が長くなるのです。このプロトロンビンがかかわって血液が固まるのにかかる時間をプロトロンビン時間と言います。劇症肝炎や肝硬変などの診断に役立ちます。

色素排泄試験
静脈に色素を注射して、どれくらい血中にその色素が残っているのか、一定時間をおいて調べる検査です。肝細胞の働きが十分でなかったり、胆汁の流れがスムーズでなければ、血液の中に一定量以上の色素が残っています。


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肝臓の病気:脂肪肝

健康診断で見つかる肝臓の異常のほとんどは脂肪肝です。30~40代を中心に、食べ過ぎや飲みすぎによる脂肪肝が増加してきています。

脂肪肝は肝細胞の中に、中性脂肪がたまってしまうものです。健康な人でも細胞の中に多少の脂肪は存在します。

脂肪が、飲みすぎ、食べ過ぎによって異常に増加し、肝臓全体の10%を脂肪が占めたものを脂肪肝です。

脂肪肝で命に関わるということはありませんが、放っておくと徐々に線維が増加し、肝硬変になってしまいます。

脂肪肝になる原因というのが、主に飲みすぎ、食べすぎによるものなので、生活習慣が問題になります。生活習慣を改善しなければ、やがては成人病になる可能性もあります。

症状はない脂肪肝になっても特に自覚症状が出ないため、健康診断などでなければ気づかない人が多いです。
肝臓が腫れてくると肝臓部分に重苦しさを感じることはあります。食生活を改めれば、1ヶ月ほどで改善される場合もあります。放っておくのが一番良くありません。肝硬変になってから後悔しても遅いのです。



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肝臓の病気:アルコール性肝障害

お酒を飲み続けることによって、肝臓が悲鳴を上げてしまいます。食べた物を代謝させるためにフル回転している肝臓に、毎日毎日お酒を飲んで、アルコールも分解させなければいけません。これでは肝臓に負担がかかりすぎてしまいます。日本よりお酒を大量に飲む欧米では、肝硬変を起こす人も多いそうです。

アルコール性脂肪肝
上記したように、お酒が原因で脂肪肝になってしまう場合があります。脂肪肝の自覚症状はありませんが、中には右上腹部に痛みを覚えたり、食欲不振、だるさが出る場合があります。この段階では、お酒を控えることで脂肪肝を改善することができます。

アルコール性肝線維症
脂肪肝なのに、何もせずにそのままお酒を飲み続けると、線維症に移行してしまいます。お酒を飲み続けることによって、肝細胞の周りに線維ができるもので、繊維があるために、肝臓の血管の中を流れる血液中の栄養分が、肝細胞の中に入りにくくなってしまいます。

そのため、肝臓の働きが低下してしまいます。線維が少ないうちにお酒をひかえることで、肝臓は正常に戻りますが、それでも飲み続けている場合、肝硬変へと移行してしまいます。


アルコール性肝炎
脂肪肝や肝線維症になっても相変わらずお酒を飲み続けた場合、肝炎を起こす場合があります。食欲不振、嘔吐、だるさのほかに、発熱する場合もあります。中には黄疸の症状が現れる人もいます。肝臓が腫れるので、右の肋骨の下を押すと痛みます。

胆石の疝痛発作のような痛みを伴うこともあり、胆石と間違われることもあります。進行すると腹水やむくみも出て、重症になると命にかかわることもあります。しっかりと入院してお酒を断ち、完治しなければいけません。完治できないままでいると、入退院を繰り返すことになりますし、肝硬変に移行する場合もあります。


アルコール性肝硬変
ここまできてもお酒をやめないのは、命知らずとしか言い様がありませんが、一説にはお酒を1t飲むと肝硬変になると言われています。もちろん個人差があります。肝硬変になると、肝臓の中に、線維で囲まれた結節がたくさん認められるようになり、血液が流れにくくなってしまいます。

手のひらが赤くなったり、上半身にクモの足状の血管腫ができます。重症になると、黄疸や腹水などの症状が出ます。



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