肝臓がんの手術方法

 肝臓がんの主な治療法は、外科療法(手術。肝切除)、アルコールを入れて固める治療(経皮的エタノール注入療法:PEIT)、血管をつめる治療(肝動脈塞栓術:TAE)の3療法が良く知られています。他にマイクロ波凝固療法、ラジオ波凝固療法、凍結療法、化学療法(抗がん剤)などもありますが、絶対的な治療法はなく、癌の進行具合、肝機能の状態、患者の年齢・体力、合併症の有無などから判断して、最も有効な治療法が選択されます。

 肝切除(外科手術)は患部を癌を含めて肝臓の一部を切り取る手術で、最大のメリットは治癒する可能性が最も高いということです。逆にデメリットとしては、手術に起因する合併症を起こし、そのうち死に至るケースが1~2%ほどあることです。また入院期間が1~2ヶ月と長く、退院後の自宅療養が同じ期間に及ぶことなどがあげられます。

 基本的に肝臓は再生能力のとても高い臓器で、健康な肝臓であれば70%近くを切除しても、ほぼ元通りの大きさに戻ります。そのため切除しても機能的には問題がないと考えられています。

 肝臓はひとかたまりの臓器ですが、肝臓内を走る血管の分布によって、いくつかの区画に分けて考えられます。肝臓癌の手術は、これらの区画のどの部分を、どの程度切除するかによって行われます。

 慢性肝炎や肝硬変を患っている場合は再生能力が低下しているため、大きく切除してしまうと肝臓の機能が十分に行われず、命に関わる事態に陥ることもあります。そういう場合は、患者の安全のために小さく切り取ることを選ぶのが普通です。健康な肝臓をできるだけ残し、しかも患部を取り残さないのがよい手術ということになります。