肝臓がん(肝臓癌)の治療-外科手術(肝切除術)

 肝切除はがんを含めて肝臓の一部を切り取る手術で、最大の利点はがんが治る可能性がもっとも高いということです。 デメリットは合併症が起こる場合が少なからずあり、1-2%ですが手術に起因する死亡があります。

  また入院期間が1-2ヶ月さらに退院してからの自宅療養が1-2ヶ月必要で長期に及ぶことがあげられます。

 肝臓はひとかたまりの臓器ですが、肝臓内を走る血管の分布によっていくつかの区画に分けて考えられます。

 まず大きく左葉と右葉の二つに分かれます。左葉は外側区域と内側区域、右葉は前区域と後区域に分かれます。

さらに外側区域、前区域、後区域はさらに上下2つの亜区域に分かれ、これに内側区域と尾状葉(肝臓の後ろ側の小部分)を加えて合計8つの亜区域に分かれます。

 肝臓の切り取り方は、これら肝の区画の「どこ」を「どのくらい」切除するかによって表現されます。 がんが区域をまたいでいる場合には複数の区域を切除します。

 肝機能が低下していて大きく切除できない場合には安全のために、亜区域切除や部分切除などより 小さい取り方を選ぶのが普通です。がんでない肝臓をできるだけ残し、しかもがんを取り残さないのがよい手術ということになります。

 残念ながら肝臓がんは再発の非常に多いがんであり、肝切除術により完全にがん細胞を切除したとしても 3-5年後までに再発する確立は70%にも達してしまいます。しかし再発した場合でも条件によっては再手術することもできます。