患者さんは手術後ICUに移っていただきます。状態が落ちつけば、御家族に限って面会することができます。手術直後の患者さんの体は人工呼吸器や点滴、ドレーンと呼ばれる管など多くのチューブ類につながれています。人工呼吸器は普通3日間位ではずされます(状態によって変わります)。
その他のチューブ類も状態が安定し必要なくなれば抜去されます。また、超音波検査が毎日行われ、肝生検という肝臓の組織を―部取り出して顕微鏡で調べる検査も頻回に行われるでしょう。
ICU では医師や看護婦等のスタッフが24時間体制でケアーを行います。手術後早い時期は患者さんの状態が不安定なため、採血や検査が毎日のように行われることになります。ICUのスタッフからその都度説明されるでしょう。
患者さんの手術後の回復状態は、移植前の全身状態によって大きく違ってきます。肝移植を受けられた患者さんが全て同じような経過をたどるわけではありません。移植手術が終わったからといって、すぐに元気は取り戻せないでしょう。
状態が安定し体が回復するまでの期間は、手術前の状態によって差があります。よってICUで過こす期間も人によってまちまちで、1週間以内に病棟に移れる人もいれば、それ以上かかる人もいます。
ICU にいる間は状態が落ちつかず、様々な問題が出てくることも予想されます。例えば、血管や胆管をつなげたところが狭くなったり、詰まったりすることがあります。肝臓を切った部分からの出血も起こることがあります。
また、細菌やウイルス、真菌(カビ)による感染症にかかり、症状が重くなり、命に関わる可能性もあります。拒絶反応が起こることもあるでしょう。
もちろん患者さんによっては重大な問題が起きずに回復される方もいます。移植手術後は、状態が安定するまでジェットコースターのように変化が大きく、移植後1~3ヶ月位までは大変な時期といえます。
患者さんにとっても家族にとっても、ICUで過ごしている期間は大きなストレスになると考えられます。私達はそのストレスが少しでも解消されるよう、あなた方の助けとなるよう援肋します。
もし分からないことがあれば何でも質問して下さい。ICUのスタッフ、医師、コーディネーターはいつでも相談にのります。